嘘と真実と | 曽川沙也伽

曽川沙也伽

記憶と感情を創っては吐いてるだけ。




なんとなく籠りきったような息苦しい空気の中に
扇風機の風だけが顔に当たって変に寒い。
ホコリまみれのピック入れに
あんなことやこんなことがあったことを入れて
使うことのないまま
ふりかけみたいに手で上から落としたりして
意味のないことを繰り返してみる

意味のないことを数回繰り返すと
自分までくだらないと言い聞かせてるみたいだ。
洗脳をくりかえしてくだらない時間を過ごす

タバコに火をつける君の姿を思い出す
このピック入れは君が使ってた灰皿だった
外で子猫が鳴いてる
あんな風にずっと待ってたんだった

少しばかりの後悔が汗に混じって
同じシャンプーの香りがしていたことを思い出した
好きだったチョコレート入りのアイスも買わなくてよくなった
何度も君はハズレを引いた

何もいらなくなった
本当は何が欲しかったのか未だに解らない
答え合わせができる日はもうない

何度も使えた一生のお願いは
もう君には使えなくなった
残ってた1本のアイスに手をつける。
”当たり” がこんなにも嬉しくないことはなかったな、と思った。


あのときの報いをするために
きっとずっとずっと一生
見続けることになるだろう
あの子がいつもよりも笑顔なとき
ああ幸せそうでいいな、と
それは、前も今もこれからもずっとずっと
羨ましがっては追い付かない思いを
どこにも落としどころのない感情を
葬る場所がないまま、ずっと。
これは呪いなんだな、とも思った。