山中伸弥氏の逸話 | ドキドキ・ワクワクの居酒屋『大佐のとりこ 暖炭』のブログ

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ノーベル賞を受賞した山中伸弥教授。今や日本中がiPSフィーバーですが、氏の逸話について少しまとめてみました。
<10/18店主のフェイスブックより>
ノーベル賞受賞の山中さんが野田首相を表敬訪問した際、非正規雇用の研究者も正規職員として雇用できるよう、国の整備をよろしくと首相に提言したらしい。これまで国家レベルの受賞者が首相表敬訪問の際、賞に関係のない提言をした人がいただろうか。これまでメディアを通して氏のコメントを聞き、変わった教授だなと好感を持っていたが、このニュースを聞いてますます好きになった。
常識としてその機会にそんなこと言わないし、趣旨からして適当に時間潰して帰るよね。
与えられた機会を最大限に活かす、そして普段から周囲にも気配りしているであろうという点でとても感動した。
<致知11月号・はやぶさプロジェクトリーダー・川口淳一郎氏との対談より>
…臨床だったら予想外のことが起こると、こりゃもういかんとなりますが、
研究ではそうやって予想外の結果を楽しめることが大事だと考えています。
それにしても、僕の場合は研究テーマがころころころころ変わって……(笑)。
【川口:私はいいと思いますけどね。
    研究テーマは変えるべきじゃないかと思うんです。
    そうやってどんどん違う世界を、
    違うページを次々に開いていくようでないと、
    逆にダメなんじゃないかなと】

なるほど。いや、そのとおり、僕もいま結果としてそう思うのですが、
30代の半ば頃は自分のポストもまだない段階で、
これから教授職などにトライしていかなければと考えていた時期でした。

そんな時、周りの先生方の話を聞いていると、
「日本では研究の継続性が評価される」ということが
よく言われるものですから、これは大変だと。

僕は整形外科医に始まって、僅か数年で2回も3回も研究テーマを変えている。
変えてないのは嫁さんだけやなぁ(笑)、
なんて思いながら、これでいいのかなと少し不安になりました。

そんな時に偶然、ノーベル賞を受賞された
利根川進先生の講演を聴く機会があったんです。

【川口:もともと免疫の研究をされていて、
    その後、脳科学の研究に移られた先生ですよね】

はい。まさに途中でテーマをころっと変えられたわけです。
それで講演後の質問タイムに勇気を出して手を挙げました。

「日本では研究の継続性が大切だと言われますが、
 先生はどうお考えですか?」。

すると先生は「一体誰がそんなことを言ったんだ」と(笑)。
「重要で、面白い研究であれば何でもいいじゃないか」と言ってくださって、
凄く勇気づけられたことを覚えています。

【独創力を生む秘訣】

皆さんからはよく「非常に独創的な研究をされましたね」と言っていただくのですが、
本当は僕自身には独創的なアイデアってなかなか浮かばないんですね。

ただそれは独創的じゃない実験を行った結果、予想もしなかった結果が生まれ、
そのまた次の実験が予想もしない結果を生んだというだけのこと。

【川口:でも先生はそれを見逃さなかったということですよね。】
そうそう、それが大切だと思うんです。
行った実験がせっかく独創的な結果を出してくれているのに、
あぁ、予想と違う、もうダメだとやめてしまい、完全に可能性を閉じてしまう。

だから独創的じゃなくてもいいからまず実験に取り組んでみて、
その結果を色のない目で見られるかどうか。
独創力を発揮できるか否かは、そこにかかっているんじゃないかと思います。

うちの学生にもよく言うんですよ。「ごちゃごちゃ考えんと、実験やってみい」と。
迷ったらとりあえず実験してみる。
そうするとまた何か違う現象が出てきて、思いがけないヒントになることがあります。
出典;致知11月号