先週の志村杯@浜松に引き続き、今月2度目のブリッジ。
前日夜に飯田橋に着いて、神楽坂で友達とご飯を食べて帰る気でいたのだが、突発的にメンツが増えて楽しくなってしまい、高田馬場で4時半まで麻雀をしてからの試合になった。
横浜駅に6時に着いて、カプセルホテルでお風呂と短い睡眠を取り、いつもの待ち合わせ場所の横浜珈琲店 五番館に向かう。
パートナーとは文化が共通しているからシステムの話は大体10分くらいで済むので、ここで話すのは近況とか、気になったブリッジの話題が主だ。
まぁしかし、なんて事ない打ち合わせがスコアに響くというのは良くある話で。
これは午前のボード。MPペア戦。
They Vul. 2nd seat
A
752
KQJT76
T72
P ?
手も良いしバルのお日柄も良いので、あまり悩まず1D。オークションはかく進む。
P 1D 1S 2C;
3S P P 4C;
P ?
朝話したのはmRKCの発動条件。良くある取り決めだけど、3の代までにインビテーション以上のバリューとフィットがある事がわかったら4mはRKC。
このハンドはフィットしてなく関係ないように思えるけど続きがあって、mRKCの例外として仮にマイナーフィットでGFかかっていても、介入があった時に限り、フィットもバリューもある4mでもRKCでなくNFと取り決めていた。
その心は介入された時、無理にでも5mかオポーネントのダブル付きコントラクトをやらなければならないと思うとリスクが高すぎるから。という事なんだけど、このロジックは 多分ここでも生きていて、今回のPdのビッドは明らかに、4m程度ならやりたいけど別にNFで良いくらいのパワーを示しているはず。
取り決めしてなくても同じ文化圏の住人なら大概そうなるかもしれないけど、なにせさっき話したことだから、NFはクリスタルクリアーである。
さて4CはNFとしても、しかも僕は10HCPしかないけど、勝機はあったから5Cを置くことにした。
P 1D 1S 2C;
3S P P 4C;
P 5C//
フルハンドは以下の通り。
パートナーのプレイ、OLはNorthからSx。ダミーで勝ってCAを取り左手のCQドロップを確認してDA,DK,DQ。これをSouthははローラフするが、オーバーラフ。Sラフでダミーに入ってDJ。CKで切られたのを見てHxを手から捨てて、あと一個ハートを負けてジャストメイク。
さて、4mの時点でパートナーの想定シェイプはどんなものだろうか。オポーネントのビッドからスペード3枚位で、4CがNFとすると3217から大幅にずれていることはなさそうだ。たとえば
xxx
Ax
x
AQJxxxx
オープニングリーダーはスペードをプリエンティブにサポートした側だから、ハートが打ち出しやすいKQxxみたいに点を抱えてる可能性は低く、すごくスペードリードが来そう。そして多分Cアナーは表にいて、プレイ手順もお手軽にSA勝ち、クラブフィネスして、ダイヤ負けにいくと進めば、ここでH開発にきても間に合わず、大体できそう。
仮にHAがHKでも、HA表、CK表なら大体できそうだし、そんな分の悪いチャレンジじゃないなという感じでした。実際もハートリードがキリングリードで来なかったという点でほぼ一緒。ビッドが明確になったことで、その後もうまく想像できた話。
こっちはうまくいった方、次のはそんな上手くいかなかった方。
2015年のイスラエルペアのチートスキャンダルの告発文について、一度読んでたんだけど東京へ来る電車で改めて読み直して、面白かったことを話した。その話から。
告発者のBoye Brogelandは裏のSouthに座っていて負け。ビューグラフを見ていたNickellチームのBobby Levinと話した時、こう言われたそうだ。
「またチートされてたね」
イスラエルペアのチート疑惑は告発文以前から有名だったそうで、ここでも普通にこういう会話がなされたそうな。
B.B.はプレイしてて全然気づかなかったそうだが、B.L.曰く、このボードのNSにはチートの証拠になるレベルの、プロフェッショナルとして明らかな"間違い"が複数あるという事だ。ビッドはすでに画像の中に記してあって、プレイはこれから書くので、何個見つかるか挑戦してほしい。NSのシグナルは逆。
T1:CK,2,8,4
T2:ST,3,A,2
T3:SK,4,5,7
T4:S6,J,H5,S8
Claim,5H-2
(ミスが見つかるまで粘る人のための小スペース)
ミスの数は4個、うちひとつは微妙とB.B.も認めている。B.B.が解説する順に紹介しよう。
(4つ見つかるまで粘る人のための大スペース)
さてひとつめの"間違い"はT2のスペードシフト。非常にロジカルなトッププレイヤーなら、今回は飛込みのDへ、まず間違いなくシフトするというという話。
でもなんで?
まずカーディングについてSouth目線では、カウントシグナルでCが4枚、ディクレアラーは1枚と判明する。ディクレアラーは5Cに5Hをかぶせてきたことから、4531や3631よりも4621が濃厚。
このシェイプの読みにしたがうと、ディクレアラーがまぁまぁの4枚スペード持ちならダイヤを消されちゃうため、パッシブなディフェンスは出来ない。実際5Hを置かれるには置かれたんだけど、ビューグラフのコメンテーターもこのビッドに疑問を示していた。
原文によると、
"To switch to a spade is highly risky if declarer has KJ9x, AQ9x, AK9x or KQJx."
B.B.はVersaceやHelgemo、HammanがSouthなら絶対ダイヤを出すはずと言い、さらにこう続ける。
「Agustin MadalaやThomas BessisがNorthにいたら、CQをドロップすることでSシフトを促しただろう」
うーん鋭い。カウンターディフェンスがあるのにそれをせずにスペードシフトを見つけたのは、カーディング以外にコミュニケーションを取る手法があったのではないかという指摘だ。確かに、CQ位なら割と教科書ディフェンスだもんね。これをしなかったのは慢心であると。
因みに、STシフトもおかしい。これが"間違い"の2つめ。特にディクレアラーがAQ9xだったら飛び込みそのものだ。ST出せるのは、パートナーのスペードがAKだった時に備えてラフさせようという魂胆がないと出来ない。
"Lotan (Fisherのこと) switched to the 10 of spades. His partner took the king and ace in the suit and gave Lotan a spade ruff. Two down. Easy game."
なるほどねぇ。
3つめ4つめの"間違い"はオークションから。カーディングのSAKの順は関係ない。
まず3Hへのダブル。白vs赤だけど、実際の手を見る限りそんな弱くもなさそうな3Hに対して、いっぺんパスしたパートナーに向かってオークションに参加する?というもの。パートナーの強さをなんらかの方法でわかっていたんじゃないかという話。
このダブルは、feeling lucky-dayならあるかもしれないと語る。でも次の"間違い"はありえない。それは4Hに5Cとビッドしたこと。
3Hへのダブルは、このレベルでは当然スペードとダイヤの4153や、5152ですらも考えなくてはならないはず。であるとすれば、5Cというより4NTを採用すべきだった。
これらをもってB.B.は、「当たるかもしれないけど夢みたいなアクションが全て当たってる、統計学者を呼ぶ必要があるね」みたいなことを言っている。
何個気づけたかな、最後のやつは気づいた人が多かったかも。
さてこの前置きに比べたら箸休めのような本題ではあるけど、この4つのおかしい点をコーヒー屋を出てさらっとパートナーに伝えたという伏線があって、午後のボード。
午後は珍しく僕がNorth。We Vul. 1st seatで
96
4
KJ95
AKJ842
割りかし良いハンド。オークションは僕から
1C 1S 1NT 2H;
?
PdはS4枚持ってて、ハートは4枚持ってないので相手に9枚のハートが確定。左右が弱くなさそうなのでパートナーは10点とかは持ってない。いくらMPとはいえ7点の4333とかはバル的に出てきそうにないから彼の想定ハンドは
KTxx
Qxx
Qxxx
xx
くらいか。これが最大限ずれて
ATxx
xxx
Axxxx
x
まで行くと5Dメイクがとても近いし、4Hがきっちりメイクするハンドで5Dx-1みたいな結果でもおかしくない。これはMP戦ではとても大事なので、オーバービッドを承知で3Dとリバースしてみた。するとオークションは左手が3Hを置いてすぐに終了。
で、フルハンドは以下。
僕はCKリード。ダミーみた瞬間に4H置かれなくてよかったと思った。パートナーからはC5(シングルトンか偶数枚)が出て来て、ゲスのお時間。
パートナーのシェイプはほぼ、4342か4324の2択。うーんどっちかな。
それぞれについてディクレアラーのシェイプは1633と1651になるから、後者なら4H置かれてそうというのと、4324でスペードJしか持ってない時はMPでも2Cって言いそうだなと思って大体心は4342に決まったのだが、もうひとつ思い出した事があってCAをコンティニュー。残念ながらこれは切られ、スペードをエスタブリッシュされて3H+1の200取られ。もしダイヤを出してれば、DA,DKと、まさかのDラフもあったかもしれない。
「僕のクラブ、5枚だと思った?」
「あのオークションは2Hにダブルとかもあるから、かなりD4C6だと思った」
ということは、CKにCQだしたら、それがクラブコンティニューへのalarming signalとなってDを出せたかもしれない。DAを持ってることと最初クラブをサポートしなかったこと、あと一応、最後4Cとサポートしなかった事が警報の内容だ。前置きにあった"間違い"1つめのMadalaやBesisなら出していただろうというCQと、奇しくもカードが一致していたので思い出せたというわけだ。
曰く最後サポートしなかったのはゲームに押し上げる可能性が高かったからとのことで、4324の7点だしそうだね。と思ってハンドを精査すると、赤vs白にも関わらず5CX-1じゃないか。これは実際に起きたスコアの-200と同じ。
オポーネントがゲームへいかなかったのは、パートナーの1NTと僕の3の代リバースが効いていたのだろう。彼らのゲームが落ちることと、私たちが良い5mへ到達することを嫌ったに違いない。良いビッドを積み上げて良いコントラクトへ到達したが、良いスコアまではあと一歩だけ足りなかった。
続きます。