私の中で何かがはじけた。
みんなそれぞれの理由で待合室にいる。
若い二人の女子大生がやってくる。
そもそも
このクリニックは誰かと一緒にくるような
ところではない。彼女たちは一体なぜ二人で
ここにいるのだろう。
二人とも仲良く診察券を出している。
ここのクリニックの診察内容が書かれた
はりがみをまじまじと見つめる。
美容?更年期?まさか。
薬の処方?
そんなことを自由に想像しながらも
場に似つかわしくない
二人の若い声が耳障りに思う。
心がざわざわする。
それは
今の私の心拍数がはやいせい。
いつもなら何の気なしにスルーするその声が、
会話がやけに気にさわる。
お気に入りのアイドルの話をまるでカフェに
いるように話す場じゃない。
『ここは様々な方がいらっしゃる場所です。お話は慎んだ方が。』と、
いつもの2倍も3倍も丁寧に、かつ短く
伝えに行こうとした時、
診察室の扉が開いて、わたしの名前が呼ばれた。
なんとも言えない気分のまま、また現実感のないまま医師の前に座る。
医師の診察は
『きれいな子宮です。右も左も卵巣も腫れていません。あっ、たまごが成長してきていますね。あと2、3日後が排卵日です。』
『あっ、はい。そうですよね。』
帰りの道。
さっきの若い女の子達のことなんかすっかりわすれていた。
私の心はぷつりと切れたのだ。
本当ならワクワクするような、
嬉しい診察結果。
でも、私にとっては
意味のない診察結果。
なぜなら
私達夫婦は今、
レスなのだから。
心が破裂する音
ずっとこの日を待っていた
彼があたしのことをもう一度好きといってくれる日を
そんな夢がかなったからうれしくてうれしくて
しかたがなかった
人生で初めて「彼氏」と呼べる人ができた。
毎日がハッピーで・・・
そんな日が続くとおもってた。
少女漫画みたいな日が。
だけど
あたしが考えてた恋と実際の恋は違った
穏やかな日々が訪れるとおもってたら
まったく穏やかじゃなかった
だって毎日心臓の音が聞こえるくらいドキドキした
ご飯の時も
授業中も
ウトウトしているときも
お風呂の時も
なにしててもドキドキした
とくに彼と電話してるときが一番
あまりにドキドキするもんだからなんか具合がわるくなっちゃうくらい
絶えられないくらい
そんなある日
家族でスキーにいった
もちろんスキー場でも彼のことばっかり考えていた
「もっと大人になったらこんなとこにも一緒にくるようになるのかな~」
って考えた瞬間に
あたしの心臓は破裂!
ドキドキがはじけた
あのときの気持ちをなんて言葉で表現したらいいかなんてわからない
とにかく彼とそこにいることを想像して
ドキドキしすぎて
苦しくなった
彼氏と彼女ってなにするの??
二人っきりってどうしたらいいの??
彼があたしのことを好きだといってくれた2週間後
あたしは彼に「ごめん」っていってた
今思えば馬鹿だし
そんな子いないって突っ込むけど、
ドキドキに耐えられなくなった
好き過ぎてあたしがもたないっておもった
心に頭がついていかなかったんだとおもう
25歳のあたしからエールを送るとすれば
「みんなそんな感情を乗り越えてんだよ。あと2週間がんばったら違う自分がみえて
くるよ」っていってあげられるのに。
その頃のあたしは
みてるだけで十分だった人が
あたしのことを見てくれてるってだけで
心臓が爆発しちゃうような子だった
初めての彼は2週間でいなくなった
あたしから大事なチャンスをまた失ってしまった
変化
別々の道に進んだ二人。
でもわたしの住んでいたところは田舎だったから
たいていの人は電車で中心部まで通っていた。
彼も例外ではなく、毎朝同じ電車で見かける。
知らない制服に身を包んで
少しずつ背が高くなっていく彼を
ドキドキしながら見つめていた。
言葉を交わすわけじゃないのに
また
一日一度みかけるだけで幸せだった。
そんなとき
びっくりするニュース。
彼が別の高校の女の子と付き合ってるって。
なんだろ。
あたし、きっとへんにうぬぼれてたのかも。
いつか
彼もまだあたしのことすきだって。
待ってたらいつかきっと・・・もう一度って
よく考えたら簡単な話。
あの告白未遂事件から3年もたってるし、
あたしは
彼になんの気持ちも伝えてない。
いつまでも
待っててくれるわけなんてないのに。
甘かったんだよね。
彼だって人なのに。
待ってるだけじゃだめなんだな~
って初めておもった。
これで彼をあきらめなきゃっておもったけど
あたし、
好きになった人を
あきらめる方法なんてしらなかった
彼女の存在を知った後も
みることでウキウキするのは変わらなかったし、
二人でいるところをみたことがなかったから
リアリティーがなかったのかも。
だからあたしの初恋は継続してた。
どうすることもできない
どうしたいなんて考えは浮かばない
ただ心の中があったかくなるだけ
彼を好きなまま静かに時はながれ
高校1年の1月
その知らせは前触れもなくおとずれた
「おれお前のこと好きだからつきあって」
ずっと言ってほしかった言葉。
3年前にちゃんと聞けなかったあの言葉
うれしかった
ベットの上で電話をしながら
心臓が飛び出しそうなくらい鳴ってるのがわかった
わたしの答えは
「うん。」