目覚めている間、だれもがエゴ(自意識)の存在に気づいています。
他者とは別の存在であると感じさせるわたし達の自我には、その人の性格や歴史、文化的な起源、またそこから受け継いだものがそなわっています。
また、わたし達の精神は、肉体と外の世界との感覚的なコミュニケーションや相互関係を絶えず解釈していて、物理的な個人、またエゴという自我の感覚は、おもに精神が解釈、認識することから生じています。
意識ある精神を静めて、エゴという自我の束縛を解き放つためのひとつの方法は、感覚的にインプットされるものの量を減らすことです。わたしが、都会を離れ岡山市内を流れる川辺近くの静かな郊外でひっそりと暮らしているのはそのためでもあります。
感覚を遮断することで、テレパシーに対する受容性や、高められた意識の状態をうながすガンツフェルト法は、現代になって生み出された技術ですが、神秘的な伝統のなかでは古来一貫して行われてきた方法でもあります。そのいずれもが、非局在的な意識や異なるレベルの気づきを探すために、精神を押し広げ、エゴという世界へのこだわりを「手放す」ことを目指しています。これは、脳幹気功でいうところの脳幹に対する気づき(世間では、真我開発とも言われています)と同じことを意味しています。
自我を越えた気づきによって共感が得られるということは、これまで多くの研究によって非局在的にもあらわれることがわかっています。
1960年代に、心理学者のチャールズ・タートは、ある部屋で参加者に電気ショックを与える実験をおこなったところ、別室にいた他の参加者達も、非局在的なレベルで痛みを感じることを発見しています。
また、1970年代には、物理学者ラッセル・ターグとハロルド・パソフは、ある部屋で被験者の目に光を点滅させ、別の隔離された部屋で、別の被験者の脳波を脳波図(EEG)によって記録する、という実験をおこなったところ、同じような結果が得られています。
ヒーラーは患者が癒されることに自分の意図を集中させ、そのうえで、治療の成果を気にする自我から一歩退いたとき、その治療はもっとも効果が上がるということはわたしの経験からも明らかです。それによって高いレベルの意識が、自分のなかを流れることを可能にさせるからです。
こうした実験などから、人間が拡大された気づきと強い共鳴やコヒーレンスを経験するのは、一般的に無意識、もしくは変化した意識の状態に置かれているときであり、物理的な経験が自分に固有のものだと認識するのはエゴという自我です。そして行動や姿勢といった性格的傾向や文化の影響も、自我レベルの認識にあらわれます。
「ワンネス」も「いまここ」も潜在意識の、そして超意識の状態を通じて、自分は他者とは分離したものであるとの認識を超えて、それをさらに広げていったとき、個人の意識が集合体の意識に統合され、ひとつになったと実感します。3.11を経験した今の日本人の意識状態はここに向かおうとしているのです。