彼は以前から口数の少ない子供だった。
誰かと親しく話すこともなかった。
なにを考えているのか分からないけれど、少年は彼に猫と鴨の親子を会わせたくなった。
彼と川原に足を運べば、今朝の悪夢が綺麗に消え去るような気がした。
今朝の悪い夢は少年の気持ちを暗くした。
その夢が現実に起こるのではないかと信じ込んでしまった。
そんなことが起きてほしくないと、少年は強く願った。
その思いを叶えるために、少年は猫に声を掛けた。
(朝方、川原で約束したのだから、猫は必ず鴨を守る)
その希(のぞみ)が叶うことを願いながら、少年は神聖な場所に友達を連れて行きたいと考えた。
(彼なら嫌な思いを消しさってくれるはず…)
これまでの生活を通して、少年は漠然とした判断基準を見つけていた。
(誰かと鴨に餌をあげるなら、彼と一緒に行きたい)
(彼ならミルクを舐める可愛らしい猫を、ボクと同じように愛してくれる…)
いつしか少年の思いは確信へと変わる。
少年の周りでは、すべてが上手く回り始めている。
この子と猫と鴨の親子を通して、深い関係を結びたいと願い始める。