【はじめに】

 

カメラ練習も、日本語で歌うポリネシアンも中々大変な状況です。今回は、その苦闘の中身についてご報告させていただきます。カメラ練習が悪戦苦闘中なのは、カメラ保持を全面的に片手保持に変更しているからです。今までですと、素人カメラマン本来のカメラ保持方法での練習を主として、残りの時間を片手保持に当てていました。そのため、片手保持の難しさはあまり表に出てこなかったのですが、全面的に片手保持に切り替えますと、様々な問題が明らかになりました。練習時のカメラ全体は約 900グラム位あります。そのため、保持する左腕の筋力不足の問題は以前よりあって、加えて カメラを乗せている左手の痺れ等が問題となってきました。他方で、カメラ保持に関与する筋肉の数が増えたことによる、挙動の不安定性もハッキリとわかってきました。これらの詳細と、今現在考えている対策についてご説明します。

 

次の「日本語で歌うポリネシアン」で取り上げる歌は「ブルー レイ」です。歌詞は英語で日本語解釈は比較的容易です。ですから簡単に歌えるかと思いきや、豈図らんや、大変に難しい曲であることが分かってきました。もとより、ハワイアンズでの歌唱の音域は素人カメラマンの音域を遥かに超えていますので、音域を下げて歌う都合上、相当に歌いこまなければならないとは思っていました。そのため、歌詞を提示し、同時に歌ってくれている YT動画を見つけておきました。その動画の説明欄で、動画で歌っている方は「この歌の作者が ラテン語を話すなら caveat cantor (歌手は注意せよ) と書いたに違いありません」と言っているのです。最初は大して気に留めずに動画に合わせて歌っていましたところ、一人で歌うとメロディーが再現できないのです。それで、楽譜に注意を向けてみますと、出てくる出てくる、半音階の上昇と下降が至るところにあります。この方の言っていることはこのことなのです。この曲は ジャンルこそ ハパ ハオレ ソングになっていますが、実態は古き良き時代のアメリカで流行った ジャズ音楽なのでした。相当に歌いこんでいる方が始めて歌えるようなものらしいです。でも、今更愚痴を言っても始まりません。今考えている対策を説明させていただこうと思います。

 

 

 

 

【カメラ練習】

 

先に申し上げたように、カメラ保持は全面的に片手保持に変えました。つまり、左手の肘を曲げて胴に付け、あげた左手の掌にカメラを乗せて撮影します。その結果、カメラの保持に関与する筋肉の数と関節の数とが増え、安定に保持するのが難しくなりました。対策は考えているのですが、簡単には行かないの現状です。まずは、最近撮った動画をご覧ください。表題にあるように、今年の 3月 16日の撮影です。

 

 

「対岸の鴨の追跡 (約 1分半) 」

 

鴨が移動しているところを撮っただけです。

 

 

保持の方法上、どうしても手が先行して動きやすいので、体に密着させた肘を意識してカメラを動かすようにしていますが、どうしても意図しない方向にカメラが動いてしまうときがあります。もう少し保持方法になれてくれば、その様な動きは少なくなると思います。

 

 

「川鵜の集団食餌と白鷺の狂乱 (約 5分半) 」

 

多摩川には普段から白鷺と川鵜がいます。通常はそれぞれに餌を獲っているのですが、川鵜が集団で動くときがあり、その時に白鷺達が待っていたように川鵜の周囲に群がります。理由は然とは分かりません。集団で動く川鵜達に驚いた魚たちが逃げ惑うところを狙っているのかも知れません。それなら、正に漁夫の利です。長いですから、適当に飛ばしてご覧ください。

 

 

以前ですと、この様にカメラアングルが目まぐるしく変化する撮影には対応できなかったのですが、左肘の保持がある程度できるようになったためか、それほどひどい結果にはなりませんでした。それ以上に、こういう シーンは中々見られないので、その意味で面白いです。

 

 

「上流遠方の鴨 (約 2分半) 」

 

遠方にいる鴨をじーっと撮っているだけです。

 

 

現在の保持方法の大きな問題は縦方向の安定性です。左肘を安定させるべく努力をしているので、多少はましになったとは言え、上下方向にふらつきはありますから、もう少し対策を考えねばならないところです。

 

 

「下流遠方の鴨」

 

洪水対策のため、以前にはこの位置にあった川中島をかなり撤去して見通しが良くなった結果、川中島下流での鴨の面白い様子が見えるようになりました。大部分を撤去したとは言え、依然として川の流れに対する遮蔽になっていますので、下流で大きく渦を巻いているようで、その渦に乗って鴨が寝ています。

 

 

撮影の終盤になりますと、体の動かし方も良くなってきて、それほど極端なブレはなくなってきています。やはり、練習を重ねて習熟していくのが大事なようです。

 

 

「現在の課題」

 

左腕の筋力トレーニングの結果、1キロ近い撮影装備に腕が耐えることはできるようになりました。その結果、20分程度の撮影では左腕には支障が有りません。しかし、このくらい持ち続けるようになると、左手の血行が悪くなり、親指から人差し指、中指までが痺れてきます。持ち方、つまり、カメラ重心を掌のどこにおくかと言うことや、指の置き方などに工夫の余地はあると思います。時間をかけて探る必要があります。もう一つの対策は左手の血行そのものを改善することです。机に座っての仕事を続けてきたので、左手を特に活発に使うということはありませんでした。キーボードを打つと言っても、左手は右手ほどには使いません。そのため、左手の血管はそれほど負荷に耐えられないのだと思います。血行を良くする方法としては温浴が言われますので、46度程度の温湯で温めることを気長に続けていこうと考えています。左手の血行が悪くなる理由には、カメラの視野を安定させるために左手が必要以上に緊張しているということも考えられます。それなら、今の保持方式に慣れてくれば、改善が見られるかも知れません。

 

それから、丹田の安定性の確保もありました。この問題は以前よりシビアに影響するようになりましたので、引き続き改善を行っていく予定です。布製の折りたたみ椅子を使用していますので、座面が安定しないのが頭の痛いところです。

 

 

 

 

【「ブルー レイ」の現状と予定】

 

日本語歌詞の検討は「青いレイ (ブルー レイ、Blue Lei)」で試みていますが、この歌の雰囲気から、 メロディーに上手く乗せることが特に重要だと思っていました。それで、「サンゴ礁の彼方」の歌いだしの確認で行った以外は全くしなかった、楽譜の検討をすることになりました。楽譜のついている動画を YT で検索すると、音源 [1] がすぐ見つかりました。付いている楽譜は イ長調ですが、その動画で歌っているのは ヘ長調ですし、この素人カメラマンの音域でもあるので、楽譜を ヘ長調に直して検討しました。楽譜としては、定評のある楽譜集 [2, 3] がありますが、結果としては音源 [1] の楽譜が、この歌の元々の曲想が明確なので良かったです。楽譜が見つかったので、ハワイアンズの歌と比較してみたところ、拍子のとり方や雰囲気がかなり違うことが分かりました。

 

「ブルー レイ」が作成された 1940年といえば、大戦の前の不安と、それを吹き飛ばすべく スウィング ジャズが大流行りしていた頃です。この曲はとても繊細で、そして全てがブルーで半音階が多用され、歌うのが難しいのです。全音階ですと、素人でもメロディーを覚えることが (頑張れば) できますが、半音階の上昇や下降では音程の維持が難しくなります。ですから、音源 [1] に合わせれば歌えたように思えても、一人では歌えないということになります。歌詞の一つの行に正しい音程で入っても歌い終わるところで音程が違っているということになります。つまり、器楽や声楽の訓練を受けていなければ歌えない曲なのです。これでは日本語歌詞を メロディーに乗せるどころでは有りません。

 

それで、自分で楽器を演奏しながら歌ってメロディーを覚えることにしました。家には電子ピアノがありますので、チェンバロ モードにして、「ひきがたり」をするのです。チェンバロを選択した理由は、音が打鍵のタッチによらないこと、そして音色が単純で音程の把握が容易なためです。ピアノの音は、見かけとは裏腹に、とても複雑な倍音構成をしていて、馴れないと音程を取るのが大変です。以上、条件は整ったのですが、素人カメラマンは小学校のときの「猫踏んじゃった」以降、ピアノで曲を引いた経験がないことが残る問題でした。一小節ずつ指の置き方を決めて、つないでいく方法で演奏します。形だけでも弾き語りにできるまでに1月位かかったでしょうか。取り敢えず原曲を歌ったものが以下です。

 

 

 

英語の歌詞と現段階での日本語歌詞案は以下です。

 

    Blue Lei
      words by R. Alex Anderson
      music by Milton Beamer

 

 You were wearing a blue lei       君がかけていた青いレイ
 The day that I first met you        あの日初めて会ったとき
 And we wandered on the sand       そして ともに歩いた 砂浜
 By the blue, blue sea         そこは青い  青い 海

 With not a cloud in the sky        空には 雲ひとつ なく
 to distress us              二人を悩ますような
 Not a care had you or I         愁いなく 君にも僕にも
 to suppress us            二人を抑えるような

 I shall always remember         僕はいつも思い出す
 The moment when I kissed you     その時 君にキスした 時を
 And the smile upon your lips       そして笑みを 君の 唇の
 So heavenly sweet          そう 天のように美しい

 When your blue eyes looked into mine 君の青い目が僕を見つめたとき
 It was then the sun began to shine      そうその時  太陽が 輝いてきたのは
 That day in May              5月のあの日
 You wore a blue, blue lei         君がかけた青い 青い レイ

 

 That day in May              5月のあの日
 You wore a blue, blue lei         君がかけた青い 青い レイ
 

 

ハワイアンズでの演奏と比較すると、ジャズっぽいです。有名な Anderson の楽譜集 [2] や、日本では昔から知られている楽譜集 [3] にある楽譜では、音の流れは基本的に一緒ですが、調子の早いところでは更に スウィングします。例えば、ここで使った音源 [1] の楽譜で 8分音符の連続であった箇所は、ほぼ、付点 8分音符と 16分音符の組になります。当時はスウィングしなければならなかったのでしょうね。ただ、基本メロディは変わりませんから、音源 [1] の楽譜で演奏して、歌だけスウィングしても同じような結果になるとおもいます。

 

「ブルー レイ」については次のように考えています。まず、現在使用している楽譜を英語と日本語で歌い、それらをまとめて一つの動画とします。これは「ロウ セイ オリアナ」のバラード編の様になります。その後で、ハワイアンズの「ブルー レイ」に合わせて歌ってみます。ただし、歌手の方の音程にはついて行けませんので、残念ですが、オクターブ落として歌わざるを得ないかと思います。

 

 

背景動画としては 2025年 6月 23日の、最後の ハワイアンズ訪問で拝見した「ブルー レイ」を使いたいと思います。そう、この歌は ウアケアさんが踊っておられたから歌うのです。

 

 

ウアケアさんの踊りの特徴は歌のままに踊る、或いは、歌に合わせて踊りで歌い上げることがおできになるところです。まるで、神様の声を伝える巫女のようです。タネ イ ムアや ポエの様な神前舞の雰囲気の踊りであれば正にそうです。人の歌いに合わせて、人が踊り、それを人々が楽しむのであるなら、そこには更に心の交歓、そう アロハの世界があって良いでしょう。見てもらって終わりではなく、歌い手は詩の作り手の アロハを歌い上げ、そこに踊り手のアロハを合わせ、その中で人々はそれぞれに感じたアロハを返す。そこに一期一会のアロハの世界が生まれると思います。その中で、皆の心のうちに新たな力が生まれます。江戸の始めのお国歌舞伎はそうだったに違いありません。日本舞踊であろうと、歌舞伎であろうと、ポリネシアンであろうと、芸能は私達のためにあります。私達とともにあるのなら、そこは舞台であっても良いし、ホテルのラウンジでも良いし、私達が食事するレストランでも良いですし、ただ皆の集まりであっても良いです。

 

 

その様に思う時、ウアケアさんのように資質を持たれた方が、踊り手としてのアロハをお出しにならないことがずっと不思議でした。そのことが「サンゴ礁の彼方」を見る彼を途方に暮れさせました。それはウアケアさん自らがご自分に課されたものなのか、或いは超えることができなかったものなのか。でも、この素人カメラマンが最後に拝見した踊りでは、そうではなかったのです。

 

 

現れたものは消えません。そしてそれは、ウアケアさんの舞踊家としての世界を間違いなく広げていくものだと思うのです。少なくとも、この素人カメラマンは、その時、その様に感じ、嬉しく思いました。この奇跡のような方が私達の世界でアロハの踊りを繰り広げる。そのような世の中にしていく、それは、次には、私達がやることでしょう。

 

 

 
 
[1] Blue Lei - Beamer, Anderson (1940) - Ukulele chord-melody w. pdf,
  "art levine's ukulele page" YT channel.
[2] R. Alex Anderson, Famous Songs of Hawaii. Poly gram Music Pub., 1987.
[3] ジョージ松下編、Real Hawaiian  Vol.2. ドレミ楽譜出版, 2006.