こんなに何も考えていないのか! 「思考停止社会」 | フォトリーディング読書感想文

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思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (講談社現代新書)/郷原 信郎

¥777
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著者: 郷原信郎
出版社: 講談社現代新書
価格: 740円
発売日:2009年2月20日
☆☆☆☆


「何も考えないで、そのまま守る」思考停止


○消費期限切れ原料使用を「隠蔽」と決めつけられ、存亡の危機に立たされた不二家

○シアン化合物の水への混入を公表させられ、自主回収に追い込まれた伊藤ハム

○偽装の再発防止のための建築基準法改正で深刻な不況に見舞われた建築業界

○刑事司法を崩壊させかねない大問題を抱えているのに、誰も止められない裁判員制度

○経済司法の貧困により、秩序の悪化に歯止めのかからない市場経済

○何を意味するのか不明確なまま「年金記録の改ざん」バッシング



本書の著者は「消費期限切れ使用問題」の不二家の信頼回復対策会議の議長を務めた弁護士だ。
法令のプロ中のプロがその目で見た、現実と世間やマスコミで指摘され、糾弾されていることを解明している。
我々は問題の本質をしっかり見ていない。
すべてが、嘘と虚像、部分最適であると書かれている。


■思考停止な社会
「法令」10年前はほとんど馴染みのない言葉だったが、最近は頻繁に耳にする。
「法令遵守」がいつの頃からか徹底されるようになった。
何か問題が表面化すると、事実や中身やその背景や原因などより、法令に違反したかどうかが問題にされる。
法令違反はいかなる理由があっても許されない。
そして、一切弁解できない。マスコミから、世の中全体から問答無用で厳しい批判、非難が浴びせられる。
「法令遵守」という言葉が出てくると、我々は、それに盲目的に従っているのである。
自らを守ることのみ、相手に指摘をすることのみを考え、それ以外は思考停止になるのである。


■思考停止させるマスコミ
最も問題なのが、マスコミである。

本来、法令の判断を下せるのは裁判所のはずであるが、法令によって権限を与えれれた行政庁が「命令」を出したり、何の権限もないマスコミが「違反」のみならず、「偽装」「隠匿」「改ざん」「捏造」などのレッテル付けをして攻撃している。
そして、いつの間にか拡大解釈され、法令に違反する行為と同等以上に、大きな批判の対象を引き起こしている。

マスコミ報道は、通常やりっぱなし、自主的な検証やフォローが行われることはほとんどない。
そこに大きな問題がある。
真実に反する報道が行われたときでも、真摯にそれを受け止め、訂正報道をすることはほとんどない。
実際に「不二家問題」もそうであったようだ。
異常である。
「違反しない範囲で利潤を最大化する」という単純な自由競争のもとにあるマスコミに騙されないことである。


■思考停止しないために
社会で起こる「法令違反」とされるもの、その嘘の多さに驚く。
まさに、こっちの方が「捏造」や「偽装」である。

どう対処すればいいのか?
原因は、起きている現象の上っ面だけを見ていることにある。
それがどういう問題なのかが関係者や国民に理解されていないために誤解が生じ、それが不信につながっている。

起きている物事の本質、根本を理解し、認識しすることである。
そして、どうするかを明確にして解決、実行しなければならない。

「問題発見」と「問題解決」

「何も考えないで、そのまま守る」はもうやめよう。
もっと考えるよう。


そうしないと「法令遵守」に潰されてしまう。



目次
第1章 食の「偽装」「隠蔽」に見る思考停止
第2章 「強度偽装」「データ捏造」をめぐる思考停止
第3章 市場経済の混乱を招く経済司法の思考停止
第4章 司法への市民参加をめぐる思考停止
第5章 厚生年金記録の「改ざん」問題をめぐる思考停止
第6章 思考停止するマスメディア
第7章 「遵守」はなぜ思考停止につながるのか
終章 思考停止から脱却して真の法治社会を