目が覚めると、カーテンが光に薄く透ける。
厳しい親のように早起きなカーテン。
彼女に安らぎをもらった、夜のあとの独特な元気さで彼女の横からすっと起き上がる。
シャワーを浴びてコーヒーと飲む。
いつの間にか彼女も顔を洗って薄く化粧をやり直す。
僕に見守られる中、誇らしげに化粧をする。
起きたときから流れる独特な空気。
押し黙る沈黙。
部屋を出るとき、手を取れない。
いやとらせないのか。
昨日までで終わりなのかと、僕の中で下種な言葉が鳴り響く。
その音がこぼれないように、体の隙間をしっかりと押さえて回る。
彼女はゆっくり僕の前を歩く。
ホテルを出て、角を曲がって。
少しまっすぐ歩く。
そして、立ち止まる。
うつむいたままの彼女の代わりに僕は時計を見上げる。
そう、最も力を持った時計。
見る人にスケジュールを思い出させる、魔力。
僕はつぶやく。
帰らなきゃ。
彼女は時計を全く無視して僕に振り向くと、
笑顔で、ばいばいと言って、
ふりかえり、
背中の感情をひた隠し、
すたすたと歩いていく。
僕は、何もできない。
彼女はいつか幸せになるだろうかと。
そう願うだけ。