漫才の楽しみ方③ | 元芸人として・・

元芸人として・・

元芸人がお笑いについて真面目に語る場。多少の自己満足あり・・

 では、今回は4の発想についてです。


 発想とは言い換えるならば「センス」、もしくはそのものずばり「面白いこと」になります。つまり、芸人さんにとっては生命線になる部分です。


 例えば、みなさんが街を歩いている時に、見知らぬ人から突然「面白いことをしてください。」と言われたとします。さて、みなさんはどうしますか?



 たいていの場合、顔芸、変な動きをする、ギャグを言う。このどれかに当てはまるのではないかなと思います。それで笑いを取ったとしても、それは発想による笑いには当てはまりません。むしろ、キャラクターによる笑いに当てはまると思います。


では、発想による笑いとはどういうものでしょう?


抽象的な表現になりますが、それは「ゼロから生み出される笑い」です。


 この発想力に優れた芸人さんと言えば、ダウンタウンの松本さんが代表的な方になります。日本一、いや世界一でしょう。


 もし仮に、松本さんが街で質問をされたらどうするか?おそらく、動きやギャグなど一切使わず、何か一言言うだけでしょう。それで、笑いをとるでしょう。みなさん、是非一度考えてみてください。見知らぬ人を笑わせる事ができる魔法のような言葉を!友人や知っている人ならば、笑わせられる言葉というものはあります。ですが、見知らぬ人となると思いつかないと思います。それが、松本さんが天才と呼ばれる所以です。


では、少し具体例を挙げてみます。これは、私のとある先輩芸人さんが大事な打ち合わせに遅刻してしまった時の会話です。


「おはようございます。遅くなりました。」

「○さん、何で遅れたんですか?」

「いや、肉球がちょっと・・・」


ちなみに、この一言でこの先輩は無罪放免になりました。


これが、発想による笑いです。


 ですが、「それの何が面白いの?」という方もいらっしゃると思います。当然です。感性は人それぞれ千差万別だからです。有名な話ですが、ダウンタウンさんがデビューしたての頃、その面白さが理解されず、舞台に立っても、全く笑いを取れなかったそうです。ですが、当時、紳助・竜介というコンビで人気の絶頂にいた島田紳助さんが舞台袖から、そのネタを見て、「こいつらには勝てない。同じ場所で勝負しても恥をかくだけだ。」と解散を決意したそうです。それくらい、温度差が出やすいもの・・・。それが、発想による笑いです。



 ですので、この発想だけでは俗に言う「売れる」状態になるのは難しいでしょう。(逆に言うと、発想を前面に押し出して売れたダウンタウンさんがどれだけ凄いかという事になるんですが・・・。)この発想を、聞いている人にわかりやすくして、理解してもらうという作業が必要になります。それが、ネタの構成です。


 実は、構成さえしっかりしていれば、面白くないことでも笑わせる事ができます。


 というわけで、それはまた次回お話させていただきたいと思います。