向こうに見えるのは鳥の群れ。



いつか見た記憶のある鴨の群れ。



たぶん七つの小さな光の群れは、子鴨を現すはずである。



その前に強く光る一つの存在は親鴨のような気がする。



七つの小さな群れは、ひとつの強い光に導かれてゆく。



しばらくすると少し後ろで、ふたつの光が揺れ動く。



それでも強い光は前へ進む。



あとに続くものを信じて前へ進む。



なんの怖れもなく強い光が進む時



ふたつの小さな光が、



ふとした瞬間に道をはずれる。



ふたつの光は、



パシャパシャと



小川のせせらぎに



雑音(ノイズ)を加える。



小さな光。今はふたつ。



水面を弾いて音をたてる。



弾む光は、羽ばたかず、



いつしか清流の水の音(ね)を



乱していると気づくはずだ。



その時は既に遅し……。



少し先の丘の上から、



ふたつの光を見つめる黒い影。



その影が狙いをすまして小さな光に飛び掛かる。



ふたつある小さな光の一つを目掛け、



緩やかな弧を描き、急降下で襲い掛かる。



パシャっと言う水の音が、



ひとつしたかと思うと上空へ舞い上がる。



残された小さな光は、……ひとつだけ。



……茫然と辺りを見渡す。



現実を事実として受け入れて、



親のいる光の群れに歩み寄る。



先頭の強い光は振り返り、



上空を見て涙を浮かべる。



そして前へ振り返り、



小さな光の群れを連れて動き出す。



光の群れ。今は七つ。



小さな光が、ひとつ減る。



しかしそこには、強い力が働いている。



これまでにはない絆で結ばれている。



どこか懐かしい風景が広がる。



あたりは芳しい香りに包まれる。



見覚えがあるのに、はっきりと思い出せない。




草木も薫り、心地よさが全身を包み込む。



目の前には丘がある。



その丘を越えると小川が流れている。



その小川には澄んだ水が流れている。





せせらぎは清らかな水の音を運んでくる。



空からは暖かな光が降り注ぐ。




そこに漂う浮雲は、風に吹かれて


あちらのそらへ ながれてゆく。











あ た た か な ヒ カ リ

 が  い ち め ん  を 

  つ つ み こ む 。










  ね  た  た  そ 

  が  だ  だ  の

  い  あ  よ  こ

  つ  じ  う  こ

  づ  わ  ぬ  ち

  け  い  く  よ

  る  た  も  く
   。
     い  り  

     と  を 
        



小川に足を踏み入れると、その水は想像以上に冷たい。



しかし水の冷たさは、気になるほどのことでもない。



その水に逆らうでもなく、それでも上流に足を向ける。



ほどなく記憶が頭をかすめ、いつしか希望が薄れてゆく。



その淡い彩りの中で、かすかな希(のぞみ)が和らいでいる。



そうすると、あたりが一段と明かりが増して、あたたかな光に包まれるのを感じた。

これまでの光とは比べものにならないほど、大きな力を感じ取った。

その光の渦に飲み込まれることを、まったく少年は怖れなかった。


大きな力に引き寄せられて、あたたかな光の渦に飲み込まれる。

それは当然のことであり、なんら不思議なことではない。

なんの疑いもなく、光と一体になり、その渦を駆け抜けるような微妙な感覚を味わった。

これまでに無い程の心地よさを味わえた。


速度を上げて駆け抜ける時、いつしか終わりに近づくことを感じる。

それは光の渦の終着点と言える。