今回の記事は、テーマ的な「関連性」のため、こちらの記事を「リブログ」して書いています。

 

新しい、「ロック世代」のアーティスト、フランソワ・ヴェルテメール(1947-)との共作アルバム、「la louve "雌狼"」(1973)(「日本盤」のタイトルは「黒いデッサン」)は、一聴して「明らか」なくらい、「ロック・テイスト」が色濃く出た作品で、当時としては、まさに「革新的」であったとも言えます。

 

そのことが、「1980年代以降のバルバラ」への、1つの「布石」にもなったと言えるのですが、このアルバムでは、全10曲中、「chanson pour une absente "le 6 Novembre" "居ない女(ひと)のために(11月6日)"」の1曲を除いて、「詞」の方をフランソワ・ヴェルテメールが書き、「曲」は、バルバラ自身が書いています(なお、「編曲」は何と、「新人時代」のウィリアム・シェラーが担当しています)。

 

 

この、アルバムの終曲「je t'aime "ジュ・テーム"」は、フランソワ・ヴェルテメールとのデュエット曲です。

 

「不安」を誘うような曲に聴こえますが、詞は、狂おしいまでに「情熱的」です。

 

 

 

続いては、男性ながら、「バルバラの魂」を、現代に伝える「稀有」な存在であるマテュー・ロザス(1975-)。

 

こちらは、2013年1月に発表されたカバーアルバムからの音源ですが、「映像」は、ジョルジュ・ドン(1947-92)を擁する、モーリス・ベジャール(1927-2007)率いる「20世紀バレエ団」と、バルバラ自身が「共演」した時のもので、大変「貴重」です(1976-77年のバレエ、「je suis ne a Venise (私はヴェニスに生まれた)」より)。

 

 

(「1976年」のバルバラと言えば、確認出来る「活動の記録」は、ほぼ、これしかありません...)

 

 

 

 

 

 

こちらは、最新の「大全集」です...(ちょっと「手が出ない」かも...)。

 

 

こちらが、「前回」の「大全集」。

 

 

こちらは、いわゆる、「文庫版の全集」です。

 

 

こちらは「全詞集」です(書籍)。

 

 

マテュー・ロザスの録音は「こちら」。

 

 

 

アルバム「la louve "雌狼"」(1973年9~10月録音)についての「詳細」は、こちらの記事に書いています。

 

 

これまでの記事

 

 

(参考)こちらは、私が「参考」としている「ファンサイト」です。

http://www.passion-barbara.net/

 

 

 

 

さて...

 

 

「6月9日」は、フランスを代表する「偉大な女性歌手」、バルバラ(1930-97, 本名モニック・セール)の「誕生日」となります。

 

 

今回紹介する曲は、1973年の9月から10月にかけて録音され、「即発売」(10月31日発売と見られます)となったアルバム、「la louve "雌狼"」(日本盤タイトル「黒いデッサン」)からの1曲で、「最終曲」でもある「je t'aime "ジュ・テーム"」ですが、ここに聴くように、「オリジナル録音」は、「共作者」でもある、フランソワ・ヴェルテメール(1973-)との「デュエット」となっています。

 

 

この、フランソワ・ヴェルテメールとバルバラとの「出会い」が「どのようなもの」であったのかは、現在となっては資料に乏しく、はっきりとしたことを言うことはもはや「出来ない」のですが、当時は、「恋仲」であったことも言われているようであり、これは、今回のこの曲を聴いていただくだけでも「充分」と言えるのかも知れません...。

 

 

 

フランソワ・ヴェルテメールについては、こちらの記事に詳しく書いています。

 

 

 

今回紹介している曲のアルバム、「la louve "雌狼"」からは、これで、「全10曲中6曲」を、「歌詞対訳」付きで「正式」に紹介したことにもなりますが、「chanson pour une absente "le 6 Novembre"  "居ない女(ひと)のために(11月6日)"」は、ほぼ「歌詞のない歌」とも言えるので、「7曲」まで紹介しているとも言えると思います。

 

 

「Marienbad "マリエンバード"」をはじめとして、「オリジナル」のアルバムタイトル曲である「la louve "雌狼"」、「l'enfant laboureur "花を咲かせるために"」など、数々の「有名な作品(大ヒット曲)」を生み出しているアルバムでもあるのですが、「現在の日本」では、もはや、あまり「なじみのない」存在になってしまっているのかも知れません...。

 

 

 

そして、「編曲」を担当したウィリアム・シェラー(1946-)も、「健康上の理由」から、残念ながら、「歌手活動」からはすでに「引退」を表明していますが、現在でも、「作曲活動」は続けているようです。

 

 

そのシェラーの「代表作」と言うか、「代名詞」でもある名曲が、こちらの「un homme heureux "幸せな男"」(1991)...。

 

 

「カラー映像」だと、「ごく最近」のもののようにも思ってしまいがちですが、実はもう、「32年」も前の映像です...。

 

 

この曲の記事(「歌詞対訳」も載せています)

 

 

 

そして...

 

 

「誕生日」の記事として、これまでに、「2回」も書いているこの曲、「le Minotaure "ミノトール(ミノタウロス)"」(「今回の記事」は、その「前回記事」の「リブログ」となっています)。

 

 

この曲も、今回のアルバムの1曲ですが、非常に「哲学的」な曲であり、聴いていると、私はすぐ、「あの二人」を思い出します...(と言うより、「あの二人」を見ていて、「この曲」を思い出した...)。

 

 

...そう、「こちらの記事」にも書きました...。

 

 

 

5月27日に「終映」となり、9月にはいよいよ「Blu-ray & DVD」も「発売」となる、映画「すずめの戸締まり」...。

 

 

あの「二人」を、下に挙げている「歌詞」に「重ね合わせる」ことは出来ないでしょうか。

 

 

私には、どうしても、「同じような精神」が感じ取れて仕方がないのですが...(ちょっと「大げさ」かな...?)。

 

 

 

先に、今回の曲「je t'aime "ジュ・テーム"」の歌詞を、続けて、その「le Minotaure "ミノトール(ミノタウロス)"」の歌詞もあわせて掲載しています。

 

 

 

ありがとうございました。

 

 

それではまた...。

 

 

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je t'aime  ジュ・テーム

 

comme le vent d'Ouessant vient griffer la falaise

comme l'aube , en jouant, peut faire fondre les neiges

comme les folles fievres, de fantasmes en malaises

comme les doigts du diable distillent les arpeges

comme un ocean, un lac, avant les ouragants

comme un grand requin bleu sommeille entre deux eaux

comme un horizon pale pour un soleil couchant

comme un aigle royale survole les roseaux

je t'aime

 

西の海からの風が断崖をひっかきに来るように

雪を解かす夜明けが、戯れるようにやって来るように

幻想から不安へと誘う、ひどい熱のように

アルペジオをかき鳴らす、悪魔の指のように

嵐の前の海や、湖のように

二つの海の間で眠る大きな青いサメのように

太陽が沈み行く、蒼白い水平線(地平線)のように

葦の上を飛ぶイヌワシのように

愛してる

 

comme un diamant blanc-bleu engendre la folie

comme les avalanches se jettent dans un gouffre

comme une terre qui s'ouvre a la foudre en furie

tu batis tes enfer et y sombres et y souffres

comme un oiseau perdu, dans les vignes, s'enivre

tu vas et tu te perds, et derives et chavires

c'est a la presque-mort que tu me reviens vivre

vivre au nouveau soleil de tes anciens soupirs

je t'aime

 

狂気を生み出す、蒼白のダイヤモンドのように

奈落へと落ち込む雪崩のように

激しい稲妻で、裂ける大地のように

君は地獄を作り、そこに沈み、そこで苦しむ

ブドウ畑で、酔いながら、迷った鳥のように

君は行き、自分を見失う 漂流して転覆する

君が生きるために、僕のもとへと帰って来るのは、もうほとんど死にかけで

新しい太陽のもとで、昔のため息とともに

愛してる

 

comme un grand arc-en-ciel sait feter un orage

tu vas noyer tes foudres dans un lac d'oubli

comme un chef vainqueur saurait rendre un hommage,

tes pardons me reviennent comme mes melodies

comme un navire au port, contre vents et marrees,

tu defends mes tresors, tu caches mes secrets

comme un pale cerbere, tu gardes notre enfer

et tu m'aimes, tu m'aimes

 

大きな虹が、嵐を祝うことを知っているように

あなたはその雷を、忘却の湖に沈めることでしょう

勝者の王が、敬意の払い方を知るかのように

あなたの許しは、メロディのように、私に返って来る

風や潮に逆らい、港に停泊する船のように

あなたは私の宝を守り、私の秘密を隠してくれる

蒼白いケルベロス(地獄の番犬)のように、あなたは私たちの地獄を守っている

そして、私を愛してる 私を...

 

comme le vents d'Ouessant vient griffer la falaise

comme l'aube en jouant, peut faire fondre les neiges

comme les folles fievres, de fantasmes en malaises

comme les doigts du diable distillent les arpeges

comme le vent d'Ouessant

comme l'aube en jouant

comme les folles fievres

comme les doigts du diable

comme, comme

je t'aime, je t'aime

comme, comme

je t'aime, je t'aime

comme, comme

tu m'aimes, tu m'aimes

comme, comme

je t'aime, je t'aime

comme, oui comme

tu m'aimes, tu m'aimes

comme, comme

tu m'aimes, tu m'aimes...

 

西の海からの風が断崖をひっかきに来るように

雪を解かす夜明けが、戯れるようにやって来るように

幻想から不安へと誘う、ひどい熱のように

アルペジオをかき鳴らす、悪魔の指のように

西の海からの風が

夜明けが、戯れるように

ひどい熱のように

悪魔の指のように

こんなにも、こんなにも

愛してる、愛してる

こんなにも、こんなにも

愛してる、愛してる

こんなにも、こんなにも

あなたは私を愛してる 私を

こんなにも、こんなにも

愛してる、愛してる

こんなにも、そう、こんなにも

あなたは私を愛してる 私を

こんなにも、こんなにも

あなたは私を愛してる 私を...

 

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le Minotaure  ミノトール(ミノタウロス)

 

dans le grand labyrinthe ou je cherchais ma vie,
volant de feu en flamme, comme un grand oiseau ivre
parmi les dieux dechus et les pauvres amis,
j'ai cherche le vertige en apprenant a vivre


広い迷宮の中で、私は自分の人生を探した
大きな、酔った鳥のように、火から炎へと飛びながら
失墜した神々や、哀れな友たちの間で
私は眩暈を探した。生きることを学びながら...

 

j'ai chemine souvent, les genoux sur la terre,
le regard egare, embrouille par les larmes
souvent par lassitude, quelquefois par priere,
comme un enfant malade, envoute par un charme

 

時折、私はいざり歩いた。大地に両ひざをついて
眼差しは迷い、涙で曇った
時には疲れで、また、時には祈りで
魅了されて、病気になった子どものように...

 

dans le grand labyrinthe, allant de salle en salle,
de saison en saison, et de guerre en aubade
j'ai fait cent fois mon lit, j'ai fait cent fois mes malles,
j'ai fait cent fois la valse et cent fois la chamade

 

広い迷宮の中で、広間から広間へと
季節から季節へ、戦争から、大騒ぎへと
私は、何度もベッドを作り、何度も立ち去った(逃げ出した)
何度もワルツを踊り、何度も降参した

 

je cheminais toujours, les genoux sur la terre,
le regard egare, embrouille par les larmes
souvent par lassitude, quelquefois par priere,
comme un enfant rebelle qui depose les armes

 

私はいつもいざり歩いた。大地に両ひざをついて
眼差しは迷い、涙で曇った
時には疲れで、また、時には祈りで
戦いをやめた、反抗的な子どものように...

 

mais un matin tranquille, j'ai vu le Minotaure
qui me jette un regard comme l'on jette un sort

 

けれど、ある静かな朝に、私は「ミノトール(ミノタウロス)」を見た
彼は、呪いをかけるような眼で私を見た

 

dans le grand labyrinthe ou il cherchait sa vie,
volant de feu en flamme, comme un grand oiseau ivre
parmi les dieux dechus et les pauvres amis
il cherchait le vertige en apprenant a vivre

 

広い迷宮の中で、彼は、自分の人生を探していた
大きな、酔った鳥のように、火から炎へと飛びながら
失墜した神々や、哀れな友たちの間で
彼は眩暈を探していた。生きることを学びながら...

 

il avait chemine, les genoux sur la terre,
le regard egare, embrouille par les larmes
souvent par lassitude, quelquefois par priere,
comme un enfant rebelle qui depose les armes

 

彼はいざり歩いた。大地に両ひざをついて
眼差しは迷い、涙で曇った
時には疲れで、また、時には祈りで
戦いをやめた、反抗的な子どものように...

 

dans le grand labyrinthe, de soleil en soleil,
de printemps en printemps, de caresse en aubaine
il a refait mon lit pour de nouveaux sommeils,
il m'a rendu mes rires et mes reves de reine


広い迷宮の中で、太陽から太陽へと
春から春へ、愛撫から、思わぬ幸運へと
彼は、私のベッドを作り直した。新しいまどろみのために
彼は、私に、「笑い」と、「女王の夢」を取り戻してくれた

 

dans le grand labyrinthe, de soleil au soleil,
volant vers la lumiere, comme deux oiseaux ivres
parmi les nouveaux dieux et les nouveaux amis,
on a mele nos vies et reappris a vivre...


広い迷宮の中で、太陽から太陽へと
酔った鳥のように、光の方へと飛びながら
新しい神々と、新しい友たちの間で
2人は、人生を混ぜ合わせ、あらためて、「生きること」を学んだ...

 

(daniel-b=フランス専門)