芸人養成所で学ぶこと① | 元芸人として・・

元芸人として・・

元芸人がお笑いについて真面目に語る場。多少の自己満足あり・・

 今、ちまたでは漫才ブーム再燃か?といわれていますが、それに伴い、芸人になりたいという人が増えているそうです。


 どうすれば、芸人になれるか?主な方法としては、「芸人さんに弟子入りする。」もしくは、「養成所に入る。」という2通りの方法があります。


 最近は、誰かに弟子入りするという道を選択する人は少なくなっており、一般的には養成所に入るというケースが多くなっています。その傾向は、1期生から、ダウンタウンさんやトミーズさん、ハイヒールさんを輩出したNSC(吉本総合芸能学院)ができてから顕著になっています。


 かくいう私も養成所出身です。よく聞かれたりするんですが、そこではどんな事が行われているかという事について紹介させていただきたいと思います。


 ちなみに、この養成所は大阪だけで私の知ってる限り、4校あります。私はNSCではなく、他の所出身なんですが、どこも内容はほぼ同じみたいです。


 当然、タダではないので授業料が必要になります。私のときは1年間で約30万円でした。この金額は相場みたいで、NSCも含めて、他の所出身の人に聞いてみたところ、同じくらいだそうです。


 授業は4月から週に2回で1年間続きます。授業の内容ですが、おそらくどこも2本柱になると思います。それは・・・


 ①ネタ見せ

 ②発声


 この2つです。これを1年間繰り返しやりました。



 ネタ見せとは読んで字のごとく、ネタを作ってきて、実際にして、構成作家の方にみていただき、その後、講評を受けるという授業です。


 講評は「ここはこうしたら?」というくらいで、一から十まで教えてくれるというものではありません。私は今まで笑いのテクニックとかを偉そうに語っていますが、こんなことはほとんど習いません。基本は、自分から質問し、考えて身に付けていくというものです。ですので、よく言われたのが、「質問はどんな事でも構わないから、どんどんしてきなさい」という事でした。何も考えず、ただこなすだけで漫才ができるようになるわけではありません。自分から考え、疑問を持ち、わからないことは何でも聞いてはじめて、少しずつできるようになります。

 余談になりますが、私の学校の講師の先生はオール阪神・巨人師匠やトミーズさんのネタを書いている関西では有名な作家さんでNSCでも授業をしておられたんですが、こんなことをおっしゃてました。「やっぱり今、売れてる子らはほんとによく質問してきた。その中でも特に、ナイナイの岡村くんとかメッセンジャーの黒田くんは、毎回何個も質問を持ってきてた。しかも、質問に答えるとそれを全部メモにとってたわ。」


 ですので、すぐ辞めてしまう人というのが実は凄く多いんです。大阪のNSCは、毎年1000人近く入ってくるらしいんですが、ゴールデンウィーク前には約半分になり、夏が来た頃には100人くらいしか残らないそうです。ですが、養成所というのは門戸がものすごく広く、島田紳助さんがある番組で言ってましたが、年齢がクリアでき、ちゃんと面接会場に来れれば合格というレベルです。丸儲けだなと思います。


 では、なぜこんなに大量にやめていくか?基本的に芸人をやろうと思う人は、自分のことを面白いと思っています。まず、最初にこの思いを否定されます。私もそうでしたが、最初にするネタはほとんどの場合面白くありません。(最初からレベルの高い人もいますが・・・。)そして、講評の時に「これのどこが面白いの?」・・・。今までクラスの人気者で「面白い」としか言われたことないような人だとこれで撃沈する事もあります。そしてそれが毎週続きます。そして自信をなくすというパターンの人がゴールデンウィークまでにやめていきます。


 また、構成作家の方や芸人さんは、他の人のネタを見ても、まず笑いません。これはプロになってからもそうですが、ライバル意識もありますし、それよりも、ボケるだろうなというポイントがわかるし、少しでもいいところがあれば盗もうと考えているので、じっくり考えながら見ているのが原因かなと思います。私も、今でも漫才を見て面白いなとは思っても笑うということは少ないです。


 この笑いのない空間・・・。これが辛くなって、辞めていくという人も存在します。


 ここを乗り越える事ができても、次に夏頃、もう一度波がやってきます。


 それは「毎日こんなこと考えないといけないのか」という感情です。週に2回の授業でネタ見せをするので、それこそ毎日ネタを考えて、練習しないといけません。私の場合は、その時はコンビでしたが、基本的に週に2本作るようにして、まとまらなかった場合は前の授業でやって、「使えそうかな?」というネタを改良して持っていったりしていました。ですが、この「毎日考える」という事が出来ず、耐えれないという人もやはりいます。そういう人たちが夏には辞めていきます。これを乗り越えるのがNSCの場合は、入ってきた人の1割くらいだそうです。ここを越えると後はたいてい、最後まで残ります。


 私の場合、これをなぜ乗り越えれたか考えると、「悔しさ」かなと思います。ほんとに最初はひどくて、毎回面白くないといわれていましたので(笑)絶対、面白いことをしてやる。その思いがあったから、乗り越えれたのかな?と思います。