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「ケガをしたら、消毒して乾かす」
常識とは何なのでしょうか?
今まで正しいとされていた傷治療は間違っていたのです。
本書は、今注目の「湿潤療法」を確立した形成外科医が書いています。
なぜ、旧来の治療は行われるようになったのか?
なぜ、新しい成果が受け入れないのか?
医学や人の考え方の問題点を鋭く突いた内容です。
■傷は消毒する
子供の頃、傷には、まず消毒液で消毒しました。
次に「赤チン」という、赤い液体を付けて治療していました。
とても痛かったです。
「悪い菌が消毒されているから痛いんだ」と言われました。
しかし、痛い原因は、菌が死んでいるからではありませんでした。
傷口が破壊されているから痛かったのです。
消毒液は傷口にむき出しになった細胞膜タンパクを破壊します。
細胞を壊し、傷口を深くしてしまうのです。
■傷は乾燥させる
消毒したあと、息を吹きかけて乾かしていました。
傷は乾燥させた方が早く治ると言われていたからです。
でも、乾かすと傷の治りが悪くなるのです。
膝小僧など擦りむいた時に、傷がジュクジュクになります。
それには細胞成長因子と呼ばれるもの物質が含まれています。
それが、傷を治すための成分だったのです。
皮膚の細胞の最大の弱点は、「乾燥に弱い」ことです。
傷を治す成分は乾燥状態に置かれるとすぐ死滅してしまうのです。
■傷は消毒・乾燥しない
「消毒」や「乾燥」は傷の治りを遅らせる行為なのです。
人間の身体は自前で傷を治すメカニズムを持っているのです。
治療の原則はこの2つです。
傷を消毒しない。消毒薬を含む薬剤を使わない。
創面を乾燥させない。この湿潤治療にはこのような特徴があります。
① すぐに傷が治る
② 痛みもなくなる
③ 擦りむき傷も深い創も熱傷も同じ方法で治療できる
④ 最低限、水とラップと絆創膏があれば治療でき、極めて安価
⑤ 消毒薬も軟膏も不要
⑥ 治療材料が軽くてかさばらない
⑦ 治療方法が簡単、簡便
傷は消毒せず、乾燥させなければ、痛まず、早く、しかもきれいに治るのです。
■なぜ今まではこんな治療をしていたのか?
何もわかっていなかった大昔に消毒という習慣が始まりました。
それが常識として広まり、継続してしまったのです。
原因がわからない状態でも、患者がいて、治療を求めてきます。
医者はとりあえず何とかするしかなかったのです。
「肺炎」についての治療に咳止め薬を使ったり、
虫垂炎には痛みを和らげるアヘンを使ったりしたのと同じです。
原因が明らかにされた初めて、それまでの治療はとんでも失敗だったことがわかるのです。
■パラダイムシフトを起こす
その時代や分野において当然のこととして考えられていた認識が、
革命的に変わることがパラダイムシフトです。
人は固定概念の塊、パラダイムシフトを起こすのは大変です。
今は常識である地動説ですが、天動説への転換には170年ほどかかっています。
天動説の専門家が長い間、地動説を認めようとしなかったからです。
著者は新任の病院で今までの治療法の無意味さに気付きました。
新しい治療法が認められるまで、病院を変わることもありました。
回りの医師との戦いだったようです。
人はある概念や常識の中にいると、それがパラダイムだとは気付きません。
外から冷静に状況を見ることは本当に大切なことです。
常識の囚われない秀徹した論理のみがパラダイムを打ち破るのです。
「わかっていることの背後には膨大なわかっていないことが隠れている」
■目次
こんなにきれいに傷が治る
常識を疑おう
傷はどのようにして治るのか
傷は湿潤に保とう
家庭でできる怪我、火傷の治療法
消毒しないと傷は化膿するのか
傷はなぜ化膿するのか
消毒薬ってなんだ?
痛い治療、痛くない治療
手術創の消毒をやめれば術後感染が減る
傷にぬっていいのは何か
なぜ「消毒とガーゼ」がスタンダードになったのか
皮膚と皮膚常在菌
善悪二元論を超えて