「アカペラで歌う サンゴ礁の彼方 (Beyond the Reef) 」

                   「ビヨンド ザ リーフ (Beyond the Reef)

                             「ポリネシアの歌

 

【はじめに】

いよいよ「サンゴ礁の彼方」を歌ってみることにしました。どうしても歌ってみたかったのです。それは、とても素敵な演目抜き出し動画があるからなのです。この甘い曲で ウアケアさんたちが踊れば、素敵な踊りとなるように思うのですが、最初はなかなか良い動画が撮れませんでした。一つには、「サンゴ礁の彼方」が大曲過ぎて歌う方に熱が入り踊りとよくマッチしなかったことがあるように思えますし、踊られる方の間でも必ずしも気持ちが一つにはなりきらなかったこともあるように思えます。そんなところに、この素人カメラマンは彼で、ウアケアさんは何で真ん中で踊らなのでしょうかと コメントを書いていたりして。思うにこの演目を取りまとめるお一人だった ウアケアさんは、曲と踊りのハーモニーを取るのがとても大変で、真ん中で踊れと言われてもそれどころではなかった様に思われます。結果で言えば、舞台の端から見るのが全体のハーモニーを感じ取る一番良い手段だったのでしょう。そんな中での転機が、2024年 1月 23日の「サンゴ礁の彼方」で感じられました。弦の響きが少し強すぎる気はしますが、ヴォーカルと踊りがとても良くマッチし、最初の一小節からハッとしました。踊り手さん達の心が合わさり、それを ヴォーカルが サポートするのがこれほど素敵な効果を生むということが初めてわかりました。

それでアカペラです。易しい曲のようでありながら、原曲の流れを消化するのがとても大変でした。歌を聴くだけでは分からず、楽譜を取り寄せて仔細に検討することで、ようやく全体が理解できました。結果は何時ものとおりですが、とにかくご覧くださいませ。

 

以下のように進めてまいります

 

          【アカペラで歌う サンゴ礁の彼方】
          【原歌詞と元の日本語歌詞案】
          【原歌詞と拍の配置】
          【日本語歌詞の調整と拍の配置】
          【背景動画について】
          【おわりに : この歌の若干の考察を含めて】

 

( 12/27  最後に、この曲以外の Jack Pitman の曲を幾つかあげ、周囲の状況との関連について議論してみました。)


 





【アカペラで歌う サンゴ礁の彼方】

 

次の歌詞で歌います。

 

   Beyond The Reef
       by Jack Pitman, 1948

1
 Beyond the reef           珊瑚礁の彼方
 Where the sea is dark and cold     その海は暗く冷たい
 My love has gone            わたしの愛は去り
 And our dreams grow old      私たちの夢も過ぎ

2
 There’ll be no tears           流さない 涙は
 There’ll be no regretting        しない 後悔も
 Will he remember me       彼は覚えていてくれるかしら
 Will he forget?            それとも忘れてしまう
 

3
 I’ll send a thousand flowers    私は送る千の花を
 Where the tradewinds blow    あの風の吹くところに
 I’ll send my lonely heart        私は送る寂しい心を
 For I love him so          彼を愛しているから

4
 Someday I know         いつの日にか 分かるの
 He’ll come back again to me      彼は戻ってくると
 ‘Til then my heart will be      その時まで 私の心は
 Beyond the reef           珊瑚礁の彼方

 

一度第四節まで歌った後、第三節と第四節をもう一度ずつ繰り返します。結果は以下の通りです。

 

 

第四節を二回目に歌ったところで、一行目後半の調が少し動いてしまいました。歌いきれそうになったので、気が緩んでしまいました。

 

( 12/25 「その海は暗く冷たい」を「その海は暗く『て』冷たい」と歌ってしまい、このへんで緊張感が崩れかけました。歌い始めた時に、何故か『て』を入れようと思ってしまったのです。もっと崩れれば歌い直したのですが、中途半端はよくありません。)

 

 

 

 

【原歌詞と元の日本語歌詞案】

前項「ビヨンド ザ リーフ (Beyond the Reef)」にあげた歌詞は以下です。これを基に考察を進めて、最終的な日本語歌詞を導出します。

   Beyond The Reef
       by Jack Pitman, 1948

1
 Beyond the reef           珊瑚礁の彼方

 Where the sea is dark and cold     そこは暗く冷たい海
 My love has gone         わたしの愛は消えさった

 And our dreams grow old     そして私たちの夢は朽ちた

2
 There’ll be no tears           涙はないわ

 There’ll be no regretting        後悔もない、けど
 Will he remember me       私を覚えててくれるかしら?
 Will he forget?            それとも忘れてしまう?

3
 I’ll send a thousand flowers    千の花を送るの

 Where the tradewinds blow    貿易風の吹くところに
 I’ll send my lonely heart        私の孤独な心を送るの
 For I love him so          彼を愛しているから

4
 Someday I know         いつか、私には分かるの

 He’ll come back again to me    彼は再び戻ってくるわ
 ‘Til then my heart will be      それまで、私の心は

 Beyond the reef           珊瑚礁の彼方

 

ハワイアンズでは 1 2 3 4 3 4 と歌っています。
 

 

 


【原歌詞と拍の配置】


以下に、大まかな拍を入れたものをお示しします。母音が主体の ポリネシアの歌ですと、これでかなりわかるのですが、それ以外の音韻が主体の英語ですと、楽譜を見なければ細かな音の動きは分かりません。特に、この歌では、英語からくる細かな音の動きが表情を作るので、日本語歌詞と拍の対応を考える場合には楽譜が必要でした。勿論、学校の唱歌 (と賛美歌) 以外の経験の殆どない、この素人カメラマンには楽譜は読めません。しかし、見えてくることはあります。

歌詞の一つの行は、楽譜の二小節に対応しています。楽譜から分かってくることが幾つかあります。この歌は「起 - 承 - 転 - 結」の見事な構成になっています。第一節、第二節、第四節は同じ導入部を持ち、従って同じ音で始まります。第三節が展開部です。展開部は複雑な音の動きになりがちですが、「I'll send」で始まる 1行目と 3行目の最初の音は、それぞれの直前の小節の最終音に合わせてありますので、それが分かっていれば音を外すことはありません。これらの行に続く、「where」と「for」で始まる 2行目と 4行目は、最初の「beyond」の先頭と同じ音で始まり、同じメロディーで進行し、最終音だけが異なります。一般に、楽譜が読めなくとも、歌詞の最初を正しい音で始めることができれば、続くメロディーは容易に思い出すことが出来るものですから、これだけの仕掛けがあると、大変に歌いやすい曲のように思えます。楽譜の読めない ミュージシャンが珍しくもなかった初期の頃には、喜ばれたでしょう。しかし、歌詞の内容を考えると、なかなか深い内容を持つように思えます。でも、作曲者の Jack Pitman はカナダ  サスカチュワン州で生まれたカナダ人なのです。南国を歌ったこの曲が彼の最高傑作と言われるのですが、どの様な経緯で作曲したのか、興味深いところです。日本語歌詞の検討を終えた後で、内容に少し入ってみたいと思います。
 

( 12/26   Huapala [3] の補足によれば、Jack Pitmann は 1943年に カナダから ハワイに移住したようです。日米開戦が 1941年で、終戦が 1945年ですから、ちょうど戦時中で、ハワイは重要な軍事施設を抱えた地域ですから、軍関係の仕事をしていたのかも知れません。IMDb [4] によれば 1986年に ホノルルで亡くなっています。)


以下、「」で一小節の半分の長さに対応するものとし、「 ❍❍ 」で一小節の長さとします。

 

   Beyond The Reef
       by Jack Pitman, 1948






 

ハワイアンズで歌う 1 2 3 4 3 4 の順番では、第四節の最終小節は一度目と二度目とで異なります。ここでは、深くは触れません。なお、上でも述べたように、第2節と第四節の最終音は同じで、それに第三節の始まりの音が合わせてあります。詳しくは、楽譜をご覧ください。

 

 

 

 

 

【日本語歌詞の調整と拍の配置】

 

 

先にあげた日本語歌詞が一般に引用される形です。しかし、このままでは当然ながら歌えません。踊りとの整合性を考えながら、歌えるように日本語歌詞を付けてみたいと思います。拍を置くためには、日本語アクセントの情報も必要ですので、アクセントがあるところに下線を起きます。アクセントは アクセント辞典 [1] を参考にしました。辞典からは分からなかった一部については、グーグル検索で推測しました。なお、アクセントには、そこにアクセントを置くという意味と、それ以降を弱く発声するという二種類の区別があるのですが、ここでは両者の区別はしません 以下で、記号「」は拍に対する裏拍の位置を表します。

 

 

 

次のようにしてみました。 


 

南洋の島は火山島です。その周りに環礁が発達するので、周囲の海は環礁の内側の浅い海の部分と環礁の外側の深い部分からなります。それらの火山島は、海底から数千メートルの高さにそそり立っているのですから、環礁の外側の海は急速に深くなっていき、深い青色を呈しています。ですから、「dark」とは「深い青 (dark blue)」なのでしょうが、曲調から「暗い海」としました。3行目と 4行目の終わりの「has gone」と「grow old」は、それぞれ、「消え去った」と「朽ちた」としていましたが、簡単に「去り」と「過ぎ」として進行を原曲に合わせました。「Grow old」は正確には「古くなっていく」という意味ですが、「離れていく」という感じになるので、こうしました。それから、4行目の始めの部分「わたしたちの」は タイミングを合わせて歌わないと、第二拍目の「夢」に間に合いませんので、かなり早口になりがちです。ここは、四分の一拍ずつの「[わたし] [たちの]」に分けて、原曲の「 [and] [our]」に合わせると歌いやすいように思います。なお、1行目の終わり「彼方」の音程にご注意下さい。下げてしまうと次行に繋がりません。

 

( 追加 : 「dark and cold (暗くて冷たい) 」海というと、鮮やかな青色の南の海ではなく、灰色っぽい、高緯度の海のイメージが最初に湧きます。例えば北海や北欧の海などです。 Wikipedia [2] によれば、Pitman は ハワイ滞在中に作曲したようなのですが、ハワイの海には感動しなかったのでしょうか。同じ ハパ ハオレ ソング の「ブルー レイ (Blue Lei) 」ですと、「青」のオンパレードになります。)

 

 

 

次のようにしてみました。 


 

最初の2つの行では「流さない」と「しない」の後で切ると、歌の雰囲気に合うように思います。最後の行ですが、楽譜から見ると「 [それ] [とも] [わすれて] 」が「 [will] [he] [for-] 」に合わせて四分の一拍ずつで歌われるとちょうどよいようです。

 

 

 

次のようにしてみました。 


 

上で述べたように、最初の行と 3行目の「私」は直前と同じ音で始まることを頭に置いておくと歌いやすいです。二行目の「あの風」は「 [あの] [か] [ぜ] 」と分けて、原曲の「 [where] [the] [trade-] 」に対応させます。「 [where] [the] 」が低い音で歌われることにご注意下さい。この様に風を「 [か] [ぜ] 」とアクセントで分けると、音程の差で原曲の躍動感が強まります。「 Trade-wind 」は、日本語では説明しずらい風なので、単に「あの風」としました。なお、2行目と 4行目ですが、「あの」と「彼」は原曲の最初の「 be-yond 」の「 be 」と同じ音であることを頭に置いておくと良いです。また、「所に」と「から」は原曲の「 blow 」と「 so 」に対応するのですが、「から」が「所に」と比べて音程が一つだけ低くなり、節の区切りの感じになります。

 

 

 

次のようにしてみました。 


 

最初の行の終わり「分かるの」の音程にご注意下さい。ここが下がると、次に繋がらなくなります。3行目の「私の 心は」は「 [わ] [たしの] [こ] [ころは] 」と意識的に分けて原曲の「 [my] [heart] [will] [be] 」に対応させるとメロディが取りやすいと思います。 

 

まとめると、以下の通りです。

 

   Beyond The Reef
       by Jack Pitman, 1948

 

1

 

2

 

3

 

4

 

 

 

 

 以上、大まかにご説明いたしましたが、英語の歌詞に合わせた メロディですから、日本語歌詞では、自然には メロディが再現できません。素人カメラマンの場合は、当然駄目ですから、原曲一行を歌って、日本語歌詞を一行歌い、原曲の次の一行を歌って、対応する日本語歌詞を歌うというようにして メロディを合わせました。一つの行の日本語歌詞から次の行の原曲の歌詞に繋がれば、メロディはほぼ再現されたものと考えて良いと思います。彼の場合、このプロセスを気が遠くなるまで繰り返しました。時々、本当に気が遠くなった感じがしたので、どうしたのかと心配しましたら、お腹が空いてエネルギー切れになっていた、ということがなんどかありました。歌いやすそうな曲ではありますが、大曲と言えると思います。大物歌手が カバーしたくなる気持ちがわかります。歌い終わると大物になった気はしますが、録音して聴き直すと、大したことはないのは残念なことです。 

 

それから、息継ぎの問題が最後まで残りました。歌詞の一行ずつ息を継げば楽なのですが、楽譜の一つのラインには歌詞の二行が入ります。そして、二拍で伸ばすところは、全て スラーで次の行につながるように書いてあります。そこで、楽譜の一ライン、つまり歌詞の二行を一つの息継ぎで歌ってみようとしましたが、どうやっても出来ませんでした。バックバンドのヴォーカルの方々はどうしているのでしょう。 

 

 

 

 

【背景動画について】 

 

動画は 2024年 1月 23日の ハワイアンズ訪問で撮った サンライト カーニバル「ククナ (太陽の光) 」から抜き出したものです。踊っておられるのは、下田 (ウイラニ) 杏南さん、緑川涼香さん、及川千穂さん、徳永千陽さん、ウアケア佳奈子さん、ヴォーカルは高岡秀行さん、三田菜々子さん、濱田侑莉さんです。ベースの斎藤和雄さんも ヴォーカルも担当されていたかも知りません。 

 

 

 

以下に演目抜き出し動画に素人カメラマンが書いたコメントを引用します。時系列的には逆順になっています。

 

 バックコーラスも良いです。伸びの有る声を持った女性ボーカルが去ったことで、
 ボーカルの基本的な見直しをしたのでしょう。

 どうしたのでしょうね。見れば見るほど不思議です。最初の御三方の登場のシーン
 からして不思議な至福感があります。お一人お一人が皆のために踊って居られるよ
 うに感じます。それなら踊りの息がよく合うのも当然です。ビヨンザリーフでこん
 な感じに囚われたのは初めてです。

 挨拶をしてから奥へ引き上げるまでの ウアケアさんの表情が自然で良いと思いま
 す。ずっと以前はこの付近で表情が硬く見えることが多かったからです。今回は全
 体として納得できる仕上がりになって居たからではないかと思います。ウアケアさ
 んくらいになると、他の方々がどの様に踊っているかが解るのでしょう。

 ウアケア ファンの独り言です。最近拝見する ビヨンザリーフ、 ウアケアさんが大
 層美しく踊られるので嬉しいのです。ハワイアンズ の売り場に有る ハワイアンズ
 カレンダー に ウアケアさんの ビヨンザリーフ の美しい ワンシーン があります。
 パラパラめくって ウアケアさんを発見して、プロの写真家は凄いなと思っていたの
 です。しかし、私が撮っても ウアケアさんの美しい シーン が撮れてしまうこの頃、
 何だか尋常ではないですね。二年前に心を奪われた ウアケアさんの アイナふくしま
 のワン シーン を思い出します。あれは白昼夢だったのだろうと納得していました。
 しかし、同じ不思議を言うなら、今の ウアケアさんが見えたのかも知れない、と
 言っても良いかも知れません。それなら、いよいよ準備して行かなければなりませ
 ん。次回には アップグレード したカメラが使えそうです。新しいシステムでは、
 広角ががやや強くなり、 ズーム も大きくなります。明日から、多摩川で練習して
 みましょう。
 

 ウアケアさんの踊る ビヨンザリーフ はとても素敵だと思ってきました。色んな理由
 が有るのでしょうが、最近は特に素敵な踊りになっています。それはわざわざ言う
 までもないことです。今回少しオヤっと思ったのは、全体で良いと感じたからで
 す。こんなことを書くとかえって失礼なのでしょうが、緑川さんがとても素敵に
 踊って居られます。実力の有る方ですから、何を今更という言ではあります。た
 だ、そのような方がこの様な踊りをされると全体の印象が随分と変わるのです。
 こんなシンフォニーのような踊りがウアケアさんの目指すところなのでしょうと納
 得できた気がします。逆に、ここから見ていくと、ウアケアさんの選んできたこ
 と、選んでこなかったことの訳が分かるのかも知れません。それで演目動画として
 みました。サムネイルもその理解で選んでみました。選んだと言うよりは、始めか
 らここだろうという見当があったので選ぶ苦労はありませんでした。しかし、何の
 偶然か、サムネイルの中で全員の方々の踊りがピッタリとあっているのに、今更な
 がらに素敵だと思います。同じ音楽で踊っていても実際には中々合わないもので
 す。何か、賢しらな理屈を超えたものがあるのでしょう。

 

如何ですか。感激していた様子がおわかりいただけるかと思います。次は動画の中のひとコマ、「千の花を送る」というところの シーンです。
 

 

本当に、可憐で均整のとれた美しさでありながら、どっしりとしていて、大きな動きである事がおわかりになると思います。大きな青い鳥が飛翔するようではありませんか。ウアケアさんの踊りは、どの場面を切り取ってみても、同じなのです。このような方は、他にハワイアンズにはおられないし、乏しい経験ではありますが、拝見したことがありません。乏しい経験と言えば、以前、社交ダンスを学んでいたことがあり、勧められて武道館で行われた ダンス世界選手権大会を拝見したことがあります。世界から優れたダンス ペアが集まり、競い合います。そこでは、競技開始からダンスの高いレベルに感服していたのが、決勝になって更に競技のレベルが上がるのに驚いたものです。よく書かせていただくことなのですが、ウアケアさんの踊りの動きは、その世界トップレベルのダンスペアの動きに匹敵するものなのです。この スナップショットにしても、その緩みのないバランスのとれた姿勢、つま先から人差し指まで考えつくされた演技、驚くばかりです。踊りの背景が日本語の歌であるなら、その踊りは私達の胸に感動を呼ぶことは間違いありません。歌の内容に深く入らずに鑑賞すると、外面的な可愛らしさとか勢いの良さとかに目を奪われてしまい、本当の美しさに目が届かなくなると思います。

 

「サンゴ礁の彼方」は新シリーズに変わる 8月まで続き、それまで、とても素敵な「サンゴ礁の彼方」が演じられることになります。しかし、この時期、素人カメラマンの カメラ システムの切り替えが重なり、この演目の映像としては旧カメラ システムに依るこの日の映像を超えるものは撮れませんでした。新システムでは、撮像系の感度も向上し、レンズ系の開口径も最大広角度も大きくなりました。でも、その分だけ、カメラマンの技量が映像に現れるのです。広い範囲が視野に入るということは、カメラの軸線のブレがそのままに映像に現れますので、カメラの保持にはそれまで以上の熟練が必要になるのです。この素人カメラマンが多摩川でのカメラ練習に本気になって取り組み始めたのは、そのためでした。

 

 

「どう?」

 

この 1月 23日の群舞が素敵に仕上がったことが、ウアケアさんにはとても嬉しかったのでしょう。

 

 

 

【おわりに : この歌の若干の考察を含めて】

 

「サンゴ礁の彼方」を、 2024年 1月 23日の演目動画を背景に、何とかアカペラで歌いました。この日の「サンゴ礁の彼方」はウアケアさんにとっても一つのステップになった踊りだったと思います。そして、それを記録に残せたことは今更ながらに嬉しく思います。この記念すべき動画を背景にアカペラを歌うに当たっては、相当に元の歌を歌いこむ必要がありました。分かっていたと思っていた歌が、実はそれほどに理解していないことが分かってきたからです。アカペラは、気の緩んだところでミスが出ましたが、それほど外すことなく歌えたので良かったです。

 

この「サンゴ礁の彼方」は誤解していたところがありました。これは形としては、女が去っていった男を待つ歌です。去っていった女を男が待つ歌としては、「プア カーネーション」があり、それは既にアカペラで歌いました。そして、その歌の歴史的な背景に思いを向けてきました。この歴史的な重さに比べると、「サンゴ礁の彼方」で女が男を待つ状況は、ちょっと、軽く感じられたのです。有り体に言えば、女が男を待つものか、というところです。これについては、件の工場長とも話したことがあって、生物学的に、女は男を待つものではないよねという理解になっていました。ですから、この歌は男性にアピールするための歌だろうと思っていたのです。ところが、アカペラのために何度も歌い、歌詞を繰り返し読み、日本語で考えているうちに、これは男、女に拘泥して聴く歌ではなく、島を離れていったものに対する期待として聴くべきなのだろうと思うようになりました。この歌では、男の側の事情については何も語られていません。これは、「プア カーネーション」と比較すると、徹底しています。全ては女の側の思いで語られています。それに耳を傾けてみますと、女は男を強く思いながらも、優しく送り出したのだとわかります。女は、その男に何かをなすべき人だと思いをかけ、送り出し、何事かを成し遂げて帰り来るを全身全霊を持って待つのです。そうすると、男を待つ女という状況は、今の世界であれば、何事かをなすべき女を待つ男でも良いのです。更に思いを推し進めるなら、新しい世界で踊りに対する新たな精進を重ね、素晴らしい踊り手として私達の前にお立ちになるであろう方を待つ、この素人カメラマンでもあり得るのです。つまり、私達の前から離れ、何事かなさざらんと精進するものへの愛を歌う歌だと思えるのです。そうすると、その動画で踊っておられるのは ウアケアさんですが、歌うものは、更に素晴らしく踊らんとするこの方のへの愛を歌っていることにもなります。

 

( 12/24  上記の、歌詞から考えた男と女の解釈ですが、女は男に密かに恋い焦がれていたとするのが妥当だと思います。男の側の事情を全く語らないのはそれが理由でしょう。)

 

( 12/26  作者の Jack Pitmann の出自に触れたところに書きましたように、彼が ハワイに移ってきたのは戦時中です。出征する兵士と家族の様子を見聞きしてきたのですから、その経験が、終戦後に創作欲が湧いてきた時に、この歌を書かせたのかも知れません。また、この歌にそこはかとなく感じられる緊張感もそこから来ているのかも知れません。)

 

( 12/27  上記の事柄を敷衍すれば、状況的には、日本の「岸壁の母」が「珊瑚礁の彼方」とよく似た位置づけにあります。ただ、前者の場合は実在の人物に焦点が当たって歌が出来たのに対し、後者の場合には、出征した恋人を待つ人たちの印象を仮想的な人格にまとめて、戦争の匂いがしないように、歌にまとめられたのでしょう。この違いは、前者の作詞者が戦時中もレコード会社に所属して戦争に直接的には関与していなかったことに対して、Pitmann は、おそらく、軍関係の仕事をしていたことに依るのだと思います。[これは誤りでした。]この事が正しければ、1943年にハワイに来て 1945年に終戦ですが、仕事が終わるのには更に数年かかったものと思われますので、その仕事に付いている間に曲想が湧いたのではないかと思います。仕事でいっぱいの日々でしたでしょうから、ハワイを楽しむ時間も気分的な余裕もなかったのでしょう。それが、曲に珊瑚礁以外の ハワイの事物 が歌いこまれなかった理由でしょう。付録 00 に彼の作品を、分かった範囲で、示します。次の作曲まで数年の間があるのは、当時の仕事を辞めてから身を落ち着けるまでの時間が必要だったからだと思います。「珊瑚礁の彼方」以外の曲がいかにも ハワイらしい明るいタイトルであるのを見れば、この曲が特別であったことがわかります。)

 

( 12/29  アロハフェスティバル [5] と呼ばれるお祭りが毎年 9月に行われます。このお祭りは以前は アロハ週間 (Aloha Week) と呼ばれていて、その第二のテーマソングと言われているのが、 Jack Pitman の「Aloha Week Hula」です。この アロハ週間、もしくは アロハ フェスティバルと Jack Pitman の関わり合いが 参考文献 [6] にありましたので、一部を抜粋して、ご紹介します。ラウンジ ピアニストについては、例えば、ブログ [7] が参考になります。

 

 ワイキキで活動していた カナダ人 ラウンジ ピアニスト、ピットマンにとって最初の

 大きな成功は1948年、「ビヨンド ザ リーフ」を作曲し、新進気鋭の アルフレッド 

 アパカによって録音された時でした。アパカはまた、「アロハ ウィーク フラ」も録

 音しており、1950年代初頭にソング コンテストで優勝しました。この録音は非常に

 人気を博し、毎年恒例のフェスティバルの非公式な聖歌 (anthem) となりました。

 これが アロハ ウィーク ソング コンテストの終焉につながったことは間違いありま

 せん。

 

この記事より、 Jack Pitman は軍需景気に湧いていた ハワイに仕事のために移住してきていたことがわかります。軍関係の仕事と推測したのは誤りでした。なお、コンテストの終焉とあるのは、「アロハ ウィーク フラ」が出てしまったので、それ以上続ける意味が無くなったということでしょう。)

 

( 12/29  Facebook [8] より、引用します。ハパ ハオレ ソングについては、「ハワイ文化復興運動:ハパ ハオレ ソングから第二回ハワイ文化復興運動まで」をご覧ください。

 

 While manning the piano in the Moana Hotel lounge, he composed an endless 

 string of hapa haole hits, including: Aloha Week Hula, Fish And Poi, My Waikiki 

 Girl, Lovely Hula Girl, Blue Muumuu, Goodnight Leilani E, Sands of Waikiki, and 

 many more. Jack Pitman was a giant in the final chapter of hapa haole music 

 history, and his legacy continues to be shared in this century.

 

 モアナ ホテルの ラウンジで ピアノを弾きながら、彼は数え切れないほどのハパ 

 ハオレの ヒット曲を作曲しました。その中には、「アロハ ウィーク フラ」

 「フィッシュ アンド ポイ」「マイ ワイキキ ガール」「ラブリー フラ ガール」

 「ブルー ムームー」「グッドナイト レイラニ E」「サンズ オブ ワイキキ」など、

  数え切れないほどの曲があります。ジャック ピットマンはハパ ハオレ音楽史の最

 終章を牽引した巨匠であり、 彼の遺産は今世紀も歌い継がれています。)

 


 

 

 

【付録 00 : Jack Pitman の作品】(12/27)

 

ネットで検索して得られたデータを以下に示します。

 

 Beyond the Reef  by Jack Pitman, 1948.
 Lovely Hula Girl  by Jack Pitman, Randy Oness, 1952.
 My Waikīkī Girl  by Jack Pitman, Eaton Magoon, Jr., 1953.
 Fish and Poi  by Jack Pitman, Bob Magoon, Jr., 1953.
 Hawaii  by Jack Pitman, 1955.
 Hawaii on an Easter Day  by Jack Pitmann, 1957.
 Blue Muʻumuʻu   by Jack Pitman, 1957.
 Aloha Week Hula   by Jack Pitman, 1959.
 Sands of Waikīkī  (Golden Sands Of Waikiki)  by Jack Pitman, 1962.

 

作曲年不詳


 Lani  by Jack Pitman.
 Goodnight Leilani E (in "The Song Within The Song")  by Jack Pitman.

 


 

 

【付録 01 : 原歌詞と拍】

 

   Beyond The Reef
       by Jack Pitman, 1948

1
    ❍     ❍         ❍❍
     Be-yond the reef
    ❍             ❍        ❍         ❍
     Where the sea is dark and cold
    ❍     ❍          ❍❍
     My love has gone
    ❍           ❍             ❍❍
     And our dreams grow old

2
    ❍           ❍       ❍❍
     There’ll be no tears
    ❍                ❍       ❍     ❍
     There’ll  be no regretting
    ❍         ❍      ❍       ❍
     Will  he  remember me
    ❍         ❍       ❍❍
     Will  he for-get?

3
    ❍       ❍       ❍          ❍
     I’ll send a thousand flowers
    ❍               ❍           ❍❍
     Where  the tradewinds blow
    ❍        ❍         ❍       ❍
     I’ll  send my lonely heart
    ❍         ❍          ❍❍
     For I love him  so

4
    ❍       ❍      ❍❍
     Some-day I know
    ❍              ❍     ❍         ❍
     He’ll come back again to me
    ❍       ❍        ❍            ❍
     ‘Til then my heart will be
    ❍     ❍         ❍❍
     Be-yond the reef

 

 

 

 

【付録 02 : 提案する日本語歌詞と拍】

 

 

1

         ❍                 ❍                            ❍❍

          サンゴしょう(礁) の なた(彼方) 

         ❍            ❍                           ❍                               ❍

          そ み(海)は くらく(暗く)  つめたい(冷たい) 

          ❍                               ❍                       ❍❍

          わたし(私)の い(愛)は り(去り) 

         ❍                                                     ❍                   ❍❍

          わたしたち(私達)の ゆ(夢)も ぎ(過ぎ) 

 

2

         ❍                               ❍           ❍❍

          ながさ(流さ)ない   みだ(涙)は  

         ❍        ❍                ❍      ❍

          しない        こうかい(後悔)も  

         ❍                                ❍                                              ❍                 ❍

          れ(彼)は おぼえ(覚え)ていれる かしら  

         ❍                ❍                                              ❍❍

          それとも わすれて(忘れて) しまう 

 

3

         ❍                                  ❍                          ❍                           ❍

          わたし(私)は おくる(送る) ん(千)の は(花)を  

         ❍                 ❍                                            ❍❍

          あぜ(風)の ふ(吹)ころ(所)に  

         ❍                                  ❍                                 ❍                                      ❍

          わたし(私)は おくる (送る) さびしい(寂しい) ころ(心)を  

         ❍                                ❍                                      ❍❍

          かれ(彼)を あいし(愛し)て い から  

 

4

         ❍                ❍                  ❍❍

          いつの日にか わるの  

         ❍                                ❍                            ❍               ❍

          れ(彼)は もどっ(戻っ)て (来)ると  

         ❍              ❍                                ❍                         ❍

          そのとき(時)まで わたし(私)の ころ(心)は 

         ❍                 ❍                             ❍❍

          サンゴしょう(礁) の なた(彼方) 

 

 

 

[1] 金田一晴彦[監], 秋永一枝[編], 新明解 日本語アクセント辞典, 第 2版. 三省堂 2024.

 

[2] 珊瑚礁の彼方 ,  Wikipedia.

 

[3] Beyond The Reef ,  Huapala.

 

[4] Jack Pitman , IMDb.

 

[5] アロハフェスティバル: フローラル・パレード , GoHawaii.com ホームページ.

 

[6] Harry B. Soria, Jr. , "The 'Skinny' on Aloha Week Hula," Hawaiian Music Hall of 

  Fame.

 

[7] ラウンジピアニストってどんなお仕事? , ピアニスト Mami の音・美・癒しの日々

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[8] Territorial Airwaves , Facebook.