【セキララ教師生活20】新人ボーイ~付箋爆発!算数ドリル事件~ | TSUKI NO URAGAWA~月の裏側~

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シンガソングライター/元小学校教員(歴12年)
ヒーラー養成スクール校長/四柱推命鑑定士

起業1か月で月商7桁、2年目で年商8桁達成
1000名以上のカウンセリング、20名のヒーラー養成

どん底から大逆転!夢を叶え続ける30代のリアルを発信

自分の仕事や学級やりながら0からの指導でへとへとだったけれど、なんだかんだやりがい在ったK氏の指導。クマは増えたが発狂することはなかったw

 

 

ところが嵐は突然やってくるのだ・・・

 

 

  この度のクラス編成

 

ベテラン主任

新人U氏

わい

 

あと1人転入生がいれば4クラス!という中での、3クラス編成。なのでこの時代で珍しく40人オーバーの大所帯学級となった。

 

主任はめちゃくちゃ優しい主任だったから、彼女の学年になれて心底ハッピー!主任もこの学校に慣れてきたわたしと組めて、にっこにこでのスタートだった照れ飛び出すハート

 

しかしそこへ嵐がふく・・・昇天昇天昇天

 

 

  慣れるまで~慣れるまで~

 

新人U氏は講師で、初担任ではあたが他校での勤務経験はあった。

が、やはり担任は初で講師のため初任者指導はつかず、我々が担任業務の指導にあたった。

 

転任したての時はその学校に慣れていくだけでも大変なことだ。わたしも講師経験が長かったからわかる。なので初めのうちは学校や担任業務に慣れてもらうために、お茶いれや印刷とう年下仕事はわたしがやっていた。

 

担任業務等指導いれても無反応なときもあったり、

それやっておいた方がいいよと簡単に教えてもスルーされたり

 

慣れるまで~

慣れるまで~

慣れるまで~

主任もわたしも耐えていたが、、、

いよいよ第一陣が来た

 

 

  1年生の担任の先生の努力の賜りもの

 

ぶっきらぼうであったが彼は人気があった。

その理由は

 

”宿題やらなくても怒られないから”

これにはわたしも主任も絶句したのはもちろん、前年度の担任の先生たちも悲しんでいた。

なぜなら

 

 

2年生とは1年生の担任の先生の努力の賜りものだから

これはどの学年においても言えることなのだけど、特に1年生の先生たちの努力の功績って大きいと思う。それは

 

幼稚園→小学校

の発達段階で、不慣れな小学校生活になれていく1年間を担当しているから。もちろん幼稚園や保育園でも基礎教育はなされているが、幼少期の子供たちにとって小学校へ上がることは大きなステップである。

 

 

例えばランドセルの支度。

 

これだって、1度教えたからといって、翌日すぐにできるわけでもない。

 

 

あ、教科書ランドセルに入れっぱなし!

 

失敗を繰り返しながら、覚えていく。

 

そのほか

✅給食当番の配膳

✅和式トイレになれる

✅掃除のしかた(ほうきの使い方やぞうきんの絞り方)

✅お道具箱の整理

✅勉強するときの文房具の配置

✅遊具の使い方

✅登下校の仕方

 

小学生が”当たり前”として行うことができるのも、1年生の先生方が根気よく1から指導してくれるからだ。

2年生以降の先生たちは、こうした1年生の先生方の努力を引き継がせていただいているのだ。

 

 

 

  宿題の定着化だって簡単ではない

 

保育園や幼稚園でも宿題が出されることもあるだろうが、本格的な宿題は小学1年生から始まっていく。もちろんはじめのうちは”あしたのがっこうのじゅんび”など簡単なことから始まっていく。

それでもそうやって、”簡単なこと”からスタートして”できた!”を重ねていく。

まあでもそうやってスモールステップで工夫を重ねても、忘れてしまう子もいる。たまには仕方がないが、忘れるのが常習化してしまう子も多い。

 

ご自身の学生時代を振り返れば2~3人思い浮かぶでしょう。いっつも忘れちゃう子。

まあ、”宿題の実施”に関してもここ数年自由意識が高まって必要ないという人もいるが、公教育に携わる立場としては、家庭学習の定着化も指導の一つだと思う。

 

話を戻して、宿題を忘れてしまったら指導をし、休み時間等を使って実施させるのが一般的だ。定着化を図るためには

 

✅人数分の宿題の提出状況をチェック

✅未実施分の子の指導

✅実施をさせて

✅確認をする

当たり前のことだが、この時間は授業時間に含まれていないので、8時のチャイムの前や朝の会の時間を使ってチェックをし、休み時間に再指導をしていく。40名以上の宿題を毎日毎日繰り返し行っていく。

 

そんな地道な指導でも、定着しきれない子もいる場合は、連絡帳で知らせたり、放課後の電話、保護者会や保護者面談などでおうちの方への協力もお願いしていく。

 

そうやって、一つずつ積み上げていくのだ。

 

 

  宿題未実施を指導しない先生

 

それは小さな子供たちにとってはヒーローだろう。

でもこうして1年の弛まぬ努力を積み上げてきた1年生の先生方にとっては涙ものである。

また、おうちの人だって、”先生が指導してくれない”となれば困る人も多いだろう。

また、クラスで指導の差異が大きい場合は”あのクラスは宿題やらなくてもよくていいな”となったりもする。

 

そしてまた、"翌年度”担当する先生たちにだってしわ寄せがいく。実際他にも宿題未実施を指導しない若手教師の子たちを翌年担当した先生は、宿題未実施を指導しただけで”鬼ババア”と言われたそうだ。

 

一度甘い蜜、ゆるい生活に味を占めてしまった子供たちを戻していくためには、実は0から積み上げていくよりもハードな場合があったりもする。

 

宿題を指導しない先生にとっては”それっぽち”のことかもしれない。しかし、大きな流れの中で言えば、

 

✅子どもの基礎学力の低下

✅おうちの方の負担が増える

✅他クラスへの影響

✅前年度までの担当の先生の努力を無下にする

✅翌年度の先生の指導の負担が増える

 

など、多岐にわたって影響していくものなのだ。

これはただごとじゃないと、わたしも主任も彼に宿題指導をするように繰り返し投げかけ続けたが、なかなかすぐに改善されることもなく、わたしたちの悩みの種であった。

 

 

  学年単位で丁寧に一歩一歩進める学習指導

 

算数や国語ドリルの進捗状況も、クラスで大きな差異が出ないように、放課後学年会議で”今週はココまで進めましょう”と話し合われた。

 

主任はとても優しい人だったので”このスピードで大丈夫?”と気にかけてくれたし、

体調不良の子への対応やトラブルの指導などで授業が遅れてしまった場合は

”ちょっとまだ追いつけません!”

と、素直に言えば足踏みしてくれる本当に愛の深い人だった。

 

そうやって学年単位で一歩一歩進めていたのだが・・・

そんな温厚な主任がある放課後、血相を変えてわたしの教室へ・・・

 

 

”沼倉さん!ありったけの付箋をもってU氏の教室へきて!”

 

  付箋爆発!算数ドリル事件!

 

急いで教室に入ると算数ドリルが山積みに!

その日、U氏は午後から出張で、主任が補欠に入ったところ、このドリルの状況に気付いたようだ。

”この中を見て!”

開いてみると・・・

あれポーン!?​​​​​​​

めくってもめくっても空欄ばかり!

たまたまこの子だけ?

と、次のドリルを見ても、未実施ばかり・・・

・・・信じられないチーンチーンチーンあんなに毎週丁寧に確認して進めていたのに・・・

 

みんなで足並みそろえてやってきたと思っていたが、全然進んでいなかったのだ。

わたしでさえこの無責任な教育に怒りが湧き、

これまでの指導者のことを想うと悲しみも止まらなかった。

 

 

”自分のクラスだけではなく、学年全体で足並みそろえて進もう!”そうやってご自身も忙しい中で我々を気にかけて丁寧に進めてくれていたのに・・・

 

かれの”大丈夫です”はほとんどウソだった。

 

 

  無言の付箋モード

 

わたしも主任も、悲しみと怒りの中で、無言で未実施ページに付箋を張り付けていった。ありったけにかき集めてもってきた付箋たちは見事にドリルに張り付いていった。

 

”新人教育ってどこからすればいいんだろうね・・・”

主任が手を止めることなくポツリとつぶやく。

 

”こんなことから教えなきゃいけない時代になっちゃたんですかね・・・”

わたしも付箋から目を離すことなくつぶやき返す。

 

 

この指導は、わたしがしっかりとしていくから、沼倉さんは何も言わなくていいからね。3人の学年なのに、2人で指導したらさすがに彼もプレッシャーだろうし。

 

どこまでも優しい主任だった。

 

 

  出張から帰るU氏

 

付箋作業も落ちついたころ、U氏が戻ってきた。そして主任から指導が入ったようだ。

いつもは謝りも大してしない彼だが

”申し訳ありませんでした”と私にも謝罪があった。

 

ブチ切れたかったけれど、精いっぱい堪えて、

”付箋と大事な時間死ぬほど使ったから!!”とだけ言った。

 

・・・翌日新しい付箋がわたしの机に置かれていたw

 

それからは主任がことある度にU氏の教室へ出向き、ドリルの進捗状況をチェックしていた。子供たちも終わりの見えないドリルを休み時間などを使って取り組んでいた。

 

主任の協力サポートがあり、無事ドリルや学習内容もしかっかりと終わった。

 

 

  この数年後

 

この時の主任から連絡が入った。U氏が教員採用試験に合格したそうだ。

これだけ世話をしても、主任にも私にも彼からの連絡はない

(普通はお世話になった人には合格の連絡入れるものだけどね・・・)

 

主任は知人ずてにしったそうだ。

”彼が成長しているならいいのだけど・・・”

本当にその通りだった。

 

近年教師を志す人は減少し、採用率も上がっている。

いろんな考えを持つ人間がいることは悪いことではないが、自分の主義主張を盾に、無責任な教育をしてそれまで積み上げてきた、先生や保護者の努力を台無しにするような人が教壇に立つのはとても悲しく許しがたいことである。

 

彼の成長を切に願う。