上空を舞う黒い影。
鳥の鳴き声が響き渡る。
いつもは木陰で休む猫も、この日は川原を歩いている。
小川には鴨の親子が泳いでいる。
七つの子鴨を連れて、親鴨が泳いでゆく。
いつものことなのか、小高い丘で烏が一羽、とまっている。
トントンとリズムをとるように、その場で烏は軽く跳ねる。
なにかのタイミングに合わせているかのようである。
そして烏の眼光は、少し先の小川を見つめている。
まるで獲物を捕らえるスナイパーのように見える。
その時、鴨の群れに警鐘が鳴った。
二羽の子鴨が、親子の群れから遅れをとった。
羽根をバタつかせて、水しぶきをあげた。
そのことに親鴨は気づいていない。
そして残りの五羽の子鴨も気にしていない。
あきらかに烏は一羽の鴨を狙っていた。
それは一瞬の出来事だった。
軽く跳ねていた烏が、瞬間的に水面に飛んだ。
狙いを定めた獲物を、烏は決して逃がしはしない。
遅れをとった一羽の鴨を、確実に標的として捕らえた。