私が「ベスト・パフォーマンス」として挙げたいのがこの映像です。

こちらは2008年の映像です。

こちらは、1960年代の映像のようです。

 

これは「貴重」な映像が出て来ました...。

昨年(2018年)3月3日、アムステルダムでの公演の模様だということです。

本人の顔までは確認出来ませんが、「最晩年」のパフォーマンスを知ることが出来る、大変「貴重」な記録です。

1965年の「オリジナル録音」を、「字幕付き」でどうぞ。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12531111338.html(前回の記事)

https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10097399965.html(これまでの記事)

 

「10月1日」は、昨年、「突然の訃報」に驚いた、フランス・シャンソン界の「伝説的大歌手」、シャルル・アズナヴール(1924-2018)の「命日」です。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12409439967.html?frm=theme(アズナヴール逝去の記事)

 

前回に引き続き、シャルル・アズナヴールの「代表的名曲」を紹介しましょう。

 

今回紹介する曲は、1965年の作品「la boheme "ラ・ボエーム"」です。

 

この年の暮れから、シャトレ劇場で上演されたオペレッタ、「ムッシュ・カルナヴァル」からのナンバーで、主演のジョルジュ・ゲッタリー(1915-97)が歌って「大ヒット」しましたが、「作曲者」であるアズナヴール自身もレコーディングして、以降、彼の「代表作」の1つとなりました(詞は、ジャック・プラントが書いています)。

 

この曲の「主人公」は、「貧しかった画学生時代」の「思い出」を歌っているのですが、その「リアルさ」に胸を打たれます。

 

タイトルの「ラ・ボエーム」とは、「自由きままな(芸術家)生活」のことで、「ボヘミアン(放浪生活者)」と「同じ」言葉です。

 

そのジョルジュ・ゲッタリーによる名唱をどうぞ。

1966年10月6日放送のテレビ番組からだということです。

 

ジョルジュ・ゲッタリーと言えば、同じく、「モンマルトル」が「舞台」となった、こちらの曲も「有名」です。

 

「モンマルトルの象徴」とも言える、キャバレー(ミュージック・ホール)「ムーラン・ルージュ(赤い風車)」を舞台に、画家ロートレック(1864-1901)の生涯を描いた同名のイギリス映画(1952)の主題歌、「Moulin-Rouge "ムーラン・ルージュの歌"」です。

 

映画では、「英語版(「Where is your heart」)」の方が使われましたが、翌1953年、ゲッタリーもいち早く録音して大ヒットしました。

 

また、「la boheme "ラ・ボエーム"」と共通するテーマの作品としては、レオ・フェレ(1916-93)の「la vie d'artiste "芸術家の人生"」(1950)があります。

 

この曲も、元々は「オペラ」の1曲として書かれたもので、フランシス・クロード(1905-89)との「共作」です。

 

私の「お気に入り」の、1972年の「朗唱版」でどうぞ...。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12193267711.html?frm=theme(参考:「レオ・フェレ生誕100周年」の記事)

 

 

このような映像も出て来ました...。

 

2015年11月にアップされている映像ですが、アズナヴールの隣にいる男性歌手は、ケンジ・ジラク(1996-)といい、オーディション番組、「The Voice(3rdシーズン)」(2014)で、見事「優勝」を果たした人です。

 

名前だけ見ると「日系」のようにも思えますが、「スペイン系」の方のようです(生まれは「フランス」です)。

 

ケンジは、この前年、2014年11月に発売の、アズナヴールのトリビュート・アルバム、「Aznavour, sa jeunesse "アズナヴール、その若かりし頃"」に参加しており、この「la boheme "ラ・ボエーム"」を歌っています。

 

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ケンジについては、ユトリロさんが、下の記事で採り上げていました(私もコメントしています)。

https://ameblo.jp/utrillo-714/entry-12355239246.html

 

それでは、以下に、「la boheme "ラ・ボエーム"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。

 

先述のように、シャトレ劇場で上演されたオペレッタ、「ムッシュ・カルナヴァル」からのナンバーということで、詞は、ジャック・プラント(1920-2003)が書いています。曲はもちろん、アズナヴール自身が書いています。

 

アズナヴールは、ステージでは必ず「ハンカチ」を使い、「身振り手振り」で、その「情景」を、巧みに「描写」してみせています。

 

そのことで、この作品の主人公が「画学生」であることが分かるようにもなっています。

 

また、「オリジナル」は、曲全編が「歌」となっていますが、後年のステージでは、「最終節」を「朗唱」として、「過去」と「現在」を「区別」し、その「ドラマ性」に、いっそうの「厚み」を持たせているように感じます。そのあたりは「さすが」ですね。

 

というわけで、今回は、「la boheme "ラ・ボエーム"」について書いてみました。

 

それではまた...。

 

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la boheme  ラ・ボエーム

 

je vous parle d'un temps

que les moins de vingt ans

ne peuvent pas connaitre

Montmartre en ce temps-la

accrochait ses lilas

jusque sous nos fenetres

et si l'humble garni

qui nous servait de nid

ne payait pas de mine

c'est la qu'on s'est connu

moi qui criais famine

et toi qui posais nue

la boheme

la boheme

ca voulait dire on est heureux

la boheme

la boheme

nous ne mangions qu'un jour sur deux

 

二十歳にも満たない人たちには

理解できない

時代の話をしよう

当時のモンマルトルでは

僕たちの部屋の窓のすぐ下にまで

リラが枝を伸ばして咲いていた

粗末な家具付きの部屋が

僕たちの愛の巣で

見映えはしなかったけれど

そこで僕たちは知り合った

僕はろくに食べるものもなく

君は僕の前でヌードのモデルをしていた

ラ・ボエーム

ラ・ボエーム

それは「幸せ」だということ

ラ・ボエーム

ラ・ボエーム

僕たちは一日おきにしか食べていなかった

 

dans les cafes voisins

nous etions quelques uns

qui attendions la gloire

et bien que misereux

avec le ventre creux

nous ne cessions d'y croire

et quand quelques bistrots

contre un bon repas chaud

nous prenait une toile

nous recitions des vers

groupes autour du poele

en oubliant l'hiver

la boheme

la boheme

ca voulait dire tu es jolie

la boheme

la boheme

et nous avions tous du genie

 

近くのカフェで

僕たちは

来るべき栄光を夢に見ていた

空き腹をかかえた

みじめな暮らしにもかかわらず

未来を信じてやまなかった

いくつかのビストロでは

温かい食事と引き換えに

絵を引き取ってもくれた

僕たちはストーブを囲って

冬も忘れて

詩を朗唱したものだった

ラ・ボエーム

ラ・ボエーム

それは「君が美しい」ということ

ラ・ボエーム

ラ・ボエーム

僕たちはみんな天才だった

 

souvent il m'arrivait

devant mon chevalet

de passer des nuits blanches

retouchant le dessin

de la ligne d'un sein

du galbe d'une hanche

et ce n'est qu'au matin

qu'on s'asseyait enfin

devant un cafe creme

epuise mais ravis

fallait-il que l'on s'aime

et qu'on aime la vie

la boheme

la boheme

ca voulait dire on a vingt ans

la boheme

la boheme

et nous vivions de l'air du temps

 

画架を前に

時には

眠れない夜を過ごすこともあった

胸の線や

腰の輪郭を

手直ししながら

朝になって

ようやくカフェ・クレームを前に

腰を落ち着けると

疲れ果てながらも喜び合い

愛し合わずにはいられなかった

そして人生をも愛さずにはいられなかった

ラ・ボエーム

ラ・ボエーム

それは「二十歳」だということ

ラ・ボエーム

ラ・ボエーム

僕たちは時代の流れに乗って暮らしていた

 

quant au hasard des jours

je m'en vais faire un tour

a mon ancienne adresse

je ne reconnais plus

ni les murs ni les rues

qui ont vu ma jeunesse

et haut d'un escalier

je cherche l'atelier

dont plus rien ne subsiste

dans son nouveau decor

Montmartre semble triste

et les lilas sont morts

la boheme

la boheme

on etait jeunes on etait fous

la boheme

la boheme

ca ne veut plus rien dire du tout

 

ある日 当てもなく

かつての住所を

訪ねてみた

僕の青春時代を見ていた

壁も通りも

見覚えのあるものはもうなくなっていた

階段の上の方に

アトリエを探してみても

もはや何ひとつ残ってはいない

新しい装いの中で

モンマルトルは悲しそうだ

リラの花も枯れ果ててしまった

ラ・ボエーム

ラ・ボエーム

僕たちは若く 愚かだった

ラ・ボエーム

ラ・ボエーム

それはもう何の意味も持たない言葉...

 

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(daniel-b=フランス専門)