神社に隠れていたモノ

神社に隠れていたモノ

神社の彫刻を見て、何の物語か教えてほしいと思ったことがあり、調べた結果をブログします。タイトル「神社に隠れていたモノ」は覆屋の中にこんな素晴らしい彫刻が隠れていたのかという思いから付けました。

2023年12月9日 静岡県賀茂郡松崎町松崎の長八記念館(浄感寺)に参拝しました。

 

由緒

浄感寺本堂は、長八記念館となっており、松崎生まれの左官の名工・入江長八の作品を見ることができます。入江長八は、幼少期に当時住職であった十三世本多正観上人のもとで、この浄感寺で学問を学びました。そのような関係から、弘化2年、火事で焼失していた浄感寺本堂が再建される際に、多くの天井絵・彫刻・漆喰細工などを制作しました。また、2011年に『雲龍』と『飛天の像一対』が静岡県有形文化財に指定されました。

長八記念館(浄感寺)の裏手から入ります。有料500円。

 

本尊のある天井に『雲龍』と、欄間に『飛天の像一対』があります。 【静岡県有形文化財】

 

雲龍

 

飛天の像一対

 

 

飛天の像の他にも、多くの漆喰細工があります。

 

絵のように細かく漆喰で彫刻されています(上の写真を一部拡大)

 

本堂の内部(外陣)

欄間に漆喰彫刻があります。

 

 

 

 

浄感寺の本堂
木鼻・持送・海老虹梁などは彫刻の名工・石田半兵衛(邦秀)の作品。

 

木鼻:獅子、獏  持送:亀

 

木鼻:獅子、獏  持送:鯉

 

海老虹梁の手挟:孔雀

 

海老虹梁の手挟:鷹

 

コメント:漆喰鏝絵という珍しい作品が数多く見れます。また、龍の天井絵は迫力があります。

 

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2023年11月15日 山梨県西八代郡市川三郷町市川大門の熊野神社に参拝しました。

 

由緒

この神社は、甲斐源氏義清が甲斐の目代(代官)として、平塩に館を構えていたとき守護神として祀ったのが始めで、その後、平塩地内の諸神をここに集め祀ったと伝えられている。本殿はその縁起は明確ではないが、材質や手法などからして江戸末期までに造立されたものと推定される。一間社流造の形態で、正面は一間、向拝軒唐破風付で、屋根は檜皮葺、総欅造である。建造物の各所にみられる彫刻的装飾はみごとなものである。

鳥居

 

拝殿

 

覆屋

 

本殿

 

右面の胴羽目:高砂
九州阿蘇神社の神主友成は播磨国(兵庫県)の名所高砂の浦に立ち寄ります。そこに老夫婦が現れ、松の木陰を掃き清めました。友成は老夫婦に、高砂の松と住吉の松とは場所が離れているのになぜ相生の松と呼ばれるのかと尋ねました。老人はたとえ山川万里を隔ていても夫婦の愛は通い合うもので、樹齢千年を保つ常緑の松なら尚更であると答えます。そして、住吉と高砂の明神が夫婦であることを語り、自分たちが相生の松の精だと告げると、住吉で待つと言い残し、小船に乗り沖へと姿を消して行きました。友成が摂津国の住吉へ行くと、住吉明神が月下に降臨し、世の平安を言祝ぐ舞を神々しく舞うのでした。

 

背面の胴羽目:刀鍛冶  (刀鍛冶の物語りは三条小鍛冶宗近しか知らないが、三条小鍛冶宗近なら狐がいるだろう)

 

左面の胴羽目:馬師皇
馬師皇は、黄帝の時の馬を治療する医者であった。馬の形氣や死生の脈を理解しており、馬を診させると間違いなく治癒させてしまった。あるとき龍が天より降りてきて、口を大きく開いてみせた。馬師皇は龍の下唇に鍼を打ち、甘草を煎じて飲ますと、龍の病はまもなく治ったということです。

 

右面の脇障子:龍

 

左面の脇障子:龍

 

腰羽目は獅子

 

手挟:鳥

 

コメント:迫力はないが、立体的で細かく彫刻されています。

 

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2023年10月22日 茨城県龍ケ崎市佐貫町の三峯神社に参拝しました。

 

由緒

佐貫の社に鎮座する三峯神社の歴史は古く茨城県神社庁の神社誌には「文禄年間、氏子一同水防を祈願して創建する。」と記されています。江戸時代に至り、秩父の三峯信仰は全国的に普及し、当地においても埼玉県大滝村の三峯神社より神徳を賜り、火盗を防ぎ、災害消除を願い勧進奉斎されたと伝えられております。

鳥居

 

狛オオカミ  オオカミは三峯神社の神のお使い

 

拝殿

 

覆屋

 

本殿

 

右面の胴羽目:鴻門之会で、樊噲が宴会に乱入する
項羽は劉邦の謝罪を受け入れ、和解の酒宴を開きます。しかし、項羽の部下の范増は項荘に余興に剣舞をさせ、隙を見て劉邦を殺すように命じます。項荘は剣舞を始めたが、企みに勘づいた項羽の叔父の項伯が身を張って邪魔をします。また、劉邦の部下の樊噲も劉邦の危機を知ると、剣を帯び盾を擁して宴席に乱入し、項羽を睨みつけた。項羽は剣の柄に手を掛けるも「勇壮な男だ」と樊噲に酒・肉を勧め、樊噲は大盃で酒を飲み、盾に豚肉を載せ、これをむさぼり食べた。そして、項羽を咎めた。項羽は反論せず「座れ」と言い、酒宴に参加させました。そして、劉邦は隙を見て便所へ行く振りをして脱出しました。

 

左面の胴羽目:黄石公と張良
漢の高祖に仕える張良は夢の中で老翁から兵法を伝授してもらう約束をする。約束した五日後に橋のほとりに行くと、老翁は既に来ており、「人に物を教えて貰おうというのに、先生より遅く来るとは何事だ」と咎め、また五日後に来いと言い去っていった。五日後、張良は正装をし早暁に行くと威儀を正した老翁が馬に乗って現れた。そして自らを黄石公と名乗り、履いていた沓を川へ落とした。張良は急いで川に飛び込んだが、大蛇が現れ沓を取られてしまう。張良は剣を抜き立ち向かい大蛇から沓を奪い返し、黄石公に沓を差し出した。黄石公は張良の働きを認め、兵法の奥義を伝授しました。

 

背面の胴羽目は、背面に窓が無く、角度も悪いため見れない。

 

右面の上部:龍、鳥

 

右面の腰羽目:唐獅子牡丹、亀

 

正面の扉:鳥

 

脇障子にも彫刻があったが、角度が悪く見れませんでした。

 

コメント:初代皇帝 劉邦の時代を題材とした胴羽目彫刻。素晴らしい出来でしたので背面の胴羽目彫刻も見たかった。

 

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2023年10月22日 茨城県稲敷市阿波の龍華山安穏寺に参拝しました。

 

由緒

龍華山安穏寺は、大杉神社に隣接する天台宗の寺です。大杉神社の別当寺として、延暦24年(805)に僧快賢が建立しました。かつては二十石余の御朱印を賜る程の盛大さを誇りましたが、寛政10年の火災により本堂以外は消失してしまいました。木造安穏寺弥勒仏坐像・木造不動明王立像・本堂は稲敷市指定文化財です。

本堂

 

向拝

 

中備:唐子遊び--演奏  唐破風下:布袋

 

欄間に、干支とおそらく十二神将を彫刻している。
十二神将は、薬師如来の十二の大願に応じて、それぞれが昼夜の十二の時、十二の月、または十二の方角を守るという。そのため中国や日本では対応する十二支がある。また、十二神将にはそれぞれ本地(化身前の本来の姿)の如来・菩薩・明王がある。各神将がそれぞれ7千、総計8万4千の眷属夜叉を率い、それは人間の持つ煩悩の数に対応しているという。 

 

背面の胴羽目:(左側)松と?、(右側)松と梅

 

 

ネズミ

 

 

 

 

 

 

 

ウサギ

 

 

 

コメント:十二神将と対応する干支がある。しかし、彫刻された武器から推測されるが十二神将と、薬師寺や日光東照宮(輪王寺 薬師堂)の十二神将が合っていない。

 

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2023年10月21日 千葉県柏市布施の布施弁天東海寺に参拝しました。

 

由緒

「布施の弁天さま」として親しまれています。正式には紅龍山布施弁天東海寺と称し、大同2年(西暦807年)に弘法大師空海御作といわれる弁財天像をご本尊(秘仏)として開山された祈願寺です。平成18年には本堂・楼門・鐘楼が千葉県重要文化財の指定を受けました。

鳥居

 

楼門
階下に四天王、階上には釈迦三尊を安置しています。楼門は、文化7年(1810年)の建立で、間口3間(一階部分20尺・約6メートル)、奥行き2間(一階部分12.8尺・約3.9メートル)の2階建て、屋根は入母屋造(いりおもやづくり)の桟瓦葺(さんがわらぶき)です。県指定有形文化財。

 

軒下に彫刻があります(鳳凰、寿老人と鹿、松と雉)

 

本堂
享保2年(1717年)に建立されたもので、桁行(間口)5間(38.5尺・約11.6メートル)、梁間(奥行き)6間(42尺・約12.6メートル)の規模となっています。県指定有形文化財。

 

鐘楼
多宝塔式の総欅造りです。基担は、みかげ石積み八角形、その上に12本の円柱で円形の本体を構成し、軒下には彫刻を配しています。県指定有形文化財。

 

縁の下に唐子の彫刻があります

 

唐子遊び--獅子舞

唐子遊び--琴棋書画の画

唐子遊び--キノコ狩り

唐子遊び--雪だるま

 

唐子遊び--龍頭の船

司馬温公の甕割り

唐子遊び--闘鶏

唐子遊び---花車  草花を大八車に乗せ、町中を巡っている

2階の持送りに十二支の彫刻があります

十二支--蛇

十二支--猿、鳥

十二支--猪

 

2階の屋根の下には、「諸行無常、是生滅法、生滅滅己、寂滅為楽」という涅槃経四句偈が書かれている。
  諸行無常:この世の現実存在は、すがたも本質も常に流動変化するものであり、一瞬といえども存在は同一性を保持することができないことをいう。
  是生滅法:あらゆるものは常住不変でなく、生滅するのが真理であるということ。
  生滅滅己:生と死を超越して、煩悩が無くなった安らぎの境地である涅槃に入ること。
  寂滅為楽:煩悩を脱して悟りの境地に入ってはじめて真の安楽を感じることができるということ。

 

近くにある、あけぼの農業公園ではコスモスが見頃でした。

 

コメント:鐘楼ひとつに、唐子の彫刻や干支の彫刻、涅槃経などいろいろと詰め込んだ力作だと感じました。

 

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