スタート時点でつまずいて、
『ワッ、倒れそう』というような状況を作って、
そこをなんとか倒れないようにギリギリで釣り合いをとって、
ゴールまでイッキにすっ飛んでいくという走り方です。
倒れるのと紙一重の状態でビューンといくわけですね。
この微妙な状況が50メートル以上維持できれば、
100メートルで9秒切れるかもしれませんよ。
古武術家、甲野善紀が語る、
「倒れるように走る
」短距離走の究極の走り方です。
身体から革命を起こす (新潮文庫)/甲野 善紀

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甲野善紀、武術の専門家です。
ほとんど伝説化してしまった江戸時代の剣客たちの妙技を、現実にあったことだと確信し、
自らの身に再現すべく、探求を続けている。
武術の枠をこえた身体技法の実践研究者でもある。
陸上、野球、アメフトなどのスポーツだけでなく、楽器の構え方、介護についてまで、
その道の一流の人々が彼に教えを受けている。
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古武術は何がすごいのでしょうか?
それは生死がかかっているからです。
真剣での勝負の時は、先に斬られたら終わりです。
「どうすれば相手より速く動けるのか?」
「どうしたら相手の太刀をかわせるのか?」
その答えが、究極の「勝つ」身体の使い方なのです。
古来の武術は、今日の常識とされている運動理論とはまったく異質な身体の使い方なのです。
◎反動を利用しない
一般の動きでは、力を出すために体をうねらせます。
しかし、これだと体重が乗るため、力が出る準備に時間がかかりすぎますから、
体重が乗りつつある間に、相手がそれに対して準備が出来てしまう。
対幹部をねじらず、足を床で蹴らない。
つまり反動を利用することがないという点です。
言い換えれば、出来るだけ力まない、筋肉の緊張を用いない動きなのです。
◎隙がない
体重を足裏にかけないで、フッと漂わせておくようにします。
そうすれば、身体をすぐ使えます。
すぐに使えるとは、どんな不意な状況でも、自在に応じることができる。
動くのにいっさいの準備がいらないということ。
それを「予期しない動き」と呼ぶ。
言い換えれば「隙がない」ということだろう。
支点がなく、常に全体で動いている状態にあるということでもある。
瞬時にどこも蹴ることなく全体が動き出せる状態にあるということ。
実際の動きです。



膝を抜いて身体と剣を軽くして抜刀を速くしています。
上段を構えた相手を切り上げる「円月抜」は、
前に膝を抜いて、転ぶような始動ですばやい抜刀を可能にしています。
「うねり系で思いっきりためる」のが大きな力を出す方法だと思っています。
でも、それでは遅いのです。
斬られてしまいます。
タメをつくらないで全体の動きを速くしないと勝てないのです。
「人間はいかに概念に捉われているのか」
「人間はいかに自分の身体のほんの一部しか知らないのか」
思い知らされます。
目次
第1章 ナンバ的身体の衝撃
第2章 武術的な動きとは、どのようなものか
第3章 スポーツと工学
第4章 日本人はどのように歩いていたのか
第5章 異分野からの挑戦者たち
対談 動くことと考えること(養老孟司・甲野善紀)