先日、深夜にアラサーの男性同士で、不意にのび太系男子の闇の話になった。
のび太系男子の闇については↓を参照して欲しい。
http://ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar894030
この中に出てくる「自分の弱さを素直にさらけ出すことに、他世代ほど躊躇がないのものび太系男子の特徴だ。彼らは自己をさらけ出すことが『誠実』だと思っている。そのため、女性にはあからさまに母性を求め、本能に基づいて甘える。」という一節。
私は、それなりに虚勢を張りつつ、それなりの自己肯定と自己憐憫を抱えて生きている男性、を想定した上で、そこからふとした拍子に漏れ出てくる上記『誠実』な自分を受け入れて欲しい、みたいな感覚のつもりでいた。
が、話相手の方は、プライベートにおいて「女性に対しては『誠実』な態度を表出させていってしまう。だから女性との関係を長続きさせるのが難しい」という感覚でのび太系男子の闇を捉えていたようだった。
私の中で、のび太はドラえもんに縋れば目の前の困難にお気楽に立ち向かえる、社会への窓が開いているタイプに見えていたので、前段のような評価になっているが、のび太が、周りに対して際限ないほど甘えっぱなしである、という部分を抽出すると確かに後段のような発想になるんだよなぁ…なんて思ってしまう。
そんなお気楽な脳みその私としては、こう思ってしまうのである。
「いつか王子様が」なんて…(笑)。
こんなしょうもない枕で、今や疑いようもなく世界最高水準のアンサンブルであるエベーヌ弦楽四重奏団の名演奏を使うのは、大いに問題がある気もするが、まぁ、ご容赦願いたい…(笑)。
彼らエベーヌ弦楽四重奏団を初めて聞いたのは、シューベルトの時、或いはその前後のラ・フォル・ジュルネだったはずだ。
だとすれば7~8年も前になる。
その間、いつでも能動的で魅惑的だったエベーヌ弦楽四重奏団の音の超高水準のアンサンブルは、昨年までと要のメンバーの1人だったヴィオラが変わったことで、少々変化が生じたように思えた。
具体的に言えば、それまで、下支えして、能動的なアンサンブルの推進力を担っていたヴィオラが交代したことで、それまで影に徹しがちだった2ndヴァイオリンが、圧倒的な表現力を表出させてきた印象が強い。
そして、新しく加入したヴィオラも、Jazzパートにおける即興を中心に、まだ、踏んでいる場数の差のような、このアンサンブルにおける個性の発揮という意味ではまだまだ可能性を広げられるようには感じたが、非常に野心的で意欲的な演奏を聞かせてくれた。
サイン会の時にヴィオラに「今日は昨日より更に良いベートーヴェンだった」と軽く言ったら、「そうさ。僕達は毎日毎日、より良い演奏を目指してるんだ。明日はもっと良いはず!だけど演奏会は無い。だから、明後日の演奏会はまたベートーヴェンをやるから来いよ!」と熱っぽく語られてしまった…(笑)。
不肖、「のび太系男子」と言われても受け入れざるをえない私とは全く違う、隠さない野心を見せてくれたのも彼だった。
エベーヌ弦楽四重奏団のこれからは明るい。
さて、各論的に曲ごとの感想も綴っておこうと思う。
11/2はハイドンの32、デュティユーの「夜はかくのごとし」、ベートーヴェンの14番、というプログラム。
正直に言えば、ニュアンスに富んでいる所は素晴らしかったが、エベーヌの割に粗が多く、曲の構成的にも繰り返しがやや単調に思えたハイドンは余り高評価ではない。
が、デュティユーがアイデンティティを確立した頃のこの作品で、繊細なアンサンブルの妙を描き出す様は素晴らしいし、翌日の15番にも繋がるが、瞑想的な深度のある響きから始まる1楽章は見事の一語に尽きた。
そういえば14番の1楽章といえば、「鍵泥棒のメソッド」で香川照之の登場シーンに使われたのも印象深い。
その哲学的で無調の時代を先取りしに行こうとするかのような先駆的な響きの妙は、このカルテットにはピッタリだ。
そして「ベートーヴェンを印象に残して欲しいから…」とステージ上で述べ、アンコールはやらなかったのも、そして付け加えて「明日もコンサートをやる。木曜のコンサートの方はチケットがまだ若干あるらしい」と販促した姿まで、揃って粋だった。
11/3は「Classik + Jazz」と銘打った、このカルテットの最もストロングポイントを意識したコンサート。
まず、最初のモツでは前日のハイドン以上にニュアンスの豊かさ、フレーズがくるくると変わっていく様がこのカルテットにはフィットし素晴らしい。
そしてベトの方は、たとえば2楽章や4楽章の緩徐部分でノン・ビブラート、若干のビブラート、思いっきり濃厚なビブラート、とそれぞれ、しかも楽器ごと、フレーズごとに使い分けていて、超名演!
そして大満足の後にはテンションの高い、それでいて余りの完成度に唖然とするジャズパート。
マイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンの曲を多彩なアレンジで超絶技巧やノリの素晴らしいアドリブで聞かせるかと思えば、ここ10年でブームの来たピアソラの「リベルタンゴ」やこのカルテットの十八番であるビートルズの「come together」とパルプ・フィクションのテーマである「ミザルー」で完璧に聞かせる。
所々挟まれるアナウンスでは、「フランスのテレビ局に初めて出演する時に急遽演奏した」だとか「最初にアレンジで手を付けたのがビートルズだった」といったエピソードも重ねられ、奏者の譜面を見ていたら、古い手書きっぽい譜面まであって、この若手カルテットの場数に裏付けられた圧倒的実力を意識せざるをえなかった。
折角なので、興味を持ってもらえたら嬉しいので、先述の2つの十八番とスケジュールを置いておく。
どちらも最高にカッコいい。
しがないのび太系男子としては、キレイな女性が一緒に来てくれるなら、万障繰り合わせてでも5日の追加公演に連れて行くんだけどなぁ…(笑)。
スケジュール:http://www.hakujuhall.jp/schedule/