
¥798
Amazon.co.jp
アメリカのある大学キャンパスで、学生が教授を襲撃するという事件を演出しました。
キャンパスで白昼堂々と行われた襲撃であったため、たまたま目撃した者が多数いて、その目撃者たちから個別に目撃証言をとりました。
その結果は得られた証言は実に不明確なものでした。
●暴行が続いた時間については、平均して2.5倍に過大評価
●犯人の体重は、平均して14%過大評価
●年齢は2歳過小評価
このような想起のゆがみは、事件と犯人に対するイメージによってもたらせたのです。
◎暴行事件という大変な出来事だという印象のため、実際よりも暴行が長く続いていたかのように時間の過大評価
◎暴行事件を起こすような人物は体格がよいだろうというステレオタイプ的な見方から体重を過大評価
◎暴行事件を起こすような人物は精神的に未熟に違いないといった見方から年齢が過小評価
事件から7週間後、目撃者たちに対して個別に面接調査が行われました。
6枚1組の写真の中から犯人を選ばせました。
その結果、犯人を正しく選べたのはわずか40%に過ぎませんでした。
そして、25%のものは、ただ一緒に居合わせただけの無名の若者を犯人として固定したのです。
私たちは目の前のことを見ているようで見ていないのです。
「記憶とは、本当に過去にあったもの」を再現するものであると思っています。
しかし、「記憶とは、必ずしも事実ではない」のです。
本書は、記憶のメカニズムを解明し、どのように記憶がつくられ、何によって記憶が左右され、ウソをつくのかを解き明かしています。
▼記憶には今の自分の状況が影響する
▼想像し、イメージしたことが記憶に紛れ込む
▼主観的な思いに記憶は左右される
▼話しているうちに自分自身もだまされていく
▼自分に好ましくない記憶や思い出すと都合が悪い記憶は抑制される
▼強い情動を喚起されると記憶は正確さを失う
▼記憶を想起する時点で記憶は再構成される
▼誤情報を与えられると記憶が変容する
▼辻褄を合わせる方向に向かう
▼同調の心理や暗示効果が記憶をつくり替えていく
記憶は、貯蔵庫におとなしく保存されているようなものではないのです。
事後にさまざまな経緯で流入してくる情報や、思い出そうとする自分の心理状態の影響を受けて、記憶は刻々とその姿を変えていくのです。
記憶はまるで生き物なのです。
記憶は間違いなく自分自身のものなのに、自分の思うようにはならないのです。
脳が自分の意志だけで動いていないということです。
脳もさまざまなものから影響を受け、コントロールされているのです。
「覚えてるよ」って、もう気軽には言えませんね・・・・・
目次
第1章 言葉を記憶する
第2章 記憶は嘘をつく
第3章 忘却とは“幸せ”の証明である
第4章 “懐かしさ”はどこから来るのか
第5章 身体が記憶する
第6章 郷愁を誘う感覚の記憶
第7章 日本人の脳の不思議
第8章 記憶をリセットする