「映画 妖怪ウォッチ」 1&2 を観ました。(珍しく、映画館で・・・) | おだんご日和

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Dango茶屋・いちのせの徒然記




最初に言っておきたいことは、私はテレビアニメの「妖怪ウォッチ」が大好きです。
大好きなので、映画版には毎回、過度に期待してしまい、ちょっとがっかりしたり、時には憤ったりしています。
ちょっと厳しく、私の気持ちをぶつけておりますし、ネタバレも満載なので、映画を未見の方や妖怪ウォッチ大好きの方は少々不快になる可能性があります。
ここから下は、ご覧にならない方が良いかもしれません。

万が一、読んでしまって不快になってしまわれたら、これも妖怪のせいだと思って、ご勘弁ください。



1年前に、映画館で観た「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」が、年末にテレビ放送されていました。子どもと一緒に再見したのですが、感想は大きく変わりませんでした。

思いのほか、ちゃんと映画になっていたし、面白く見ることができたけれど・・・なんとなく不満足感が残ってしまう・・・きっと、私は「映画 妖怪ウォッチ」に「破壊的な何か」があるのではないかと期待していたのだと思います。



テレビアニメ版は、時々ワルノリして世間を騒がせることもあるような良くも悪くも破壊的・破滅的なところがある番組で、もしかしたらそういう面が映画版にも出てくるのではないかと期待していたのです。

やり過ぎのパロディネタ、エロネタやお下品ネタ、SF昔話やオロチシリーズなどの風呂敷広げまくって破綻させるネタなど、テレビアニメ版の人気を支えているワルノリが映画版にはほとんどありませんでした。

なぜなのか調べてみると、どうやら映画版は当時発売中だったゲーム「妖怪ウォッチ2」とリンクする部分が多く、そういうネタを差し込む余裕があまりなかったようです。



あれから1年後。
再び、映画館で妖怪ウォッチを見ることになりました。(地区の子ども会のイベントで、わが子と一緒に観に行きました)

「2」は、「1」と比べると「映画としては全然ちゃんとしてない」つぎはぎのような作品です。しかし、妖怪ウォッチらしさは「1」よりずっと感じる内容になっていました。

具体的には、5本の短編連作になっており、2時間前後で物語を伝えるという映画の基本フォーマットを最初から無視しています。(いきなり破壊的です)
一応、最後の5本目で前4本の謎が解けるという構成になっていますが、つまり本筋は5本目だけで、あとの4本はセットアップ(本筋を活かすための準備)にしかなっていません。

もっとハッキリ言ってしまえば、4本は「妖怪ウォッチのメインストーリー的」には捨てゴマです。

その4本のうち、3本が「親子関係」を大きなテーマにしています。
これはおそらく、子どもを喜ばせるためではなく、子どもを映画館に連れてきた「親」を喜ばせるためのテーマ設定でしょう。妖怪ウォッチのメインターゲットである小学生以下の子どもだけは一人で映画館に行くことができません。
親に「妖怪ウォッチ、面白いじゃない。子どものためになるじゃない。来年も連れて来ようかな」と思わせなければいけないワケです。

なんて、あからさまなゴマすり! こういう、妖怪ウォッチの「身もふたもない」ところは好きです。

ゲーム「妖怪ウォッチ3」の発売は夏らしいので、ストーリーそのものはゲームを下敷きにしているワケではなさそうですが、ゲームと関連がありそうなキーワードは「時間旅行」「妖魔界へ移動するための汽車」「コマさん実家の時計台」「妖怪市役所」「ワイハーリゾート」「新しいウォッチ」など満載です。

「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「名探偵コナン」などの成功した映画シリーズには、作家性と著作権を持ったマンガ原作者がいて、映画をコントロールしている様子がありますが、「妖怪ウォッチ」はゲームが主体なので原作者がおらず、ゲームやスポンサー、親、マーケティングの成果など、とにかく入れ込まなきゃいけないモノがたくさんあるのだろうと思います。
(この、入れ込まなきゃいけないモノがたくさんあるんだろうな感は、「映画ポケモン」や藤子先生死後の「映画ドラえもん(新作)」でも時々、感じることがあります)

5本の短編連作という形は、ストーリーを破綻させることなく、それらをぶっこむための苦肉の策だったのではないかと、邪推してしまいます。

しかし、そうやって無理のない形にしたおかげで、ところどころにテレビアニメ版のワルノリや脚本、監督さんの作家性が顔を出していて、映画としてちゃんとしていない代わりに、(私の感じる)妖怪ウォッチらしさが帰ってきているような気がします。



私がうれしくなってしまったのは、次の2点です。



1点目は、突然、今までの経緯を無視した「掟(おきて)」を作り、妖怪たちを縛り付け始めた「ぬらりひょん議長」のセリフ

「愚かな下っ端妖怪どもは、何も考えずに私に従っていれば良いのだ」
(←正確ではないかもしれないけれど、こういう意味合いのセリフがありました)

・・・です。
これは、きっと学校で意味のわからない規則に理不尽を感じている子どもたちから見た大人の言葉なんだろうなぁ・・・とか、

政治家や、会社の上司の言葉を裏読みすると、こういうことだよなぁ・・・とか

意外と含蓄に富んでいるセリフだと思いました。



2点目は、その「ぬらりひょん議長」の最終形態が、「ポケモン映画の大ボス」の最大公約数みたいなデザインだったことです。

思わず、吹き出しました。

これは、きっと「わざと、やりやがった」のだと思います。
こういう、身もふたもないようなイタズラをやってしまう妖怪ウォッチが大好きです。