彼は、彼女に献身的でした。

彼にとって朝と夕の食事を作るのは、当然のことでした。

そればかりか掃除や洗濯のすべてにおいて、彼は彼女に尽くしてきました。

彼女に尽くせば尽くすほど、彼の思いは募るばかりでした。

そのように彼の思いが重たく感じはじめた時に、彼女は彼から逃げ出す決意をします。

なぜなら以前は居心地が良いと思えた場所が、今では肩身が狭く感じはじめたからです。

そのようなことを無意識のうちに感じ取るようになり、あの頃の彼女は彼に追い掛けられる夢を見ます。


つまり彼の態度が煩わしく思いはじめた頃、彼女は彼のもとを去ります。

そのことに腹を立てた彼は、彼女に怒りを覚えて追い掛けます。

彼は彼女を袋小路まで追い詰めて、そこで彼女を…


…と言う出来事が、起きるかもしれないと言う正夢です。

しかし、その当時の彼女は、そのような夢を気にすることもなく、彼との暮らしに満足しています。


まぁ、怖い夢を見ても気にすることのない彼女は、もしかするとネガティブな思考で、正夢を読み取ることはないのかもしれません。


その際には、この夢を別な読み取り方をしている…と考えます。


その別な読み取り方とは……。


……つづく


つまらないながら、胸に残る風景を人目につく形で残してみたら、どのような感傷に浸れるのかと、ためしてみました。

正直なところ、恥ずかしさが残るばかりで、なんら良い結末を導いていないことに気づかされます。

それにおいても、おのれを見つめ直す神聖な儀式に至ることを願いながら、ここでは意味怖に投稿した作品を載せたいと思います。

もしよろしければ、書き手の内面を掘り起こす形で、手短でも感想を届けていただければ、嬉しく思います。

これまでと同様に、作品の構成が完成していないように感じるかと思います。

これから研鑽を重ねて、少しでも良い作品を残すことができればと思いました。

なにぶん初心者なもので、アドバイスや注意点を届けてくださる方がいらっしゃれば、ありがたいと思います。

これからも精進して、少しずつでも成長できるように努めます。

どうか宜しくお願いいたします。


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『助けて…、たすけて…』

悲鳴を上げながら逃げ惑う私。
見覚えのある黒服の男は、鞄から何かを取り出そうとしている。
それが何なのかは、分からない。
ただ、私を追い掛けながら、
鞄に手を入れる姿は、
殺意すらも感じる。

私は逃げる。
彼は私を追い掛ける。
そして私は袋小路に入り、
彼に押さえ付けられてしまう。

彼は暗がりで笑みを浮かべながら、鞄から光るものを取り出そうとした。


『キャー』と悲鳴を上げる声が、一面に木霊する。


悲鳴を上げた私は、
ベッドから飛び起きる。

なんだ夢だったのか。


『おはよう。今、悲鳴を上げてたけど、何か悪い夢でも見た?』


台所で食事の支度をしているのは、夢に出てきた黒服の男。

いつものように、彼が朝食をつくっていた…。


彼は孤独な生活に怯えながら、希望を持てずに生きてきた。

この世には救いの場所などなく、大きな流れに身を任せるのが現実なのだと信じていた。

わずかばかりの楽しみは、本音を語り明かせる、酒を飲み交わす時だけだった。

うわべの付き合いで生きて行くことに、なんら疑問を感じずにいた。

このような苦しみを受け入れる心が、社会に出て働きながら自然と体に備わるのだと感じていた。


しかし、それまでの価値観は、ひとつの出逢いにより大きく揺らいだ。

これまでと変わらない出来事だが、幾つもの偶然が重なり合い、それまで眠っていた感覚を呼び起こしたのかもしれない。

そのような奇跡を、この街で過ごしたわずかな時間で、知らずに二人は育んでいた。


いつしか二人は横になり、天井に取り付けられた鏡を眺めていた。

そこに映し出された女性の姿は、まだ輝きをうちに秘めた若き女神のように見うけられる。

赤い果実を口にして恥じらいを覚えるだけではなく、迷える者を救い出す聖なる力を手にしている。

そして彼女に救われた青年は、幸せをつかむと決意したことにより、生まれ変わるように感じられる。

それまでは手にすることができなかった、希望を叶えるための勇気を胸に刻印したのだから。

幸せをつかみ取るために、これから彼は歩き出す。

ゆるやかだが、確実な変化がおとずれる。


その前に静寂が二人を包み込む。

これから深い眠りにつくようである。

この深い眠りから覚めれば、違う道を歩き出す。

もしかすると二度と会うことはないのかもしれない。

もしくは、そのような先のことを考える必要はない。

今はまどろみの中で、お互いの熱を感じ合えば良い。

その手はかたくつながれて、感覚が一つに紡がれる。

まるで闇を払うように、結ばれた手に光が燈り出す。


    ―― 完 ――