「冬が似合う名曲特集」。今回は、10月8日付けの、以下の記事の中でも紹介したこの曲を、正式に採り上げてみたいと思います。

https://ameblo.jp/daniel-b/entry-12317203293.html

 

この曲、「l'eclusier "水門守"」は、1968年9月に発売されたアルバム「j'arrive "孤独への道"」からの作品です。

 

オランピア劇場に別れを告げ、ミュージカル「l'homme de la Mancha "ラ・マンチャの男"」(自身の翻訳による「フランス語版」)を除いては、ステージに立つことがなくなったジャック・ブレル(1929-78)。作品の傾向としては、自身の内面を描いた作品が多くなってきます。

 

この作品で描かれたのは、運河の多いフランスやベルギーで、「水門」を守る人。つまり、「水門守」です。

 

ゆっくりとした、陰鬱な「舟唄」のリズムをアコーディオンが刻み、「悲痛」とも言える、重々しいボーカルが重なってきます。

 

長年、水門を守り続けた、年老いた男が見るものとは、「お互いに老けた」と思う船頭たちの顔や、時には「溺死人」であったりもします。

 

「水門守の仕事は楽じゃない」

 

「画家的」とも言える、この「鋭さ」で、ブレルは、「水門守」になりきって、自身の「内面」を吐露します。なお、2番目に挙げた動画の最初に出て来るのが、ベルギーのフランドル地方、ダンメ(仏:ダム)の運河です。ブレルのドキュメンタリー、また、映画「Franz "フランツ"」(1971)でもおなじみのこの風景は、ブリュージュ(蘭:ブルッヘ)の近郊にあります。

 

同年の、同じ系統の作品としては、「je suis un soir d'ete "夏の夜"」があります。この曲も、ブレルの「鋭い観察眼」が光ります。「静か」ながらも、「凄み」を感じるボーカルです。また、ブレル自身は、この曲の仕上がりに大変「満足」していたと言われています。

 

以下に、「l'eclusier "水門守"」の歌詞を、載せておくことにしましょう。

 

それではまた...。

 

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l'eclusier  水門守

 

les mariniers me voient vieillir

je vois vieillir les mariniers

on joue au jeu des imbeciles

ou l'immobile est le plus vieux

dans mon metier meme en ete

faut voyager les yeux fermes

ce n'est pas rien d'etre eclusier

 

わしが老けるのを船頭たちは見ていた

船頭たちが老けるのをわしは見ていた

「不動」のものが、最も「古い」という

バカげた遊びなのさ

わしの仕事じゃ、夏でさえ

目をつぶって航海せにゃならん

水門守の仕事は楽じゃない

 

les mariniers savent ma trogne

ils me plaisantent et ils ont tort

moitie sorcier moitie ivrogne

je jette un sort a tout ce qui chante

dans mon metier c'est en automne

qu'on cueille les pommes et les noyes

ce n'est pas rien d'etre eclusier

 

船頭たちは、わしの顔が赤いのを知っている

それをからかうけど、間違ってる

半分魔法使いで、半分酔っぱらい

わしは、歌うものすべてに呪いを投げかける

わしの仕事じゃ、秋になると

りんごと溺死人を拾い上げなくてはいかん

水門守の仕事は楽じゃない

 

dans son panier un enfant louche

pour voir la mouche qui est sur son nez

maman ronronne le temps soupire

le chou transpire le feu ronchonne

dans mon metier c'est en hiver

qu'on pense au pere qui s'est noye

ce n'est pas rien d'etre eclusier

 

かごの中じゃ子どもが

鼻にとまったハエを見ようとやぶにらみしている

母親は喉を鳴らし、時はため息をつく

キャベツは汗ばみ、火はぶつくさ言う

わしの仕事じゃ、冬になると

溺れて死んだ父親のことを思わにゃいかん

水門守の仕事は楽じゃない

 

vers le printemps les marinieres

me font des manieres de leur chaland

j'aimerais leurs jeux sans cette guerre

qui m'a un peu trop abime

dans mon metier c'est au printemps

qu'on prend le temps de se noyer...

 

春にかけて(春頃になると)、船頭のおかみさんたちは

はしけ(小舟)から、わしに愛想を振りまく

わしをちょっとダメにしてしまう

そんな遊びだったらいいんだが

わしの仕事じゃ、春になると

溺れる暇があってもいいということ...

 

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(daniel-b=フランス専門)