これを黙ってはいられない。何か伝えずにいられない。


その後に浮かんだ光景は、あまりにも衝撃が強すぎる。


まだ経験の浅い少年は、一度に複数のことを想像した。



いつもは通学途中で立ち寄らない。


川のほとりで、あの猫を見つける。


いつもと違うのは、少年の呼吸。


あまりの駆け足で息が上がっている。


まずは一呼吸おく。心を落ち着かせる。


ゆっくり顔を上げて、猫を見つめる。


通学途中の公園を、少年はいつものように駆け抜けた。

向かうところは小川のほとり。

あの猫に声を掛けなくてはならない。

今の少年には夢で見たことが、どこまで現実と一致するのか分からない。



しかし、いつもと違う夢の感覚。


新鮮で、心地のよい、ひととき。


忘れられない程の暖かな温もり。


少年は、はっとして起き上がる。

カーテン越しに朝日が差し込む。

父と母は、まだ眠りについている。

その寝顔は穏やかである。

しかし気になる出来事が、夢として訪れた。

夢に見た出来事は、少年を不安な気持ちにさせた。

もう成す術はないのか?

それとも何か成さなければならないのか?

少年は迷いながら、朝の準備をした。

何も変わらないのかもしれない。

それでも何かをしなければならない。



不思議な感覚にとらわれた少年は、いつもより早く家を出た。


なにか忙しげに動く息子を、母は声を掛けずに見守っていた。


パンを口に入れ、ミルクを飲んで、いつものように家を出た。