こちらは「オリジナル録音」です(1973年9~10月録音)。

 

こちらは、翌年2月に行なわれた、パリ、ヴァリエテ劇場公演の「ライヴ録音」からです。

https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10097047678.html(これまでの記事)

 

さて、「冬が似合う名曲」ということで、この作品をお届けしたいと思いますが、今年は、「あいにく(?)」の暖冬...。

 

冬の「始まり頃」の方が、もっともっと「寒かった」ような気もしますが、何はともあれ、「冬」が終わってしまう前に、この曲を行ってみたいと思います。

 

今年は、「生誕90周年」(「6月9日」が誕生日)にもなる、偉大な女性歌手バルバラ(1930-97, 本名モニック・セール)...。

 

「命日」であった「11月24日」に向けて書いた、前回の記事、「l'enfant laboureur "花を咲かせるために"」(1973)の、純然たる「続き」とも言い得る今回の記事です。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12548377738.html?frm=theme(参考:「花を咲かせるために」の記事)

 

 

1973年10月31日に発売されたアルバム、「la louve "雌狼"」(日本でのタイトルは「黒いデッサン」)は、新世代のアーティスト、フランソワ・ヴェルテメール(1947-)と組んだことで、当時としては、大変「革新的」な作品となりました。

 

全10曲中、これまでに「4(6)曲(*を付けている作品)」を紹介しています。

 

詳しくは、上掲の「花を咲かせるために」の記事をご覧いただければ幸いです。

 

フランソワ・ヴェルテメールは、「chanson pour une absente "le 6 Novembre" "居ない女(ひと)のために(11月6日)"」以外の、すべての歌詞を書いています(バルバラは、すべての「曲」を書いています)。

 

1.l'enfant laboureur  花を咲かせるために *

2.le Minotaure  ミノトール(ミノタウロス) *

3.la-bas  鏡の向こう側

4.les hautes mers  みち潮

5.chanson pour une absente "le 6 Novembre"  居ない女(ひと)のために(11月6日) (*)

6.Marienbad  マリエンバード *

7.la louve  雌狼 (*今回の記事)

8.Mr.Capone  ムッシュー・カポネ

9.ma maison  私の家 *

10.je t'aime  ジュ・テーム(フランソワ・ヴェルテメールとのデュエット曲) (*前回の記事にて言及)

 

 

現在となっては、「異世代のアーティストによるコラボ」ということ以上には「分からないことが多い」二人の関係ですが、少なくとも、このアルバムを制作していた当時は、「恋人同士」であったということも、やはり、「言われてはいる」ようです。

 

 

今回は、そのフランソワ・ヴェルテメールの映像を少し拾ってみました...。

 

こちらは、テレビ番組「ディスコラマ」から(1974年頃の映像と思われます)。

ちょうど「4分」頃から、このアルバム制作の思い出が語られています。

インタビュアーは、有名な女性司会者、ドニーズ・グラゼール(1920-83)です。

 

「カラー」のテレビ出演映像もあります(番組の「前半部分」となります)。

歌われている曲から、1970年代の終わり頃の映像だと思われます。

 

歌われている曲は、以下の通りです。

 

1.bouton d'or  金のボタン(1977)

2.les vents perdus  失われた風(1970)

3.le clown  ピエロ(1977)

 

 

こちらは、パリにある、「シャンソン文化の保存」に努める団体、「le Hall de la chanson」による「公開インタビュー」の模様です。

 

2017年5月のものだということです。「参考」までに...。

 

フランソワ・ヴェルテメールは、高校で知り合ったジャン=ミシェル・ジャール(1948-)とともに、「プロ」としての音楽活動を始めました。19歳の時、すでに、ミュージカル作品「poperacosmic "ポペラコスミック"」(1966)を発表しています。

 

「歌手」としての「ソロアルバム」は、1970年発表の「Wertheimer "ヴェルテメール"」で、上掲の動画でも歌われている「les vents perdus "失われた風"」は、そのアルバムからの1曲です。

 

その後、ジョニー・アリディ(1943-2017)のツアーの「前座」を務めたりもしましたが、一方で、「ミュージカル作家」としても名を上げました。

 

バルバラと「共作」した今回のアルバム「la louve "雌狼"」(1973)は、まさしく、その「上昇気流」にあった頃の作品と言うことが出来るでしょう。

 

 

今回は、その「アルバムタイトル曲」である「la louve "雌狼"」を採り上げました。

 

冬、雪の湖畔で、大きな犬に出会った、「孤独」な雌狼...。

 

その「詞」、「曲」からも、その情景が、「手に取るように」分かるようですが、この「関係」は、まさに、バルバラとフランソワ・ヴェルテメールそのものを表していると取ることも出来ますね。大変「ドラマティック」なシャンソンだと思います。

 

 

最後に、こちらも「珍しい」ライヴ録音である、「le Minotaure "ミノトール(ミノタウロス)"」も載せておきましょう...(翌1974年2月の、ヴァリエテ劇場公演から)。

 

「le Minotaure "ミノトール(ミノタウロス)"」についての記事

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12281858363.html(「記事その2」2017年)

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12168927645.html(「記事その1」2016年)

 

 

それでは以下に、この「la louve "雌狼"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。

 

今回の訳詞は、「より正確」を期すため、2種類の日本盤(FDX222「黒いデッサン」、SFX-5161-2「バリエテ座のバルバラ」)に記載の日本語詞(名前の記載はありませんが、たぶん、鳥取絹子さん)を参考に、公式の全詞集に掲載の原詞と照らし合わせながらまとめました(それでも分からないところは、「聴き取り」による判断です)。

 

 

次回は、このアルバムの「編曲・指揮」を務めた、ウィリアム・シェラー(1946-)の名曲、「un homme heureux "幸せな男"」(1991)について書いてみたいと思います。

 

この曲ですね。

 

それではまた...。

 

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la louve  雌狼

 

aux matins freles des lacs de neige

aux matins froids aux reflets greges

aux soleils, frissons de l'hiver

je suis la louve solitaire

 

雪の湖でのはかない朝

生糸のような反射で寒い朝

冬の身震いするような太陽のもと

私は孤独な雌狼

 

j'allais sur mes terrains de guerre

cachee, chassant sur mes chemins

soudain, sur un socle de pierre

il m'est apparu un grand chien

 

私は自分の戦場へと出かけて行った

身を隠し、狩りをしながら、歩みを進めていた

すると突然、岩の上に

大きな犬が現われた

 

et moi la louve, et moi la reine

et moi la faim, et moi l'instinct

j'ai pose ma tete de fauve

dans la fourrure du grand chien

 

私は雌狼、私は女王

私は飢え、私は本能そのもの

私は自分の獣の頭を

彼の毛の中に埋めた

 

et le chien, au midi frileux

a suivi ma piste et ma chasse

et j'ai cru voir dedans ses yeux

le reflet d'un eclair qui passe

 

そして犬は、肌寒い昼間に

私の後について狩りへとやって来た

私は、その瞳の中に

光のきらめきが走るのを見たような気がした

 

il faut croire qu'il etait chien fou

quand il me suivit sur la neige

n'etant qu'un chien, il se crut loup

et prit sa patte dans mon piege

 

それは愚かな犬だった

雪の中、私の後をついて来て

ただの犬なのに、自分を狼だと思い込み

そして、私の罠にはまったの

 

et moi la louve, moi la reine

et moi la faim, et moi l'instinct

j'ai ouvert le piege de fer

et mordu sa cuisse de chien

 

私は雌狼、私は女王

私は飢え、私は本能そのもの

私は、その鉄の罠をほどき

彼の尻にかみついた

 

mais au nid, au doux crepuscule

entre chien et loup, au palais

couches sur notre lit de tulle(bulles)

moi, la louve, j'ai leche ses plaies

 

けれど、穏やかな夕暮れ時

犬と狼の間で、宮殿にいるように

瓦の(または、「やわらかな」)ベッドに横たわり

私、雌狼は、彼の傷を優しくなめた

 

aux matins freles des lacs de neige

aux matins froids aux reflets greges

aux soleils, frissons de l'hiver

je reste louve solitaire

solitaire, solitaire, solitaire...

 

雪の湖でのはかない朝

生糸のような反射で寒い朝

冬の身震いするような太陽のもと

私は孤独な雌狼

孤独な、孤独な、孤独な...

 

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(daniel-b=フランス専門)