かーちゃんがうつ病になって、とーちゃんは多忙になった。
仕事に育児、家事ももちろんだが、
病気療養中のかーちゃんから、仕事中に頻繁に電話やメールが入る。
「娘1号がこんなことしたよー。あんなこと言ったよー。」
「一人じゃいられないよー」
「とーちゃん今日泊まり勤務だけど、アレができないよー、これができないよー。」
この程度ならまだしも、ひどいときには、
「冷蔵庫のお肉腐らせちゃったよぅ。もったいないことしちゃったよぅ(TT)」
などと、バカバカしいことこの上ない電話まで泣きながらかかってくる。
とーちゃんとしては、ウンザリすること大連発なのだが、
適度に相手にしてフォローしないと、かーちゃんは切羽詰って何をするかわからない。
そんなときとーちゃんは、仕事中に電話に出たり、ムリを言って少しの間職場を抜けて帰宅したり《職場が近かったからできた)、職場にちょくちょく迷惑をかけることになる。
ではとーちゃんは、うつ病の妻のことを、職場にどう話していたのだろうか。
隠していたのか、伏せていたのか?
答え。
とーちゃんは、ありのままに(Let it go?)、かーちゃんの病名を職場の皆に話していた。
妻はうつ病
仕事を休職中
異常すぎて目が離せない
等々、すべてを話していた。
「ねえねえ、隠そうとは思わなかったの?あんまり大声で言える病名じゃないと思うんだけど」
とかーちゃん、後年聞いてみた。
とーちゃんが言うには、
「妻がうつ病ということは、隠したってしょうがないぞ。
きちんと話しておいた方が、仕事で何か迷惑をかけることがあっても、協力してもらいやすいだろ」
ということだ。
相変わらず、割り切るのがうまい男、とーちゃん。
かーちゃんは、とーちゃんの職場の方々にも助けられていた。