「原曲で歌う ブルーレイ (Blue Lei)」

                     「青いレイ (ブルー レイ、Blue Lei)

                               「ポリネシアの歌

 

【はじめに】

 

「ブルー レイ」を英語と日本語で歌ってみたものを動画にまとめました。動画では、歌唱に合わせて歌詞を示します。前項で申し上げてから、英語と日本語での歌を一つにまとめるまでに随分と時間がかかってしまいましたのは、やはり演奏を安定させることと、アカペラでもそれなりに歌えるようにするまでに、かなりの練習が必要だったからです。今更ですが、「ブルー レイ」は決して、いわゆる、ポリネシアの歌ではありません。とても繊細で、技巧的なアメリカのジャズ音楽です。これを歌うというのが本稿の唯一の目的となりました。

 

以降、今回は以下の構成になります

 

      【原曲を英語と日本語とで歌う】
      【歌ってみて】

 

 

 

 

【原曲を英語と日本語とで歌う】

 

歌う歌詞は以下のものです。

 

    Blue Lei
 

      words by R. Alex Anderson
      music by Milton Beamer


 You were wearing a blue lei       君がかけていた青いレイ
 The day that I first met you        あの日初めて会ったとき
 And we wandered on the sand       そして 共に歩いた 砂浜
 By the blue, blue sea         そこは青い  青い 海

 With not a cloud in the sky        空には 雲ひとつ なく
 to distress us              二人を悩ますような
 Not a care had you or I         愁 (うれ) いなく 君にも僕にも
 to suppress us            二人を抑えるような

 I shall always remember         僕はいつも思い出す
 The moment when I kissed you     その時を 君にキスした瞬間 (とき) を
 And the smile upon your lips       そして笑みを 君の口唇の
 So heavenly sweet          そう 天の様に美しい

 When your blue eyes looked into mine 君の青い目が見つめたとき 僕を
 It was then the sun began to shine      その時  太陽が 輝いてきた
 That day in May             五月のあの日
 You wore a blue, blue lei         君がかけた青い 青い レイ

 That day in May              五月のあの日
 You wore a blue, blue lei         君がかけた青い 青い レイ

 

 

結果は以下のとおりです。

 

 

 

英語版と日本語版とは、それぞれ以下の楽譜をチェンバロ モードに設定した電子ピアノで弾きました。楽譜は、音源 [1] にあげられていた PDF 版の楽譜を ヘ長調に変更したものです。ただし、[1] にあげてある楽譜では 6段目の「it was」の場所の音が「♮シ シ」となるのですが、楽譜 [3] では二音目が半音下げられていることもあり、「♮シ  ♭シ」と明示しました。後ほどお示しする ヘ長調の楽譜との対応で言えば、丁度以下の真ん中の部分です。

 

 

実は楽譜 [2] でも「♮シ シ」なっていますので、小節内では最初の変更が以降で有効であることから [4]、同音での繰り返しの可能性もあります。しかし、[1] の楽譜はウクレレ演奏のためのものですから、同音で連続して弾くのは不自然だと思いました。また、楽譜を MuseScore3 を用いて作成したときに、問題の箇所で「♮シ シ」まで入力してから、後ろの「シ」をどうしようかと思ってよく見ると、システムのほうが勝手に「♮シ  ♭シ」としていました。ヘ長調だからでしょうか。知らないほど強いものはないとしました。

 

とにかく歌うのが大変な曲です。歌詞の区切れごとに、次の歌詞の流れが大体は「半音上昇」か「半音下降」で始まり、最後のところの半音下降は メロディとして把握するのがとても難しく感じました。音源 [1] の方は動画の説明欄に以下のように書いておられます。

 

 「この曲は数年前に録音しましたが、ここに収録されているのは完全に作り直した

 ものです。まず、最初にこの曲を学んだ時は、B♭キーに設定したのですが、一体

 何を考えていたのでしょう?とにかく、テナーウクレレのアレンジはA調になり、

 バリトンのピッチはEになります。8小節のバースで始まり、32小節のA-B-A-Cのコ

 ーラスに繋げ、さらに数小節を追加して締めくくっています。ここで注目すべき点

 は、メロディーが決して楽観的ではないということです。さわやかで気楽な、ビー

 チで過ごす完璧な一日といった感じの曲ですが、半音階のパッシングトーンが満載

 で、さらに難しいのは、通常の音階、つまり全音階の音程より半音低い音へのジャ

 ンプです。ぜひ試してみてください。ただし、これはアマチュア向けではないと思

 います。 2ページ目の冒頭を「1小節目」(『青いレイ』という言葉が初めて聞こえ

 る箇所)として、導入部のB#(『You were wearing a』)に注目してください。ま

 た、6小節目のA#、21小節目の減7度からE#へのジャンプ、次の小節の減5度からFx

 (Fシャープシャープ)へのジャンプなどにも注目してください。つまり、もし彼ら

 がラテン語を話していたら、caveat cantor (歌手は注意すべきだ)と言っていたかも

 しれません 。」

 

このコメントでは イ長調の楽譜を参照しています。以下にお示しするヘ長調の楽譜との対応で言えば、その第 2小節の「青いレイ」を 1小節目として話をしています。このコメントで議論されている下降ジャンプは未だに完全には歌えません。まあ、この様に説明されていると、無理を承知で歌った素人カメラマンは救われる思いがします。逆に、難しそうには聞こえなかったハワイアンズの演奏は、やはり、プロフェッショナルの仕事でした。と言っても、アカペラの方は未だ終わってはいません。

 

 

 

動画で歌った楽譜と歌詞を、MuseScore3 を使用して清書し、以下に記載します。MuseScore では演奏をしてくれるし、歌ってもくれるらしいのですが、目的は動画にアカペラをつけることで、そのためには素人カメラマン自身が歌えなければいけませんから、随分と時間を費やすこととなりました。

 

まず、英語版です。

 

 

次が日本語版です。沢山ある ハイフン「 - 」は、英語版と同様に、一つの言葉を分解していることを表していて、決して長音を意味するものではありません。

 

 

 

上で使用されている日本語歌詞を作成するに当たり、前項「青いレイ (ブルー レイ、Blue Lei)」において得られた以下の歌詞を少し修正しました。

 

    Blue Lei

      words by R. Alex Anderson
      music by Milton Beamer

 You were wearing a blue lei       君がかけていた青いレイ
 The day that I first met you        あの日初めて会ったとき
 And we wandered on the sand       そして ともに歩いた 砂浜
 By the blue, blue sea         そこは青い  青い 海

 With not a cloud in the sky        空には 雲ひとつ なく
 to distress us              二人を悩ますような
 Not a care had you or I         愁いなく 君にも僕にも
 to suppress us            二人を抑えるような

 I shall always remember         僕はいつも思い出す
 The moment when I kissed you     その時 君にキスした 時を
 And the smile upon your lips       そして笑みを 君の 唇の
 So heavenly sweet          そう 天のように美しい

 When your blue eyes looked into mine 君の青い目が僕を見つめたとき
 It was then the sun began to shine      そうその時  太陽が 輝いてきたのは
 That day in May              5月のあの日
 You wore a blue, blue lei         君がかけた青い 青い レイ

 That day in May              5月のあの日
 You wore a blue, blue lei         君がかけた青い 青い レイ

 

 

この歌詞の 10行目の「その時」を「その時を」とし、 13行目の「僕」の位置を原歌詞の「mine」の位置に合わせ、14行目の最初の「そう」と「のは」を省略しました。

 

 

 

 

【歌ってみて】

 

歌う際に参考にさせていただいた 音源 [1] には「さわやかで気楽な、ビーチで過ごす完璧な一日といった感じの曲ですが、」とありますが、唯一この点だけは否定させていただきます。ここでは歌いませんが、付録にある Huapala からの引用にあるように、歌の導入部には 12月に「僕」は赤い飾り花 (ヘイ) を付けた「君」に初めて出会ったとあります。「君」には、半年の休暇に訪れたハワイだったのでしょう。そして、詩には 5月にキスをして、見つめ合った時に、朝日が輝き出たとあります。多分、これを機に高揚した気分は平常に戻り、そして、これが忘られない別れの日となったのです。AI にハワイの雨季と乾季を訪ねてみますと、「ハワイは、5月〜10月が乾季(夏)、11月〜4月が雨季(冬)です。」と答えがあります。そうすると、この出会いは雨の多い雨季の間の出来事であったのです。初めて出会ったのは、雨季に入り久しぶりに晴れ渡った日で、最後の日は雨季の終了を示唆する朝日の輝きで印象付けられます。そうすると、「爽やかで気楽」とは必ずしも言えず、天気のすぐれない中で出会いを続け、気持ちが合いそうになった時に終わりが訪れた、そんな赤い花で飾った「君」の記憶を青いレイと青い目、そして青い空、青い海で歌うのです。調子の良いジャズ風でありながら、とても繊細で、そして、とても ブルーな曲です。「僕」には、終わった過去が、ブルーでありながら、とても美しく思い起こされるのです。それはやすらぎです。練習を繰り返しながら、素人カメラマンはそう思いました。

 

 

 

 

 

【おわりに】

 

最初の予定の中間点に達するまでに随分と時間がかかりました。実は、ある程度弾いて歌える様になったところで二日ほど録音を試みたのですが、全くだめでした。そもそも演奏は不安定で 6回に一度程度しか最後まで引けませんでしたし、歌唱も不安な所だらけでアカペラで歌うのが難しい状態したから、両方の駄目さが掛け合わさった結果なので当然です。それで、一日 5, 6時間の連続練習を数日行いましたら、弥生の終わり、31日に弾き語りができそうな感じになりましたので録画しました。やはり、何事も徹底しなければだめであることを、改めて思い起こしました。いえ、誰でもそうでしょうが、現職のときはこんな日々を続けていたのでした。舞台で心地よい踊りを披露されていた ウアケアさんなら、更に徹底されていたのでしょう。そう考えると、ハワイアンズで拝見した踊りが全てとても愛しく思い起こされます。未だ先は長いです。目標が成就した時には、最上の踊りを拝見できるでしょうか。

 

 

 

 

【付録 : 導入部を含めた「ブルーレイ」の全歌詞】

 

Huapala [5] に掲載されていた歌詞を以下に示します。これは、歌の背景を述べた最初の四行の部分と歌の歌詞の部分からなります。


    Blue Lei
      words by R. Alex Anderson 
      music by Milton Beamer


 Little things can make a picture to remember
 I recall the hat you wore that day in late December
 Little things just like the flowers you are wearing
 Always linger in my mind



 You were wearing a blue lei
 The day that I first met you
 And we wandered on the sand
 By the blue, blue sea
 With not a cloud in the sky to distress us
 Not a care had you or I to suppress us

 I shall always remember
 The moment when I kissed you
 And the smile upon your lips
 So heavenly sweet

 When your blue eyes looked into mine
 It was then the sun began to shine
 That day in May
 You wore a blue, blue lei


最初に四行で書かれている背景により、この詩の世界は、懐かしい「あの人」を思い浮かべるときに現れる幾つかの事物を思い起こすことから出来上がっていることが分かります。ですから、「行為」を描くのではなく、そのときに記憶に残っていた「事物」を描くことで世界ができていると解釈できます。

 

歌の世界を印象的に作り上げる手法は、どうも、この作者 R. Alex Anderson の得意とするところのようです。例として、作者のもう一つの代表作「Haole Hula」をあげます。ここでは、聞こえる音楽、周囲の色彩、自然の作る音、歌と踊りと陽気な心で、ハワイを歌い上げます。同じく Huapala から採りました。

    Haole Hula
      by R. Alex Anderson
 

Oh when I hear the strains of that sweet Alekoki                      (甘い「Alekoki」の歌声)
And stealing from afar of guitar penei nō                     (「Penei nō」を弾くギターの音)
When Liliʻu ē makes you sway in the moonlight           (心を揺らす「Liliʻu ē」の歌声)
I know the reason why fair Hawaiʻi haunts you so

The lovely blue of sky and the sapphire of ocean              (空の青、海のサファイア色) 
The flashing white of clouds and of waves foaming crest  (雲、泡立つ波頭の輝く白)
The many shades of green from the plain to the mountain            (平野から山への緑)
With all the brightest hues of the rainbow we're blest                          (虹の明るい色調)

I hear the swish of rain as it sweeps down the valley                             (谷に降る雨の音)
I hear the song of wind as it sighs through the trees                     (木立を抜ける風の音)
I hear the crash of waves on the rocks and the beaches     (浜や岩場に砕ける波の音)
I hear the hissing surf and the boom of the seas                                          (様々な海の音)

 

I love to dance and sing of the charms of Hawaiʻi                 (ハワイの魅力を歌い踊る)
And from a joyful heart sing "Aloha" to you                             (アロハを伝える陽気な心)
In every note I'll tell of the spell of my islands
For then I know that you'll be in love with them too
 

 

 

 

 

 

 

[1]Blue Lei - Beamer, Anderson (1940) - Ukulele chord-melody w. pdf,
  "art levine's ukulele page" YT channel.     
[2] R. Alex Anderson, Famous Songs of Hawaii. Poly gram Music Pub., 1987.
[3] ジョージ松下編、Real Hawaiian  Vol.2. ドレミ楽譜出版, 2006.

[4] 【楽譜の読み方#04】臨時記号と調号

[5] Blue Lei,   Huapala.