映画「あん」を鑑賞 | おだんご日和

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Dango茶屋・いちのせの徒然記

 

 河瀬直美さん監督、ドリアン助川さん原作の映画「あん」を鑑賞しました。

 ネットでドリアン助川さんのインタビュー記事を読んで、興味を持ったからです。
(※ネタバレあるので、未見の方はご注意ください)

 

 永瀬正敏さんが演じる青年(中年?)のたい焼き屋に、知らないおばあちゃん(樹木希林さん)がやってきて、あんこの作り方を教えてくれる。あんこのおいしさで店は繁盛するけれど、街の人たちにおばあちゃんが元ハンセン病患者だと知られてしまい、偏見にさらされるという物語。

 普段は意識していないけれど、ふとした瞬間に顔を出し、暴力をふるい始める「偏見」と「差別」を映画いています。

 

 樹木希林さんのナチュラルなセリフ回しが面白い。セリフ回しというより、アドリブなのではなかろうか?
 特に、女子高生と樹木さんの会話は「若い娘と交流することで、おばあちゃんが元気になってきゃっきゃ言ってる感じ」が良くて、見ているだけで楽しくなる。
 ハンセン病を取り扱った中盤から後半は、バランスが難しかっただろうと思いました。若い観客のためには説明が必要だけれど、ドキュメンタリーではないし、重いテーマだけれど、お説教を聞かせるような映画になってはいけないし・・・。


 終盤、手紙でいろいろ説明してしまうのは夏目漱石の「こころ」以来の定番ですが、文学だと成立する表現も、映像だと、どうしても平板になってしまいます。

 「Shall we ダンス?」の手紙シーンは、インサート映像を豪華にすることで、その部分を乗り切っていたのかなぁ、と思い出しました。