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著者: ティム・ワイナー
出版社:文芸春秋
価格: 1857円
発売日:2008年11月15日
★★★★★ 中身の濃さ(情報、証言満載)
★★★★★ わかりやすさ(時系列になり、詳しい)
★★★★★ 読み応え(ズッシリ)
下巻の内容
【全米図書賞(2007年)】西洋文明史上最強の国・アメリカは、いかにして一級の諜報機関を作ることに失敗したのか。CIAの創立から60年間の記録。
下は、ケネディ、ジョンソン時代の後半から、クリントン、ブッシュ時代までを収録。
目次
第4部 1968年~1977年 ニクソン、フォード時代
・「あの間抜けどもは何をしているのだ」ニクソンとキッシンジャー
・「米政府は軍事的解決を望む」チリ、アジェンデ政権の転覆 ほか
第5部 1977年~1993年 カーター、レーガン、ブッシュ・シニア時代
・「カーターは体制の転覆を図っている」カーター人権外交
・「ただぐっすり寝込んでいたのだ」イラン革命
第6部 1993年~2007年 クリントン、ブッシュ時代
・「われわれにはまったく事実がなかった」ソマリア暴動
・「一体全体どうして分からなかったのか」エームズ事件
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下巻の3ポイント
1)更なる組織の荒廃
2)失敗の連続
3)アメリカを破壊する
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ベトナム戦争の失敗(p9)
「ベトナムの10年間、私の悪夢だった」、、、、「何よりも悲しいのはわれわれの無知、無邪気さといってもよい。それが評価を狂わせ、理解不能にし、多くの間違った決定に導いたのである」
内部崩壊(p116)
「CIAは自分たちの支配の下で自己満足に陥り、膨張してしまった、、、、、あまりにも多くのものが、お互いに監視し合い、スパイゲームを演じ、古きよき時代の思い出にふける以外に、ほとんど何もしていない」
無能で怯えている(p153)
振り返ってみれば、この国の政府では、諜報機関が政治的論争のリスクに直面せずに正直な分析結果を出すことは不可能だと思うしかない。
アルカイダを生んだ(p241)
ソ連兵がアフガニスタンを去った。CIAの武器は流入し続けた。「われわれは誰もが実際には、重大な結果を予想しなかった」、、、、白衣をまとったサウジアラビア人たちが姿を見せ始めた、、、、やがてそれは世界に広まり、アルカイダと呼ばれる新しい勢力の使徒たちだった。
能力喪失(p248)
対イラク航空戦、国防省はCIAに爆撃目標を選定するように求めた、、、、空軍はそれを爆破したが、壕は民間用の防空壕として使われたものだった。数百人の女子供が死亡した。それ以後は、CIAが目標設定を求められることはなくなった。
イラクの大量破壊兵器の誤報(p344)
イラクの兵器が存在すると確信した、、、、たった一つの証拠、それも四年も前の証拠に基づいて決めたことを「われわれは自らの歴史の囚われたのだ」と弁解している。
組織の荒廃(p346)
「壊れている。あまりの壊れ方に誰も信じたがらないほどだ」「機能不全に陥っていて、矯正措置が必要なことを少しも認めない。ことわざで言う絶壁に向けて道を歩き続けている」
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この本を読んで
「万能のCIA」は実は全くの幻想だった。
CIAにとっての諜報や秘密工作は、実は、CIAという官僚組織の維持を最大目標としたものに主客転倒していった。そして、ときの大統領に歓心をかおうとして必死になり、組織の衰退を早めた。
自由と民主主義の国アメリカで、諜報機関は非合法でありながら「死活にかかわるもの」として認めてきたが、その答えは言うべくもない。テロも誘発したのではないか。
「われわれがいま直面する最大の脅威は何か。人々はそれはテロであると言うだろう。しかしいったい、アメリカ人の生活様式やアメリカの政治制度を変えられるテロリストがこの世界にいるだろうか、、、、われわれを変えられるのは、われわら自身だけだ。」
コリン・パウエル
アメリカは世界を、自分の国をもっとありのままに見る目を持たなければ、大国として長くは続くはずもない。
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この本から分かったこと
『虚像は自らを壊す』