ヒトはいつ天使から悪魔に変わるのか 「悪の遺伝子」 | フォトリーディング読書感想文

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悪の遺伝子―ヒトはいつ天使から悪魔に変わるのか/バーバラ・オークレイ

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「人格は遺伝子が作る」

ヒットラーは十数種類の病気や障害を抱えていたと考えられている。
自己愛パーソナリティ症候群、境界性パーソナリティ症候群、反社会パーソナリティ症候群、総合失調症、パラノイア、悪性ナルシシズム・・・
さらには「弱く未発達な自我」、「破壊的主義で被害妄想を抱いた預言者」、「左脳の弱点によって、右脳が思考と行動に強い影響力を及ぼしていいた」といった評価もある。

ムッソリーニ、ポル・ポト、毛沢東、ミロシェビッチ、サダム・フセイン、ビン・ラディン・・・・

これらの情け容赦のない、欠陥のある独裁者はなぜ存在しているのか?
なぜ彼らは成功者になれたのか?


邪悪な人間が生まれる原因は環境だ、
社会環境を作り変えれば悪を根絶できる、

そう信じられていました。

しかし、人格は環境による影響だけで生まれるのではありません。
遺伝子によっても作られているのです。


本書は、人格に焦点を当て、それを神経科学で解明する内容です。



■第七章「悪魔に魅入られた男」

”異常性のすべてを武器にのしあがった男”とされる毛沢東、
その知性と性格異常について書かれています。
毛沢東が境界性パーソナリティ障害だったという証拠は時と共に多く見つかっている。若い頃の孤独とファシスト的な思想、医師が証言している神経衰弱、家族へのしうち、バンビツール(睡眠・鎮静剤)の濫用、仲間とのギブアンドテイクの関係欠如、猜疑心。
しかし毛沢東は反社会的な人物の特徴も示している・・・・

邪悪な成功者として、感情面での特徴を作り出している神経学的メカニズムとは何なのでしょうか。


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邪悪な人格形成の3ポイント

① 遺伝子要因

② 脳のしくみの欠陥

③ 神経伝達機能不全



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○「悪の遺伝子」は存在している

・衝動的な暴力に関連する酵素
・恐怖を感じにくくする遺伝子
・破壊的思考を生む脳内回路
・人格をひずませる染色体
・「けんかっ早い」「くよくよ型」の遺伝子



○吉凶を定める偶然の「組み合わせ」

遺伝子の組み合わせで運が悪かったものたちはしばしば、たとえ愛情あるストレスのない環境であっても幼少期から人格的な障害を示す。


○左右の脳半球が「不通」な人の場合

神経組織のこのような違いは、反社会的な人物が持つ、不気味なほどの対人スキルの高さと、感情の乏しさという奇妙なギャップとして、またストレスに対する無意識の反応の低さとなって現われているようだ。
脳梁の異常が人格に影響をおよぼすことがあるのは、脳梁の欠陥が左右の脳半球の連絡を妨げているからだ。特に、右脳がもたらすネガティブな気分を左脳が抑制することが出来なくなる。これによって反社会的な人物特有の攻撃的で無軌道な性格が現われるのだ。


○サイコパシー(反社会的な人格)はなぜ生じるのか

サイコパシーは本質的には学習障害か、あるいは、「情報処理能力障害」であり、目先の利益が期待できる行動に集中すると、それがもたらす影響がわからなくなってしまうのだ。
サイコパシーの本質は、規制を弱め、行動に変化をもたらす心理学的プロセスなのだ。


○境界性パーソナリティ障害は共感性を欠く

おおいに同情し、慰めることは出来るが、しばしば共感能力を欠いていることがある。これは他人の立場に身を置き、自分の行動がどのような影響を与えるかを理解する能力である。さらには、彼らが傷ついたとき、相手への怒りは強く、残酷になり、他人の立場を考慮せずに理解もしない。


○境界性パーソナリティ障害の原因

意思決定には複数の、ときに多数の脳組織の間で活動の超背が必要である。与えられた仕事をこなすために協同して働く必要のある部位は、同期して神経細胞を点火させる・・・・
正常であれば強調して働く脳組織のあいだで矛盾する信号がやりとりされ、「脱同期」を起こさせ、こうした脱同期が短期的反応を混乱させ、長期的反応を抑制し、環境パーソナリティ障害を引き起こしているのかもしれない。


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■道徳的盲目

サイコパシー(反社会的な人格)傾向がある遺伝子を持っていると、
善悪の判断が出来ない、
他人の気持ちが理解できない、
恐怖を感じない。

そして、「道徳的に盲目」になってしまうのです。


■「痛み」を感じる

「単純な脳 複雑な私」のブログでも取り上げましたが、
自分の「痛み」を感じ、他人の「痛み」を想像することで、心が生まれました。

「道徳」は「他人の痛み」を思いやることでもあります。
「痛み」を感じることができない人は、「異常」な社会しか作ることができないのです。


■「悪の遺伝子」治療

正常な遺伝子と異常な働きを理解することによって、病気の発見、診断、治療を進歩させることができます。
遺伝子の働きがもっと解明されてると、治療が難しいとされる「悪の遺伝子」についてもコントロールできるのです。



目次

0章 呪われたDNA
1章 姉はこうして狂っていった
2章 「邪悪な成功者」の正体
3章 人の性は善か、悪か
4章 気まぐれな遺伝子
5章 共感しない脳
6章 脳が私に嘘をつかせる
7章 悪魔に魅入られた男