何年ぶりでしょうか。
吉住渉さんの初期短編集『四重奏ゲーム(カルテットげーむ)』を読み返しました。
- 四重奏ゲーム (りぼんマスコットコミックス)/吉住 渉
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吉住渉さんは、この後に「ママレードボーイ」がアニメ化されたりする人気少女漫画家で、
私がよく読んでいた頃は「りぼん」を中心に活動されていました。
当時は気付きませんでしたが、今読み返してみると「ただの少女マンガにはしないぞ!」という
新人・吉住渉の気概が感じられる楽しい漫画です。
最近はよく知りませんが、当時の「りぼん」は小学生から高校生まで幅広く読まれていて、
そのせいか少女マンガの割には「ギミック(仕掛け)」が多い印象があります。
雑誌としてのギミックは「ふろく」ですね。
クラスの女子がよくりぼんの漫画が印刷されたバッグやペンケースを持っていました。
作品としては、主テーマである恋愛の他に「スポーツ」や「ギャグ」「サスペンス」などの
副テーマをからめて読者の興味を引っ張ることが多かったと思います。
少女マンガなのに、スポーツマンガやギャグマンガとして読むこともできるので、
読者の幅が広いのです。
四重奏ゲームは、そんなりぼんの方針と新人の貪欲さが見事に合致した快作です。
楽器の演奏シーン、幻の楽譜、不良とバイク、バイオリンの弦でチャンバラしたり、
赤川次郎風の推理サスペンスがあったり、男の友情、父娘の愛、カッコいい悪役、
そしてもちろん恋愛も入っていて、
単行本一巻分にも満たない中編とは思えない盛り込みぶりです。
これを破綻させずに描ききってしまうのですから、新人とは思えない構成力です。
さすが、人気の出る人は最初から違うのだなぁーと、感心します。
荒削りなところがあるのは百も承知ですが、
キャラクターの成長や、ギミックの配置、伏線の出し方と回収などを意識しながら読むと、
ものすごく勉強になりました。
古い本なのでブックオフなら100円以下で手に入ると思います。
興味のある方はぜひ読んでみてください。