ここは閑静な住宅街。
雪どけの季節は少し前に過ぎ去った。
小川が流れる公園に、穏やかな季節がおとずれる。
この静かな街の学校は、すでに新学期を迎えている。
そこに通う少年は、これまでと変わらぬ退屈な日々を過ごしている。
彼には学校で話す相手がいない。
いじめられていると言うよりは、かまわれることが少ないと言う表現の方が近い。
時としてクラスメイトは少年をなじる時がある。
彼をけなすこともあれば、軽くちょっかいを出すこともある。
とくに彼が何かをしたわけではない。
むしろ何もしていない彼の神経を逆撫でることが多い。
いつしか少年は、そんなことに馴れっこになっていた。
そんな時、彼らが大笑いするようなくだらないことをしでかして、その場を笑いの渦に包み込む。
そうすることが、彼の救いになる。
しかし彼らの輪へ入れないことに多少の屈辱を感じながら、その場で笑いをとらなければ自分の居場所がないことを少しだけ恥ずかしく思う。
そのような日々が三年も過ぎた頃、それは既に少年の日常となっていた。
日常は刻々と少年の心を蝕みながら、それでも学校へ通い続けた。
その歳月が、社会の規律に順応する健全な肉体を育成した。
そのため少年の心と体は、まだ悲鳴をあげてはいない。
なんらかの危機を感じながら、彼は微妙なバランスを保っていた。