鉄鎖(ロイ→亡きヒューズ)
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「別れ話をしよう」
目の前にある墓石―――その下に眠る男に、言い捨てた
「ヒューズ…知ってるか?」
お前は死んだことで漸く軍という、市民から憧れも憎まれもする愚かな組織から自由になったのだと言うことを
与えられた階級も投げ捨て、一個人の、マース・ヒューズに戻ったのだと
そして、何より
「私に束縛されずに済んだ」
と、いうことを…
それなのに、今尚生き長らえてる私は
一生あいつに縛り付けられるのだ
ヤツの名を持つ鎖に…
けれど私はそれを重いと感じずに
むしろ嬉しくも感じるのだ
彼に、繋ぎとめられ続けて
捕まったら最後、二度と逃れることは出来ない…
「別れ話をしよう」
手も振れない私には、無理な話だった
お前が一方的に、さよならしただけなのだから
end
鎖は頑丈につくりなさい
それこそ、私の焔<ネツ>でも溶けないような、強い鎖<キズナ>を
この鎖のもう一方の先に繋がってるのは、果たして誰?
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「別れ話をしよう」
目の前にある墓石―――その下に眠る男に、言い捨てた
「ヒューズ…知ってるか?」
お前は死んだことで漸く軍という、市民から憧れも憎まれもする愚かな組織から自由になったのだと言うことを
与えられた階級も投げ捨て、一個人の、マース・ヒューズに戻ったのだと
そして、何より
「私に束縛されずに済んだ」
と、いうことを…
それなのに、今尚生き長らえてる私は
一生あいつに縛り付けられるのだ
ヤツの名を持つ鎖に…
けれど私はそれを重いと感じずに
むしろ嬉しくも感じるのだ
彼に、繋ぎとめられ続けて
捕まったら最後、二度と逃れることは出来ない…
「別れ話をしよう」
手も振れない私には、無理な話だった
お前が一方的に、さよならしただけなのだから
end
鎖は頑丈につくりなさい
それこそ、私の焔<ネツ>でも溶けないような、強い鎖<キズナ>を
この鎖のもう一方の先に繋がってるのは、果たして誰?
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安眠(ハボック夢)
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街の誰もが寝ているような、そんな夜中
「…ジャン、起きてる?」
隣りで寝ている彼の方を振り向き、小声で尋ねる。
しかし彼からの返事の声はなく、さっきから私の耳元で聞こえてた寝息を立て続けたままでいる。
ふと、目に入った彼のシャツの袖から覗く白い腕に魅入られる。
少しだけ触れてみたくて、手を伸ばす。
表面上は筋肉がついててごつごつしてるのに、肌は意外と滑らかで指先で触れるとすべすべした。
その感触に浸っていると、「んっ…」と小さく声を漏らし、彼が身じろいだ。
擽ったかったのだろうか、目は覚めてはいないようだが、連日の仕事で疲れているのにこのまま起こしてしまうのも悪い気がして、彼の二の腕から手を放した。
ふたつ並んだ枕
ひとつのベッドに二人で眠れるのは嬉しいけれど、彼の温もりは少し遠くて、ちょっとだけ哀しい。
彼の安眠を妨げないよう先程引っ込めた手を、今度はシャツの袖口まで持っていく。
彼の温度を吸い込んだ布地を指先で伸ばしながらも、どこかもどかしい気分。
突然、彼のシャツを掴んでいた私の腕が、逆に掴まれた感触がして驚く。
横で眠っていたはずの彼が、私の腕を掴んだまま、上半身を起こす。
「…どうした?」
眠れないのか、と少し掠れた優しい声が降ってくる。
寝起き眼が、薄暗い中で虚ろ気に私を少し上から見下ろす。
ジャンの掌は、よく訓練された固い皮膚で覆われていた。
それでも、彼の温もりはちゃんと伝わってくる。
「ってかお前、腕細っ」
「…ジャンの手が大きいから、余計そう感じるのよ、きっと」
話しながらも、彼のシャツを放さずにいる私の左手。
それを見てジャンは小さく溜め息をつき、私の腕をシャツから退かせる。
触れてちゃ、いけないの…?
あなたのぬくもりを、感じていたいのに…
「そんな所掴まらずに、直接俺に触れていろよ」
そう言ってやさしく笑って、私の手をにぎってくれた。
さっき触れていたシャツよりも、幾分温度を持った彼の掌。
上げていた頭を元の位置に戻して、ジャンは再び眠る体勢になった。
私と繋いでる彼の右腕が、私のお腹の上に重みを乗せる。
自分のお腹の出具合が彼に知れてしまうのは恥ずかしかったけど、繋いでない方で私の頭の下に腕枕してくれたから、私はすっかり気を良くしてしまった。
この両腕も、今宵一晩は私だけのもの。
心地よくて、安心して目を閉じた。
end
繋いだ掌のぬくもりは
ずっとこのまま、永遠だよね?
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街の誰もが寝ているような、そんな夜中
「…ジャン、起きてる?」
隣りで寝ている彼の方を振り向き、小声で尋ねる。
しかし彼からの返事の声はなく、さっきから私の耳元で聞こえてた寝息を立て続けたままでいる。
ふと、目に入った彼のシャツの袖から覗く白い腕に魅入られる。
少しだけ触れてみたくて、手を伸ばす。
表面上は筋肉がついててごつごつしてるのに、肌は意外と滑らかで指先で触れるとすべすべした。
その感触に浸っていると、「んっ…」と小さく声を漏らし、彼が身じろいだ。
擽ったかったのだろうか、目は覚めてはいないようだが、連日の仕事で疲れているのにこのまま起こしてしまうのも悪い気がして、彼の二の腕から手を放した。
ふたつ並んだ枕
ひとつのベッドに二人で眠れるのは嬉しいけれど、彼の温もりは少し遠くて、ちょっとだけ哀しい。
彼の安眠を妨げないよう先程引っ込めた手を、今度はシャツの袖口まで持っていく。
彼の温度を吸い込んだ布地を指先で伸ばしながらも、どこかもどかしい気分。
突然、彼のシャツを掴んでいた私の腕が、逆に掴まれた感触がして驚く。
横で眠っていたはずの彼が、私の腕を掴んだまま、上半身を起こす。
「…どうした?」
眠れないのか、と少し掠れた優しい声が降ってくる。
寝起き眼が、薄暗い中で虚ろ気に私を少し上から見下ろす。
ジャンの掌は、よく訓練された固い皮膚で覆われていた。
それでも、彼の温もりはちゃんと伝わってくる。
「ってかお前、腕細っ」
「…ジャンの手が大きいから、余計そう感じるのよ、きっと」
話しながらも、彼のシャツを放さずにいる私の左手。
それを見てジャンは小さく溜め息をつき、私の腕をシャツから退かせる。
触れてちゃ、いけないの…?
あなたのぬくもりを、感じていたいのに…
「そんな所掴まらずに、直接俺に触れていろよ」
そう言ってやさしく笑って、私の手をにぎってくれた。
さっき触れていたシャツよりも、幾分温度を持った彼の掌。
上げていた頭を元の位置に戻して、ジャンは再び眠る体勢になった。
私と繋いでる彼の右腕が、私のお腹の上に重みを乗せる。
自分のお腹の出具合が彼に知れてしまうのは恥ずかしかったけど、繋いでない方で私の頭の下に腕枕してくれたから、私はすっかり気を良くしてしまった。
この両腕も、今宵一晩は私だけのもの。
心地よくて、安心して目を閉じた。
end
繋いだ掌のぬくもりは
ずっとこのまま、永遠だよね?
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逆夢語り (ヒューズ夫妻/シリアス)
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あなたが最後にみたのは、どんなユメ…?
問い掛けてみても、
その問いに対する答えをくれるものは
誰もいない…
* * * * *
[ husband ]
夢を見ていた、気がする…
曖昧で、確かな記憶がある訳じゃないが、
その中の俺はひどく幸せそうで、大切なものを両腕に抱えながら笑っていた
顔中に深く皺を刻んだ歳になっても、……
目覚めてから直感的に
これは近い先、正夢にはなり得ないと思った
隣りでまだ眠っている妻の髪を撫でる
いつまでも、お前を抱き締めていられたら、…
そう思った途端、不思議と胸が切なくなった
それが、俺の最期に見た、
夢のまた夢…
* * * * *
[ wife ]
永遠の眠りについた彼を前に、問い掛ける
「あなたが最期にみたのは、どんな夢?」
やさしく頬を撫でてみても、その瞼が上がる様子は決してない
これから私は、もう
夢の中でしかあなたに会うことを許されない
広くなってしまったベッドに一人、身を委ねながら…
あなたの腕に抱き締められてる感覚を思い出しながら
朝、目覚めたら
隣りで寝息を立ててる貴方がいることを夢見て…
(今度は私が先に起きててあげるから…)
end
夢に見ているのは
そこで笑ってる君の姿
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あなたが最後にみたのは、どんなユメ…?
問い掛けてみても、
その問いに対する答えをくれるものは
誰もいない…
* * * * *
[ husband ]
夢を見ていた、気がする…
曖昧で、確かな記憶がある訳じゃないが、
その中の俺はひどく幸せそうで、大切なものを両腕に抱えながら笑っていた
顔中に深く皺を刻んだ歳になっても、……
目覚めてから直感的に
これは近い先、正夢にはなり得ないと思った
隣りでまだ眠っている妻の髪を撫でる
いつまでも、お前を抱き締めていられたら、…
そう思った途端、不思議と胸が切なくなった
それが、俺の最期に見た、
夢のまた夢…
* * * * *
[ wife ]
永遠の眠りについた彼を前に、問い掛ける
「あなたが最期にみたのは、どんな夢?」
やさしく頬を撫でてみても、その瞼が上がる様子は決してない
これから私は、もう
夢の中でしかあなたに会うことを許されない
広くなってしまったベッドに一人、身を委ねながら…
あなたの腕に抱き締められてる感覚を思い出しながら
朝、目覚めたら
隣りで寝息を立ててる貴方がいることを夢見て…
(今度は私が先に起きててあげるから…)
end
夢に見ているのは
そこで笑ってる君の姿
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