(1959年の「オリジナル録音」)
(1972年の「再録音」)
「4月8日」は、ジャック・ブレル(1929-78)の「誕生日」でした。
今年は、「没後40周年」(10月9日が「命日」)、来年が、「生誕90周年」の「記念の年」に当たりますので、「特集」でお送りしています。
https://ameblo.jp/daniel-b/themeentrylist-10096189787-1.html(これまでの記事一覧)
今月は、「ブレルとベルギー」にこだわって、曲をお届けしています。
今回紹介する曲は、「les Flamandes "フランドルの女たち"」(1959)という作品です。
ブリュッセルに生まれ、「フランス語」の話者であるジャック・ブレルですが、父方の先祖が、北海に面する、「ウエスト=フランデレン州」(ベルギー)の出身ということで、自らも、「フランドル人」だと公言しています。
そう言いながらも、ブレルは、「フランドル人」に対して「批判的な立場」をとることがしばしばあり、それが「物議」をかもしたこともまた「事実」なのですが、「故郷愛の裏返し」と解釈することも、現在では「可能」だと言えます。
この曲「les Flamandes "フランドルの女たち"」は、そうした作品の、ほぼ「第1号」とも言えるものですが、表現は、まだ「ソフト」な方だとも言うことが出来ます。
ここで歌われているのは、「女性たち」と言うよりも、むしろ、その「古い考え方(因習)」です。
もう、「60年」近く前の話ですから、当時は、「国」を問わず、そうした考え方は、世界各地で見られて、決して「珍しいもの」ではなかったと思いますが、「~だから、~しなくてはならない」、「女性だから」、「そういう年齢だから」と、いま聴いても、とても「耳の痛い話」ですよね。
第二次大戦後、フランスでも「実存主義」(サルトルらによって提唱。「本質は、自分の手で選び取る」というのが大意)が言われるようになって、シャンソンの世界でも、ジュリエット・グレコ(1927-)のような、「自立した女性」が登場したのですが、これは「先駆的な例」であって、一般には、まだまだ、「時代が追い付いていなかった」のだと言えます。
とは言え、時代は「ロック」だったわけでもありますから、そうした「古い考え方」を、「歌」によって「打破」しようとする考え方は、当然、シャンソン界にもありました。それが、いわゆる「左岸派」と呼ばれるアーティストたちです。
「左岸派」というのは、パリのセーヌ川左岸、主に、モンパルナスの「ボビノ劇場」への出演(または、「サンジェルマン・デ・プレ」界隈に集う人々)からそのように呼ばれるようになったと認識していますが、その「代表格」と言えるのが、ブレルと同じく、「3大巨匠の1人」と呼ばれたジョルジュ・ブラッサンス(1921-81)です。
ブレルとブラッサンスは、最初期の頃には「合わない」ところもあったそうですが、「本音」で語り合ううちに、「大の親友」となったようです。そして、この2人に「共通」しているのが、「反既成(同調)主義(アンチ・コンフォルミスム)」というところでした。
ブラッサンスの曲も、ブレルの曲も、語られていることは、ほぼ、「ロック・アーティスト」と変わりません。これらは、また、順を追って採り上げてみたいと思いますが、これまでに紹介した曲からも、それはよく分かると思います。
https://ameblo.jp/daniel-b/themeentrylist-10098036054.html(テーマが「ブラッサンス」の記事)
https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12159633622.html(ブラッサンスの曲「信条のために死す」について書いた記事)
ブレルは、「スタジオ録音」では「大人しく」歌っているところがありますが、やはり、その「妙味」を存分に味わえるのは「ライヴ録音」です。
この曲は、まだ「初期」の作品ですから、後年ほどの「デフォルメ」はありませんが、やはり、次の録音、映像からは、「それ」が見てとれます。
こちらは、オランピア劇場で、初の「グランド・ヴデット(真打ち)」として登場した、1961年10月の公演から。
動画で見ると、こんな感じですね...。
こちらは「英語版」です。
15日付けの記事、「Bruxelles "ブリュッセル"」(1962)でも紹介した、「Stagedoor Manor」(アメリカ、ニューヨーク)の公演からですが、これも、1968年のブロードウェイ・ミュージカル「Jacques Brel is alive and well and living in Paris(ジャック・ブレルは今日もパリに生きて歌っている)」(モート・シューマン、エリック・ブラウによる、公式の「英語版」)からの1曲です。
「オリジナル」が見つからなかったのがやっぱり「残念」ですが、「タイトル」にご注目ください。何と、「マラソン」になっています!!
「露骨な批判」を避けたためなのでしょうが、これってちょっと、「何だかなあ」...。
というわけで、以下に、「les Flamandes "フランドルの女たち"」の歌詞を載せておくことにいたしましょう。
この作品は、詞・曲ともに、ブレル自身の手によるもので、曲のスタイルは「ポルカ」となります。
スタジオ録音は、1959年9月14日の「オリジナル録音」(フィリップス)、1972年6月12日の「再録音」(バークレー)とも、フランソワ・ローベール(1933-2003)による、編曲・指揮です。
フランス語を学習されている方は、3番目のクウプレにご注目ください。
「ベルギー」で「70」は、「septante」と言うのが「普通」です。
「フランス式」に「soixante-dix」と言うと、「気取ってる(?)」と思われるかも...?
次回、このテーマでは、この流れで、「les bigotes "信心深い女たち"」(1962-63)を採り上げてみたいと思います。
この曲も、ライヴで、すっかり「定番曲」となっていますが、その映像を見ると、ちょっと驚かれるかも知れません。
それではまた...。
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les Flamandes フランドルの女たち
les Flamandes dansent sans rien dire
sans rien dire aux dimanches sonnants
les Flamandes dansent sans rien dire
les Flamandes ca n'est pas causant
si elles dansent c'est parce qu'elles ont vingt ans
et qu'a vingt ans il faut se fiancer
se fiancer pour pouvoir se marier
et se marier pour avoir des enfants
c'est ce que leur ont dit leurs parents
le bedeau et meme Son Eminence
l'Archipretre qui preche au couvent
et c'est pour ca et c'est pour ca qu'elles dansent
les Flamandes
les Flamandes
les fla
les fla
les flamandes
フランドルの女たちは、何も言わずに踊っている
何も言わずに、鐘の鳴る日曜日に
フランドルの女たちは、何も言わずに踊っている
フランドルの女たちは、「お喋り」じゃない
彼女たちが踊るのは、「20歳」になったから
「20歳」になったら、「婚約」しなくてはならないから
「結婚」するために、「婚約」しなくてはならないから
そして、「子どもを産むため」に、「結婚」しなくてはならないから
それが、「先祖たち」の言ったこと
教会の人も、「枢機卿」様もが言ったこと
修道院で説教する司祭長も言ってること
そのために、そのために彼女たちは踊っている
フランドルの女たち
フランドルの女たち
フランドルの
フランドルの
フランドルの女たちは
les Flamandes dansent sans fremir
sans fremir aux dimanches sonnants
les Flamandes dansent sans fremir
les Flamandes ca n'est pas fremissant
si elles dansent c'est parce qu'elles ont trente ans
et qu'a trente ans il est bon de montrer
que tout va bien que poussent les enfants
et le houblon et le ble dans le pre
elles font la fierte de leurs parents
et du bedeau et de Son Eminence
l'Archipretre qui preche au couvent
et c'est pour ca et c'est pour ca qu'elles dansent
les Flamandes
les Flamandes
les Fla
les Fla
les Flamandes
フランドルの女たちは、音も立てずに踊っている
音も立てずに、鐘の鳴る日曜日に
フランドルの女たちは、音も立てずに踊っている
フランドルの女たちは、「物音」すら立てない
彼女たちが踊るのは、「30歳」になったから
「30歳」になったからには、見せなくてはいけない
すべてがうまく行っていて、子どもたちも
畑のホップも、小麦もよく育っているって
彼女たちには、「先祖たち」も
教会の人も、「枢機卿」様もが「誇らしい」
修道院で説教する司祭長までも
そのために、そのために彼女たちは踊っている
フランドルの女たち
フランドルの女たち
フランドルの
フランドルの
フランドルの女たちは
les Flamandes dansent sans sourire
sans sourire aux dimanches sonnants
les Flamandes dansent sans sourire
les Flamandes ca n'est pas souriant
si elles dansent c'est qu'elles ont septante ans
qu'a septante ans il est bon de montrer
que tout va bien que poussent les petits-enfants
et le houblon et le ble dans le pre
toutes vetues de noir comme leurs parents
comme le bedeau et comme Son Eminence
l'Archipretre qui radote au couvent
elles heritent et c'est pour ca qu'elles dansent
les Flamandes
les Flamandes
les Fla
les Fla
les Flamandes
フランドルの女たちは、ニコリともせずに踊っている
ニコリともせずに、鐘の鳴る日曜日に
フランドルの女たちは、ニコリともせずに踊っている
フランドルの女たちは、「微笑み」すら見せない
彼女たちが踊るのは、「70歳」になったから
「70歳」になったからには、見せなくてはいけない
すべてがうまく行っていて、孫たちも
畑のホップも、小麦もよく育っているって
「先祖たち」のように「真っ黒な衣装」で
教会の人や、「枢機卿」様のように
修道院でくどくど話す司祭長のように
彼女たちは、それを受け継ぎ、そして、そのために踊っている
フランドルの女たち
フランドルの女たち
フランドルの
フランドルの
フランドルの女たちは
les Flamandes dansent sans mollir
sans mollir aux dimanches sonnants
les Flamandes dansent sans mollir
les Flamandes ca n'est pas mollissant
si elles dansent c'est parce qu'elles ont cent ans
et qu'a cent ans il est bon de montrer
que tout va bien qu'on a toujours bon pied
et bon houblon et bon ble dans le pre
elles s'en vont retrouver leurs parents
et le bedeau et meme Son Eminence
l'Archipretre qui repose au couvent
et c'est pour ca qu'une derniere fois elles dansent
les Flamandes
les Flamandes
les Fla
les Fla
les Flamandes
les Flamandes
les Flamandes
les Fla
les Fla
les Flamandes...
フランドルの女たちは、疲れも見せずに(しっかりと)踊っている
疲れも見せずに、鐘の鳴る日曜日に
フランドルの女たちは、疲れも見せずに(しっかりと)踊っている
フランドルの女たちは、「疲れ(老い)」すら知らない
彼女たちが踊るのは、「100歳」になったから
「100歳」になったからには、見せなくてはいけない
すべてがうまく行っていて、足だってまだまだ「しっかり」していて
畑のホップも、小麦も「上々」の出来だって
彼女たちは、「先祖たち」に会いに行く
教会の人や、「枢機卿」様に
修道院で眠っている司祭長に会いに
そして、そのための、「最後の踊り」を踊っている
フランドルの女たち
フランドルの女たち
フランドルの
フランドルの
フランドルの女たちは
フランドルの女たち
フランドルの女たち
フランドルの
フランドルの
フランドルの女たちは...
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(daniel-b=フランス専門)





