お城をバックに、川のほとりで一枚。
「さて、ここはどこでしょう?」
──いえいえ、観光旅行じゃありませんってば。
その6時間後には、こちらで記念撮影。
はい、お疲れさまでしたね、ひでこさん。
……いえいえ、疲れていたのは私だけじゃありません。
このお宅のご家族さん。
撮影スタッフのみなさん。
そして、夥しい“モノ”たちと格闘した全員が。
昨夜、ご家族はきっとバタンキューだったことでしょう。
私はといえば、
帰途の新幹線でハイボールをひと缶。
それでようやく、身体も心も緩んで──
東京の根城マンションへ無事帰還。
それにしても、どこの断捨離現場でも思うこと。
「ダンボール箱って、なんて罪つくり。」
あの中にしまってあると、
なんだか“宝物”みたいに思えてくるんですよね。
けれど──
取り出して、広げて、バラしてみると。
そこにあったのは、
とっくに意味をなさなくなった過去の残像。
趣味グッズ。
漫画本。
記憶の切れっぱし。
そして、これもまた…
「プラスチックの収納ケースって、なんて誤魔化し上手。」
生活感に溶け込んでいるけれど、
中身はもう要らないものばかり。
サイズアウトした服。
くたびれたトレンド。
すでに終わった暮らしの断片。
ダンボールも、収納ケースも、
“外側”がちゃんとしていると、つい安心してしまう。
だけど、ほぐして、取り出して、目の前に広げてみると──
「なんで、こんなモノたちのために、
一部屋まるごと潰していたのかしら?」
ようやく気づく。
断捨離とは、気づきの連続。
箱の中に隠された“心のクセ”。
ケースに閉じ込めた“過去の執着”。
そう、それは、
人間にも言えることかもしれませんね。
外見が整っていても、
心の中身を一つずつ開いてみないと、わからない。