どうしたら生き返ることが出来るのか?  「人工冬眠への挑戦」 | フォトリーディング読書感想文

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「人工冬眠」への挑戦 (ブルーバックス 1634)/市瀬 史

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「極端な低体温ダウンの下、命は"一時停止注意"する」



ガックリ一度死んだ動物は生き返ることはありません。

ところが事故のため”死んでいた”のに生き返った人たちがいます。

心臓停止、あるいはそれに限りなく近い状態から、
何の後遺症もなく“生き返った”人たちが大勢いるのです。

それらの幸運な人々に共通するのが、死んでいたときの極度な低体温状態であり、
それが生き返ることができたポイントだったようです。



クマ人間ではごくまれな幸運にしかすぎない仮死状態を繰り返し、
そこから難なく蘇える動物がいます。

冬眠するクマやリスなどのです。
これらの動物にも低体温が見られます。



雪の結晶1900年のイギリスの医学雑誌によれば、
18世紀初頭までロシアの貧農は、冬の6ヶ月間は食べ物が乏しかったために、
1日の大半を家族全員で暖炉の近くで寝て過ごしていたそうです。

この習慣はロシアに限ったものではなく、
モンゴルや中央アジアの人々の間にもあったという記録もあります。

人間はもともと冬眠の能力を持っていました。
しかし、進化の過程でそれをなくしたのです。



低体温はなぜ”死んだ”動物を生き返らせるのでしょうかはてなマーク

人間を冬眠状態に人工的に導入し、そこから目覚めさせるのは、昔からの人間の夢でした。


冬眠にはどんな仕組みで可能になるのでしょうか!?


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●冬眠する哺乳類の超能力


① 長時間の低体温に耐えられる
冬眠する動物では、0℃前後の体温になっても死なない。

② 血流再開のジレンマ
血流再開において、血流が途絶えていた時間が長いと、再循環があたえるダメージが大きい。
ところが、クマやリスでは短時間に劇的に血流が増えるのに、組織の障害を全く受けません。

③ 肥満をコントロールする
冬眠する哺乳類では、秋の大食する時期に肥満コントロール信号に身体が応答しなくなる。
どうやって肥満コントロール信号をオン・オフするかを解明できれば、
現代人の肥満を防ぐ方法を見つけることができるかもしれない。

④ 筋肉が萎縮しない
冬眠中のクマでは筋肉が20%程度しか萎縮しない。
人では同じ期間筋肉を使わないと90%筋肉は減少する。
筋肉の萎縮を防いでくれるメカニズムの解明は、リハビリや健康維持へのカギになります。

⑤ 長寿を保つ
冬眠するシマリスの寿命は11年以上、冬眠しないラットの寿命は3年程度。
代謝の抑制とともに、冬眠特異的タンパク質が寿命に何らかの役割を果たしている可能性があります。


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特殊な方法で硫化水素を投与することで、可逆的な代謝抑制が見られることが確認されました。

自然に冬眠する哺乳類の冬と夏の遺伝子発現の違いを比べることで、
どの遺伝子の働きが冬眠に重要かが解明されます。


現在の生命科学技術の進歩のスピードから考えると、
数年以内に、何からの方法で冬眠研究の目処が立ちそうです。

そして、10年~20年以内に、冬眠の分子メカニズムが解明され、
「人工冬眠」が現実のものとなりそうです。



「人工冬眠」が人類に与える恩恵は非常に大きい。

▼もっと多くの重症の病人やケガ人を助けることができる病院

▼長期の宇宙旅行が可能になるロケット

▼健康、長寿、人類の悲願が叶う合格


「人工冬眠」は私たちの「生き方」そのものに影響を与えるのです。



【目次】

プロローグ “生き返った”人々
第1章 人工冬眠とは何か
第2章 “自然な冬眠”の仕組み
第3章 冬眠の驚くべき効用
第4章 冬眠と意識と夢
第5章 全身麻酔と人工冬眠
第6章 代謝と人工冬眠
第7章 低体温医療と人工冬眠
第8章 人工冬眠研究の最前線
第9章 硫化水素による人工冬眠
エピローグ 人工冬眠は必ず実現する