1961年10月の、オランピア劇場公演からの録音です(前回の「la statue "私の銅像"」の「次の曲」となります)。
この曲も、この公演にて発表された「新作」の1つで、この「ライヴ録音」が「先」となります。
当時の所属であったレコード会社「フィリップス」では、「スタジオ録音」がされることはなく、翌年3月、「移籍先」である「バークレー社」にて、あらためて「スタジオ録音」がされることとなりました。
こちらがその「スタジオ録音」です(1962年3月6日録音)。
この録音も、やはり「彫りの深い」表現だと言うことが出来ます。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12452403623.html(前回の記事)
https://ameblo.jp/daniel-b/theme-10096189787.html(これまでの記事)
昨年、「没後40周年」(「10月9日」が「命日」)を迎えた、シャンソン界の「3大巨匠」の1人、ジャック・ブレル(1929-78)ですが、今年は「生誕90周年」と、これもまた「記念の年」に当たっています。
その「誕生日」は、「4月8日」でした。
というわけで、「特集」にてお送りしていますが、今回も、前回の「la statue "私の銅像"」(1961-62)と同様、1961年10月の「オランピア劇場公演」にて発表された「新曲」(当時)をお届けします。
前回も書いている通り、このオランピア劇場公演の「直後」に、ブレルは、それまでの「旧フィリップス社」(現在では、「音楽部門」は「廃止」されています)から、エディ・バークレー(1921-2005)の立ち上げたレコード会社、「バークレー社」に「移籍」しています(1962年3月)。
そのため、「フィリップス社」では、この「オランピア劇場」での「ライヴ録音」だけが残され、「スタジオ」での録音は、移籍先の「バークレー」にて行なわれることになりました。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12148831939.html?frm=theme(参考:「オランピア1961」その1の記事)
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12149616841.html?frm=theme(参考:「オランピア1961」その2。この曲を含みます)
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12150098449.html?frm=theme(参考:「オランピア1961」その3)
正式なレコーディングは、「移籍後すぐ」のことで、この曲は、その「初日」である、「3月6日」に録音が行なわれました。
こうして行なわれた、「レコード(スタジオ盤)未収録の新曲」の録音は、「6曲」ということになりますが、「le plat pays "平野の国"」(1961-62)についても、「1961年5月12日」に、「朗唱版」(ピアノ伴奏)にて、オランダ・スヘーヴニングンで「試演」されていますので、それを合わせると、「7曲」ということになります。
こちらが、「朗唱版」(ピアノ伴奏)による「le plat pays "平野の国"」です。
「没後20周年」となる、「1998年」に公開された音源です。
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12366691526.html?frm=theme(参考:「平野の国」の記事)
これに、さらに「新曲5曲」を加えて発売されたのが、現在、「les bourgeois "ブルジョワの嘆き"」とタイトルされている「全12曲」のアルバムですが(過去には、「平野の国」、「無言歌」といったタイトルでも出ていましたが、どれも「同じもの」です)、当時の「アルバム」(「LPレコード盤」)には、「25cm盤」(8曲入り)という規格も「混在」していました(「12曲収録」のものは、現在も残る「30cm盤」のことです)。
今回紹介する曲は、「Zangra "俺の名はザングラ"」(1961-62)です。こちらも、単に「ザングラ」としている「邦題」も見られます。
ブレル自身の詞・曲による作品ですが、その「原案」となったものとして、イタリアの小説で、「映画化」もされた、「タタール人の砂漠」(ディーノ・ブッツァーティ。1940年)が挙げられています。その主人公「ジョヴァンニ・ドロゴ」が、「ザングラ」の「モデル」です。
「タタール人(les Tartares)」は、日本では、中国由来の「韃靼(だったん)人」という呼び方でも知られている、主に「中央アジア」の民族を指す「総称」ということですが、一方で、この単語は、ギリシャ神話の神、また、「奈落(地獄)」そのものを表す、「タルタロス」を示す言葉でもあります(ある意味、「象徴的」だと思います)。
この「ジョヴァンニ・ドロゴ」と同様、半ば「見捨てられた」砦に配属された「青年士官」。それが、彼、「ザングラ」です。
ザングラは、いつかは、この砦に「敵」がやって来て、自分は「英雄」になれることだろうという、「職業軍人」らしい「夢」を抱いていましたが、「その日を待ちながら、時には退屈した」と語られるように、「敵」は、一向にやって来る気配がありません。
そのため、ザングラは「街」へと出かけますが、そこである「女性」と出会います。
自分を「英雄」にしてくれるはずの「敵」は、待てども待てども現われず、彼は、形ばかりの「昇進」とともに、次第に歳をとっていきます。街で知り合った女性も、年月とともに、少しずつ「境遇」が変わっていきます。そして...。
俺の名はザングラ... あまりにも年老いた「将軍」として、昨日
平野を見下ろす(支配する)、「ベロンジオの砦」を後にした...
そして「今日」、「敵」がそこに... 俺は「英雄」になれなかった...
この作品は、「まったく報われない人生」について描いています。また、「平凡」や、「安全」の「退屈さ」を描いた作品でもあります。
一見「単調」にも思える曲ですが、「軍人」らしい、「気概」に満ちた「誇らしさ」が、「時」とともに、次第に「弱く」なっていくのが分かります。また、そういった「変化」だけで伝えるということで、「演技力」も「重要な要素」となっている、まさに「戯曲的な作品」だと言うことが出来ます。
この作品の「カバー」としては、フローラン・パニー(1961-)の、やはりこの「ドラマティック」な歌唱を挙げておきましょう。
こちらは、「2008年(ブレルの没後30周年)7月16日」、オランピア劇場で行なわれた、「パニー、ブレルを歌う」のライヴからです。
(2008年の「パリ&ブリュッセル」旅行では、実は、この公演も、「行きたい候補」に挙がっていました。「日程」の関係で「断念」しましたが...)
大変「珍しい」録音も発見しました。
こちらの「Victor Socaciu(ヴィクトル・ソカシウ?)」(1953-)は、ルーマニアのブラショブ(Brasov)出身の「フォーク歌手」だということで、何と、「ルーマニア語」によるカバーのようです。何だか、「別の曲」のような感じもしますね...。
それでは、以下に、「Zangra "俺の名はザングラ"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。
ザングラの「肩書き」については、「軍人」としての「一般的」な呼称(「階級」)に加え、その「階級」での「主な役割」(「隊長」など)も、あわせて記しています(この呼称は、「陸軍」、「海軍」、「空軍」でも異なる場合があります)。
「士官(将校)」の「階級」は、まず「尉官」から始まり(その下の「下士官」は、「曹長」、「軍曹」、「伍長」などといった順になっています)、その上が「佐官」です。それ以上は、「将官(将軍)」となります。
それではまた...。
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Zangra 俺の名はザングラ
je m'appelle Zangra et je suis Lieutenant
au fort de Belonzio qui domine la plaine
d'ou l'ennemi viendra qui me fera heros
en attendant ce jour je m'ennuie quelquefois
alors je vais au bourg voir les filles en troupeau
mais elles revent d'amour et moi de mes chevaux
俺の名はザングラ! 俺は「中尉(士官)」
平野を見下ろす(支配する)、「ベロンジオの砦」にいる
どこからか「敵」がやって来て、俺を「英雄」にすることだろう
「その日」を待ちながら、時には退屈した
そんなとき俺は、街へと出かける 街の娘たちを見るために
彼女たちは恋を夢みて、俺は、「自分の馬」を夢みる
je m'appelle Zangra et deja Capitaine
au fort de Belonzio qui domine la plaine
d'ou l'ennemi viendra qui me fera heros
en attendant ce jour je m'ennuie quelquefois
alors je vais au bourg voir la jeune Consuello
mais elle parle d'amour et moi de mes chevaux
俺の名はザングラ! 俺はすでに「大尉(隊長)」だ
平野を見下ろす(支配する)、「ベロンジオの砦」にいる
どこからか「敵」がやって来て、俺を「英雄」にすることだろう
「その日」を待ちながら、時には退屈した
そんなとき俺は、街へと出かける 若い娘コンスエロに会うために
しかし彼女は、「恋」の話をし、俺は、「自分の馬」の話をする...
je m'appelle Zangra maintenant Commandant
au fort de Belonzio qui domine la plaine
d'ou l'ennemi viendra qui me fera heros
en attendant ce jour je m'ennuie quelquefois
alors je vais au bourg boire avec Don Pedro
il boit a mes amours et moi a ses chevaux
*(je bois a ses amours et lui a mes chevaux)
俺の名はザングラ! 俺は今や「少佐(司令官)」だ
平野を見下ろす(支配する)、「ベロンジオの砦」にいる
どこからか「敵」がやって来て、俺を「英雄」にすることだろう
「その日」を待ちながら、時には退屈した
そんなとき俺は、街へと出かける ドン・ペドロと一杯やるために
奴は、俺の恋のために、俺は、奴の馬のために乾杯する
*(1961年のオランピア劇場公演では、「俺」と「奴」が「逆」になっています)
je m'appelle Zangra je suis vieux Colonel
au fort de Belonzio qui domine la plaine
d'ou l'ennemi viendra qui me fera heros
en attendant ce jour je m'ennuie quelquefois
alors je vais au bourg voir la veuve de Pedro
je parle enfin d'amour mais elle de mes chevaux
俺の名はザングラ! 俺は、年老いた(古株の)「大佐(連隊長)」だ
平野を見下ろす(支配する)、「ベロンジオの砦」にいる
どこからか「敵」がやって来て、俺を「英雄」にすることだろう
「その日」を待ちながら、時には退屈した
そんなとき俺は、街へと出かける ペドロの寡婦に会うために
俺はついに「恋」を語るが、彼女はやはり、「俺の馬」について話す...
je m'appelle Zangra hier trop vieux General
j'ai quitte Belonzio qui domine la plaine
et l'ennemi est la je ne serai pas heros...
俺の名はザングラ... あまりにも年老いた「将軍」として、昨日
平野を見下ろす(支配する)、「ベロンジオの砦」を後にした...
そして「今日」、「敵」がそこに... 俺は「英雄」になれなかった...
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