狭い町だ。小さな漁師町。
狭い路地をあるいていくとようやく、暖かい光がこぼれるちょっとしたカフェがあった。
どうやらここのようだ。
ここにしようか。
彼女はにっこり笑う。
中に入ると若いウェイターが席へと案内する。
落ち着いて席に着く。
温かいスープ。
冷たいサラダ。
あとはメイン。
とりとめもなく、なんてことないことを話していた。
このコメディアンはよくわからないとか。なぜ日本では受けるのか。この人は私たちでも面白いとか。
ちょっとした沈黙の後彼女のトーンが変わる。
ねえ、リュウ。どうして。。ねえ、リュウはどうしてあの時来なかったんだろう?
ちょっと言葉に詰まった。彼女の中で今僕は誰なんだろう。見知らぬ、ただ、ベットを一緒になった男なんだろうか。
こなかったんじゃない、これなかったんだよ。
彼女はうつむいたまま、呼吸も浅く、何も表情を読み取らせない。
でも、こうやって何かを思い出し、考え、悩むのであれば、こなかった理由を考え込むより、彼の、リュウのこれなかったことを考え、心配する、その程度にしてほしかった。
リュウは今元気にしてるかしら。
うつむいたまま、か細くつぶやいた。