芸人分析~麒麟~ | 元芸人として・・

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麒麟さんのネタといえば、私にとっては第一回のMー1グランプリの決勝でした「漫才を小説風にする」というネタです。

当時、私はまだ現役の芸人だったので、よみうりテレビ(大阪の日テレ系列)の笑いの超新星という番組を見学に行った時に見たんですが、かなりの衝撃でした。会場は大爆笑でしたし、私も笑ってしまいました。その後、再びMー1の決勝でこのネタを披露しましたが、当時全国的にはまだ無名だったにも関わらず、かなりの笑いをとり、ダウンタウンの松本さんに「おもしろい」と言わせました。

このネタがなぜこんなにも評価されたのかと言うと、このネタは発想メインで作られているからです。
流れはまず一度、「普通の」漫才をします。その後、これを「小説風に」解説を加えながら同じことをするというネタです。そして、この「解説」の部分を発想メインでボケていくという作りでした。

この発想がおもしろく、またアイディアも斬新で、同じことを繰り返し行うという構成のわかりやすさも加わり大きな笑いにつながりました。

このネタを見た時、欠点もあるけれど、このコンビはもっと売れるかもしれないなと感じたのを覚えています。

ちなみにこの笑いの超新星の時は、キングコングさんに負けてしまい、かなり納得いかなかったんですが、その2ヶ月後のMー1でお互いにその時と全く同じネタをしたんですが、結果は麒麟さんの方が上位になり、Mー1の正当性を認識するきっかけにもなりました

あれからもう8年経とうとしていますが、正直この時のネタよりおもしろいネタを麒麟さんは作ることができていません。あの時の衝撃からすれば、今の麒麟さんは私にとってはもの足りません。
原因は一言で言えば「慣れ」だと思います。

残念ながら、麒麟さんは知名度と人気が上がった事で「何を言っても笑いがとれる」状態になってしまい、その状態に「慣れ」てしまっているのかなと感じています。

この状態になると、一番避けなくてはいけないのは、楽に構成で笑いをとりに行く事です。つまり、「おもしろい事」を言わなくても「面白い」と感じてもらえるので、「面白くない」事を、「楽に」構成で笑いをとるという事です。

そういう状態になると、発想で笑わせていればたいして問題にはならない欠点が浮き彫りになります。

それは技術です。この部分がまだ弱いので、例えるなら発想が少し飛び出た四角形をしていたのが、小さい四角形になってしまったという事です。

私はこのコンビはもっともっと出来ると思っています。あれだけの発想を持ちながら活かしきれていない現状ははがゆく感じます。正直、技術を伸ばそうという事であれば、まだまだ時間がかかると思います。ですので、もう一度原点に戻り面白い事を追求していただきたいと思います。