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著者: わぐりたかし
出版社: 光文社新書
価格: 880円
発売日:2009年3月20日
☆☆☆☆☆
01 急がば回れ(滋賀)
02 ごたごた(神奈川)
03 らちがあかない(京都)
04 ひとりずもう(愛媛)
05 あこぎ(三重)
06 縁の下の力持ち(大阪)
07 つつがなく(山形)
08 あとの祭り(京都)
09 どろぼう(愛知)
10 関の山(三重)
11 うやむや(秋田)
12 あいづちを打つ(京都)
13 元の木阿弥(奈良)
14 チンタラ(鹿児島)
15 ごり押し(石川)
16 お払い箱(三重)
17 うだつが上がらない(徳島)
18 うんともすんとも(熊本)
19 火ぶたを切る(愛知)
20 のろま(新潟)
21 大黒柱・醍醐味(奈良)
22 二の舞(静岡)
23 地団駄を踏む(島根)
語源ハンターと称する著者が、その言葉が生まれたといわれる土地に実際に行って、語源の謎を確かめる内容である。
ことばは人と時代が作る。
人と時代がことばを変化させる。
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【一人相撲】
・現代の意味
相手にかまわず、自分だけが気張って事をすること。また、双方の力量に差がありすぎて、争っても勝負にならないこと。
・本来の語源
見えない大きな力を信じて、身をゆだねて、お互いに敬意をあらわし感謝する、思いやりに満ち溢れたふるまいのこと。
豊作のために神様の前で、「一人で相撲」をとる行事が語源である。
【らちがあかない】
・現代の意味
物事の決まりがつかない。事態が進展しない。決着がつかない。
・本来の語源
ある一定の期間が終わり、新しい時間がスタートすること。
吉凶を占う神事である競馬会がある。その馬場の周囲の柵が「埒(らち)」である。
競馬に乗る人たちは、本番に備えて身を清めるために2ヶ月前から、禁欲生活に入る。
家族だけではなく、一族の代表として送り出す乗尻の無事を祈る緊張した生活を強いられる。
何事も手に付かず、まったく、らちがあかない。
競馬が終わり、馬場の柵、埒が片付けられ、乗尻が無事に家に帰ってきてようやく緊張から解放され、普段の生活に戻ることができる。
ようやく、らちがあく。
【どろぼう】
・現代の意味
ぬすびと。盗賊。盗みをすること。
・本来の語源
「土呂坊」にある浄土真宗の寺院と僧侶が「どろぼう」呼ばわりされたこと。
当時、その寺院は「守護不入」といって、年貢も諸役も免除。治外法権的な特権を持ち、一大勢力を誇った。しかし、それが天下統一をめざす家康にとっては、排除しなければならない障害であり、激しい衝突が起こった。
元祖どろぼう、土呂の本宗寺を「どろぼう」と呼び排除した。
家康の家臣が、勝手に守護不入を侵して、蔵を奪い、米穀を奪い取る事件もあった。
寺の側からしてみれば、家康の方こそよっぽど、どろぼうだ。
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ことばの意味は本来の語源から、変化している。
逆の意味になっている場合も多い。
これほどの意味が変っているということは、
人は、そのことばの持つの本来の意味を丁寧に語り伝えていないことがわかる。
「ことば尻をとらえる」というが、何か適当にその言葉が持つニュアンスのほうが勝って、変化している。
ことばは人にとって、その時代の”遊び道具”のようなものであるのかもしれない。
今の若者言葉のように、若者がきっと先導して変えてきたのではないか。
だとすると、今も昔も変らない。
ことばの語源を知るのは、日本の文化を知ることである。
ことばの意味の変化を知ることは、日本の文化と歴史を知ることでもある。