「天狼へ…」と同じ脚本を、別の演出家と役者さんで作った作品だそうです。
演出家と役者さんにはその事を知らせていなかったらしく、
直前(おそらく舞台の前説)で知ってしまい、へんなプレッシャーを感じたと言っていました。
深い情念をドロドロと描いていた前作「天狼へ…」に対して、
今作では脚本に描かれた情念を形而上的なものとして解釈したようでした。
キレイなレトリックとして脚本を捉えていて、私としては、こちらの方が好みです。
「男」が時々お客さんにおしりを向けたまま延々しゃべるのは、表情を見せない為の演出だったのだろうか。
だとしたら、あまり成功していないと思います。
それと、前半で「姫」を鎖につながれた繰り人形(マリオネット)のように演出している部分があり、
非常に面白かったです。
鎖を切られた瞬間、手も足も力のない人形のようになってしまうのは、
作品のテーマを一瞬の所作で表現していて、脚本をよく理解しているなぁと感心しました。
演出家は、こういう仕事をしないといけないのだと思います。
