「日本版予告編」です。
こちらでは、「本編映像」の一部が紹介されています。
この作品の主演女優、ジャンヌ・バリバール(1968-)へのインタビューです(日本にて)。
https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10097047678.html(「バルバラ」がテーマの記事一覧)
https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10104181650.html(「洋画」の記事一覧)
さて、こちらの映画のDVDが、この2日に、ついに、日本でも発売となりました。
これまでにも書いている通り、バルバラ(1930-97, 本名モニック・セール)は、フランスを代表する「偉大な女性歌手」であり、いまや、エディット・ピアフ(1915-63)と並ぶ「伝説的存在」です。
その「没後20周年」を記念して作られ、2017年5月に「カンヌ」に出品された後、9月からは、フランス全土で「一般公開」されたこの作品は、昨年11月16日から「日本」でも上映が始まり、私も、今年の3月の終わりに、「金沢」にて、見ることが叶いました(この記事は、その時の記事の「リブログ」です)。
今作の監督・脚本は、「俳優」として、あの「潜水服は蝶の夢を見る」(2007年)での「名演技」も記憶に残る、マチュー・アマルリック(1965-)。主演は、かつて、彼の「パートナー」でもあった、ジャンヌ・バリバール(1968-)です。
ジャンヌ・バリバールは、本当によく、バルバラの「話し方」や、「仕草」を「研究」していると思いました。
「バルバラ本人に(容姿が)似ている」とよく言われていたそうですが、バリバール自身は、本人と会ったことはもちろん、ライヴを見に行ったことも「ない」そうです。
対するマチュー・アマルリック監督はと言えば...。
「あなたに耳元でささやかれ
16歳で人生が変わりました...」
この、「劇中のセリフ」は、まったくの「本心」なのでしょう。
バリバールも、
「そのこと(個人的な思い入れ)が逆に、この映画に普遍性をもたらしている」と話しています。
また、関係は「あまりない」かも知れませんが、検索していて、「興味深いこと」が分かりました。
マチュー・アマルリック監督は、「ル・モンド紙」記者(特派員)であったフランス人の父と、同じく、「ル・モンド紙」の文芸評論家であった、ポーランド出身の母との間に生まれています。
その「母方の姓」が、何と、「ザンド」ということで(母親の名は、「ニコール・ザンド」というそうです)、それが、今回の役名、「イヴ・ザンド」の「由来」とも思えるものだったのです。
しかし、この例は、「今回が初めて」ではなく、実は、過去に「もう1作」存在していました。
「2010年」の、これも「自作自演」による作品、「さすらいの女神(ディーバ)たち(原題「Tournee」)」で、「主役」の、「(テレビの)落ちぶれた元有名プロデューサー」として、「ジョアキム・ザンド」という役名を使っていたのです。
要するに、「この名前」を使うのは、「自作」で、かつ、「思い入れの深い」テーマによる作品に限ると「推理」したのですが、どうでしょうか...。
ちなみに、この年の作品で言うと、ルイーズ・ブルゴワン(1981-)主演の映画、「アデル/ファラオと復活の秘薬」(リュック・ベッソン監督)を見に行きましたね。現在からすると「なんじゃこりゃ~(笑)」な映画ではありますが、マチュー・アマルリックは、「敵方」の、「デュールヴー(博士)」として、画面に登場していました...。
ちょっと話が「それてしまった」かも、ですが、このようなエピソードは、調べてみると、とても「面白い」ものです...。
映画本編には、おおよそ、「20曲」(前後)のシャンソンが登場し、そのほとんどを、バリバール自身が歌っています。
私としては、やはり、「本家」の方に「気品」を感じてしまうのですが、バリバールは、先述のように、バルバラ本人の「表情」や、「クセ」のようなものも、見事に「再現」していると思います。
「amours incestueuses "不倫"」(1972)です。
上掲「2番目」の動画と、一度見比べてみてください。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12329341340.html?frm=theme(参考:この曲の記事)
バルバラ本人も、時折り、「深刻になり過ぎず」、「茶目って」見せるところがありましたが、そういうところは、本当によく、「特徴をとらえている」と感じました。
バリバールが演じているのは、「バルバラ本人」というよりは、その「バルバラ」を演じる女優、「ブリジット」なのです。
ですが、見ているうちに、次第に、その「境界線」が「なくなって」いきます。
これが、この映画の「妙味」とも言えるものなのですが、「予告編」にも出て来ている、
「ne touche pas!!(触らないで!!)」
を、そのまま「詞」にしたような曲も存在します。
1993年の「最後のシャトレ公演」で、「モノローグ」として披露され、1996年、「最後のスタジオ盤アルバム」にて、「正式な曲」として収録された「femme piano (lunettes) "女、ピアノ(、眼鏡)"」(1993-96)がそれです。
「1993年シャトレ劇場公演」のバージョンです。
1996年、「最後のスタジオ盤アルバム」のバージョンです。
多分に「高慢」なところもあった、バルバラの、まさに「負」の部分ではありますが、この曲は、それを、「ユーモア」で包み込んで「吐き出して」いるような印象を受けますね。
あるいは、このような作品も...。
「l'enfant laboureur "花を咲かせるために"」(1973)。
こちらは、1978年2月の、オランピア劇場公演のライヴ録音からです。
さて、今回、あらためてこの作品を見直してみて思ったことですが、「中盤」までは、実に「丁寧」に描かれていると思います。
「終盤」でちょっと「ダレて」しまったような印象を受けましたが、やはりそれは、それまでの「密度」が「高過ぎた」ことによるものかも知れません...(「いろいろな要素」を「盛り込み過ぎ」...)。
「予告編」でも使われているこの曲、「du bout des levres "口先だけで(くちびるの端に)"」(1968)は、「序盤」のシーンとして出て来ますが、映画に使われている映像では、ここで、「世界的」なバレエ振付師、モーリス・ベジャール(1927-2007)の姿も出て来ました。
ベジャールは、バルバラのことを「私の妹」とまで呼んでいたということで、1976年(この頃のバルバラは、ほぼ「空白の時期」でした)には、「私はヴェニス(ヴェネツィア)に生まれた」という「バレエ映画」にバルバラを起用したりもしていました。
また、2005年には、バルバラと、ジャック・ブレル(1929-78)をテーマにしたバレエ作品を創作しており、こちらはDVDにもなっています。
曲は、ブレルの名作「quand on n'a que l'amour "愛しかないとき"」(1956, こちらの音源は、1972年の「再録音」)です。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12402074673.html?frm=theme(参考:この曲についての記事)
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映画中では、はっきりと「何年の出来事」と明記されているわけではないので、そこが「分かりづらい」原因でもあるのですが、本編の「56分20秒頃」から始まる、「ステージからの引退宣言」の場面は、「1969年のオランピア劇場最終公演(2月17日)」のことだと思います。ただ、これは、劇中でイヴ・ザンド(マチュー・アマルリック)も言っている通り、(「いつも通り」の)「定期的なツアー」を「止める」ということでした。
この後で描かれるのが、「ブレル」との場面ですが、ちょっと待ってくださいよ。
場面が「混乱」している気が...。
「明け方に意識のない状態で発見される」のは、「1974年6月初め(「3日から4日」。または「5日」)」のことで、画面を見る限り、「睡眠薬」が「散乱」もしていますね。
この件に関しては、「元の記事」にも書いているほか、先月にも、記事に書いたばかりです。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12480243268.html?frm=theme(参考:「眠れぬままに朝が来て(不眠症)」の記事)
マチュー・アマルリック監督が参考にしたという、ジャック・トゥルニエ(1922-)(劇中ではピエール・ミションが演じています)の著書にどう書かれているのかは分かりませんが、私が参照している次のサイトでは、1977年9月に、ブレルがパリに戻って来た際も(「ラストアルバム」のレコーディング)、翌1978年7月に、「再入院」のために再び戻って来た際も、いずれも、バルバラは、「ブレルのもとを、足しげく訪れている」と書かれています。
http://passion-barbara.net/(ファンサイト「passion-barbara」)
ブレルは、「友人たちの流す涙」で、自分の病状の「深刻さ」を「知っていた」と言われており、バルバラも、ある程度は「覚悟していた」と見るのが「普通」ではないでしょうか(まったくの「憶測」ではありますが...)。
ですから、「ブレル死去」(1978年10月9日明け方)の新聞記事を見て「自殺未遂」(という風に見えます)というのは、少し「おかしい」ようにも思います。
その後、映画「Franz "わが友フランツ~海辺のふたり~"」(1971)の場面となり、これを「実際に撮ってみよう」ということになるのですが...。
ブレル、バルバラ、ともに「大ファン(「熱狂的」と言っても良いかも...)」である私としては、このあたりでもう少し、時間を取った方が「良かった」のではないかという気もします...。
「元の記事」にも書いていますが、ローラン・ロマネリ(1946-)とのこと、また、ジェラール・ドパルデュー(1948-)とのこと、または、「それに代わるもの」として、フランソワ・ヴェルテメール(1947-)(彼とは、1973年のアルバム「la louve "黒いデッサン"」を「共作」しており、「Marienbad "マリエンバード"」が特に有名です)とのエピソード、「どれか1つ」でも、「膨らませる」べきだったと思います。そうすれば、「後半」は、もっと「充実」したのではないかと思います。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12328036364.html(参考:「マリエンバード」の記事)
この映画は、「いろいろなこと」を「分かっていない」と、ちょっと「意味不明」に映るかも知れませんね、確かに...。
ジャンヌ・バリバール、マチュー・アマルリック、ともに、「普通の映画」を「望まなかった」のですから、これは、特に「外国人」である私たちにとっては、「仕方のないこと」ですね。
やっぱり、「結論」としては、「一般向けではない」、と言わざるを得ません...。
次回から、「3曲」ほど、この映画で使われた曲を採り上げてみたいと思います(曲はもう決まっています...)。
どうか、お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
それではまた...。
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(daniel-b=フランス専門)