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誰の神様でもいいから、ぶん殴りたかった。
著者、西水はプリンストン大学で教鞭を執っていた。
1980年、世界銀行の副総裁からの誘いにより、
その夏にはじまるサバティカル(研究休暇)の一年間を、世界銀行の研究所で過ごした。
週末のある日、カイロの郊外にある貧民街である「死人の町」を訪れた。
その街の路地で、一人の瀕死の幼女、ナディアと出会う。
緊急手配をした医者は間に合わず、ナデャアは西水の手の中で息を引き取った。
ナディアの病気は、下痢からくる脱水症状・・・・
安全な飲み水の供給と衛生教育さえしっかりしていれば、防げる下痢・・・・・
西水は目覚めた。
天を仰いで、まわりを見回した途端、
ナディアを殺した化け物を見た。
きらびやかな都会がそこにある。
最先端をいく技術と、優秀な才能と、膨大な富が溢れる都会がある。
でも私の腕には、命尽きたナディアが眠る。
悪統治。
民の苦しみなど気にもかけない為政者の仕業と、直感した。
骨盤に火がついたような気がした。
帰途の機上では一睡もできず、
自分が受けた教育は何のためだったのか、
何をするために経済学を学んだのか、と悩んだ。
ワシントンに近づき、機体が着陸態勢に入っても、
鬱々としたままだった。
が、車輪がドシンと音を立てて滑走路に接した瞬間、目の奥に火花が散った。
結論が、脳に映った写真のように、はっきり見えた。
学窓に別れを告げ、貧困と闘う世銀に残ると決めた。
世銀の使命は、「貧困のない世界」をつくることです。
この使命を背負う仕事の究極は、正義の味方になることです。
政治力のない貧民のために正しいことを正しく行う、勇気あるリーダーたちの味方になる。
この精神を本気で貫かないと、世界一流の知識や技術の提供が無駄になる。
融資は途上国の借金を増やし、国民を苦しめるだけに終わるのです。
悪政が日常茶飯事な発展途上国で、世銀と同じ夢を追うリーダーに出会う。
国王、大統領、首相、中央銀行総裁、将軍までいた。
そして、農民や村長、貧民、売春婦、学生、福祉事業家、銀行家、ジャーナリスト。
リーダーシップの原点は、人々に対する深い共感です。
この真実を教えてくれる、素晴らしい言葉があります。
「千人に頭(かしら)となる人物は、
千人に頭(こうべ)を垂れる人物である」
本書は、西水が、様々な同志たちと、「貧困のない世界をつくる」ために闘った記録です。
必読本です。
貧困解消への道は、「何をすべきか」ではなく
「すべきことをどう捉えるか」に始まる。
それが、組織や人を動かし、社会を変え、国家や地球さえも変えたのです。
「貧困をなくす」
「悪政をなくす」
「いい国をつくる」
素晴らしい仕事です。
目次
まるで一卵性双生児—インド、パキスタン
チャンドリカの癖—スリランカ
ああこの国はどうなる…—ネパール
カシミールの水—インド、パキスタン
偶然—トルコ、バングラデシュ、スリランカ
人づくりの奇跡—ブータン、パキスタン
男尊女卑?—インド、スリランカ、バングラデシュ
雷龍の国に学ぶ—ブータン
悲しい…—パキスタン、スリランカ
売春婦「ナディア」の教え—バングラデシュ、インド〔ほか〕