デトロイト市が破綻した。
デトロイト市の財政状況は、厳しい状況にあることが、以前から言われてはいた。
そうは言ってもアメリカ最大の自動車メーカーのGM(ゼネラルモーターズ)社の本社があり、
アメリカ大リーグの中の名門球団であるデトロイト・タイガースのホームグラウンドで、
多くの日本人がその名前を知っている、
アメリカの中でも大都市に位置づけられるデトロイトだ。
破綻を回避するために色々な支援があるのだろうと、僕は思っていた。
アメリカ政府かGM社が何らかの支援活動を(それは根本的解決策にならないものでも、
又有権者や消費者を意識したパフォーマンスにとどまるものであっても)
行うだろうと思っていた。
僕は破綻をまともに考えていなかったが、
本当に、支援も無く、あっさりと、デトロイト市は破綻した。
この事実と僕の認識に、ズレがあったことを認める必要がある。
日本は、日米同盟に象徴されるように、アメリカとの関係性が強い。
日本を取り巻く極東の外交軍事動向、中国や韓国や北朝鮮との関係を考えた時に、
アメリカの外交と軍事戦略抜きにして日本は何もできない状況にある。
重大な経済政治課題であるTPP問題も、
もともとアメリカの戦略に乗っかろうとしているものだ。
小泉首相時代から始まった色々な公共事業を民営化していこうとしている流れも、
アメリカを真似てのことだ。
単純化して言ってしまえば、
国際社会での日本の活動は日米同盟によって、
実のところ、それは(同盟とは名ばかりで)アメリカ政府の意向によって、
決められてきた。
そして戦後日本の社会にもたらされた現象は、
心的には豊かなアメリカに憧れその豊かさに追いつきたいという情動によって、
(それはアメリカンドリームと呼ばれる)
形成されてきた。
戦後日本は日米同盟とアメリカンドリームによって、
社会が移り変わってきたと言えるだろう。
そして今回のデトロイト市破綻はアメリカンドリームの終焉を意味する。
アメリカは、栄華を極めたかつてのアメリカではない。
そして政治が経済原理によって翻弄されているアメリカは、
嘗ての明確な国家意識を持ったアメリカでもない。
アメリカとの関係性が強い日本並びに日本人は、
このことを受け入れる必要がある。
受け入れることによって、
TPPが日本をどういう国にして行くのか今よりも冷静に考えられるようになるし、
公共事業の民営化がもたらす終着が
どういうものなのかイメージできるようになる。
そういう理解の糸口を掴んでもらうために、皆さんに二つ質問を出そう。
どうしてアメリカ政府はGM社の破綻回避のために
巨額の政府予算を使って救済したのに、
デトロイト市の破綻には支援をしないのでしょうか?
どうしてGM社は、デトロイト市破綻回避のための活動をしないのでしょうか?
そのヒントや回答は堤未果さんの『(株)貧国大国アメリカ』(2013年6月出版)が答えてくれる。
その著書に書かれている記事を抜き出すことで、回答の代わりにする。
アメリカの見方が変わったその時から、
廃棄できない日米同盟と貧困大国アメリカをパートナー(実のところは主国)として、
極東の安定並びに日本の国益を守り、
日本が貧困国に流されていかないように、
日本は何をしなければならないのか真剣に考える時にあることを、
我々日本人は自覚しなければならない。
「ようこそ、全米一危険な町へ!」
こんなチラシが2012年10月のデトロイトタイガース球場で配られた。
「注意!デトロイトには自己責任でお入り下さい」
・デトロイトは全米一暴力的な町です。
・デトロイトは全米一殺人が件数が多い町です。
・デトロイト市警は人手不足です。
・人手不足のため12時間シフトで働かされ・・・・警察は疲労困憊しています。
・デトロイト市警の賃金は全米最低ですが、市はさらに1割カットしようとしています。
配布していたのは現役のデトロイト市警官たちだ。
「デトロイトは2010年末から、市の職員を大量に解雇し始めていました。
その時のリストラ人数は1000人です。」
「もともと治安が悪い町でしたが、2000年半ばからひどくなり、
GM社の破綻がとどめをさしたんです。
公共サービスなんてないも同然になった。
毎日どこかで強盗が起きるので銃は常に持ち歩いていました。
警察はあてになりません。
強盗にあって緊急電話しても、
警察がくるのは一日二日たってからですから。」
「昔はアメリカでも有数の美しい町だったんですよ。」
ビッグスリー(GM、クライスラー、フォード)と呼ばれた自動車産業の中心地で、
1950年代はアメリカンドリームの象徴だった町。
全盛期に185万人だった人口も、今は71万人に減ってしまった。
そしてなぜか火災が急増している。
「住宅ローンも払えず、仕事もなく家族を抱えてどうしようもなくなった人が、
自宅に放火する事件が後をたたないんです。保険金目当てにね」
2012年5月にデトロイト市は8万8千灯ある街灯を半分に減らす、
通称「ゴーストタウン計画」を実施する。
もともと半数は壊れたまま市が修理代すら出せず放置されていたが、
点灯数を半減させることで住民の生活エリアを縮小させる目的だった。
その結果、犯罪率はさらに上昇、住民の流出が加速した。
失業拡大と産業の流出が市の財政を圧迫し続け、
デトロイト市は借金を重ねついには・・・
デトロイト市は今のアメリカでは氷山の一角だ。
リチャード・リオーダン元ロサンゼルス市長は
「このままでは全米の自治体の9割は5年以内に破綻する」と警告する。
自治体が破綻する要因を積極的にアメリカ政府が後押ししてきた。
例えばブッシュ政権が後押しした「落ちこぼれゼロ法」によって、
教育予算を巡ってテストの点数を競うようになった。
教育に市場原理を持ち込んだ「落ちこぼれゼロ法」では、
生徒たちの点数が上がらなければ国からの予算が出ないだけでなく、
その責任が学校側と教師たちにかかる。
貧困家庭の生徒を多く抱えるデトロイトの公立学校では平均点が上がらず、
教師たちは次々に解雇され、学校は廃校になった。
公立校が潰れると、すぐにチャータースクール(営利学校)が建てられる。
銀行家や企業が経営するチャータースクールは、7年で元がとれるから、
投資家にとって魅力的な商品なのだ。
ただし公的なインフラではなくあくまでも教育ビジネスなので、
生徒にとって入学のハードルは高い。
高い授業料を払えるだけの経済力と一定以上の学力が要求されるため、
デトロイトでは教育難民となった子供たちが路上にあふれ、
失業した教師たちは州を出るか、
食べていけずにSNAP(食費補助制度)を申請することになった。
教師たちは、財源を理由に政府が公教育を解体しようとしていることに、
大きな危機感を抱いている。
解体された教育はウォール街の投資家達に、
新しいビジネスチャンスとして差し出されているからです。
そして今度は自治体破産を理由に、
デトロイトが次の市場に変えられてゆくのを、
投資家たちは熱い期待と共に待っている。
「次々に町が破綻し廃墟が広がるようなミシガンですら、
上位1%の層だけは順調に収益をあげている。
今のアメリカは、貧困人口が過去最大であると同時に、
企業の収益率も過去最大なのです」
「政治家たちは、赤字を抱えた自治体を立て直すには
非効率な公共部門をカットして民間に任せ、
経済を活性化するしかないという。
だがこのやり方の問題は、一度始めてしまったら、
壮絶な価格レースに参加させられて後戻りができなくなることだ。
企業が進出してきても環境は破壊される。
そして使い物にならなくなれば、企業はさっさと別の土地へ移るだろう。
コストと生産性が最優先の物差しである企業には、地元の商店と違って、
この土地に対する愛着心も人間関係もない。
子供たちの育つ環境への思いや、
受け継いでゆく伝統を守りたいという気持ちも持っていない」
わずか1%の富める者とそれ以外の貧者。
なぜ二極化が加速しているのだろう。
株価や雇用は回復したはずなのに貧困は拡大を続け、
医療、教育、年金、食の安全、社会保証など、
かつて国家が提供していた最低限の基本サービスが、
手の届かない贅沢品になってしまった。
かつて善きアメリカを支えていた、
中間層や、
努力すれば報われるというアメリカンドリームは、
消えてしまった。
政府が企業の意図のままに動いている。
今や通商交渉分野のトップ上院議員ですら、
政府のTPP交渉文書を閲覧できない状況にある。
「今のアメリカをかつてのような国家としてのアメリカだと思わない方がいい。
今政府の後ろにいるのは、もっとずっと大きな力を持った、
顔の見えない集団なのです。」
巨大化して法の縛りが邪魔になった多国籍企業は、
やがて効率化と拝金主義を公共に持ち込み、
国民の税金である公的予算を民間企業に移譲する新しい形態へと進化した。
ロビイスト集団が、クライアントである食産複合体、医療複合体、
軍産複合体、形産複合体、教産複合体、石油、メディア、金融などの業界代理として
政府関係者に働きかけ、献金や天下りと引き換えに、
企業よりの法改正で彼らの障害を取り除いて行く。
貧困は結果だ。
根幹にある原因を探っていくと、今のアメリカの実体経済が
世界各地で起きている事象の縮図であることがわかる。
経済界に後押しされたアメリカ政府が自国民にしていることは、
TPPなどの国際条約を通じて、次は日本や世界各国にやってくるだろう。
デトロイト市の財政状況は、厳しい状況にあることが、以前から言われてはいた。
そうは言ってもアメリカ最大の自動車メーカーのGM(ゼネラルモーターズ)社の本社があり、
アメリカ大リーグの中の名門球団であるデトロイト・タイガースのホームグラウンドで、
多くの日本人がその名前を知っている、
アメリカの中でも大都市に位置づけられるデトロイトだ。
破綻を回避するために色々な支援があるのだろうと、僕は思っていた。
アメリカ政府かGM社が何らかの支援活動を(それは根本的解決策にならないものでも、
又有権者や消費者を意識したパフォーマンスにとどまるものであっても)
行うだろうと思っていた。
僕は破綻をまともに考えていなかったが、
本当に、支援も無く、あっさりと、デトロイト市は破綻した。
この事実と僕の認識に、ズレがあったことを認める必要がある。
日本は、日米同盟に象徴されるように、アメリカとの関係性が強い。
日本を取り巻く極東の外交軍事動向、中国や韓国や北朝鮮との関係を考えた時に、
アメリカの外交と軍事戦略抜きにして日本は何もできない状況にある。
重大な経済政治課題であるTPP問題も、
もともとアメリカの戦略に乗っかろうとしているものだ。
小泉首相時代から始まった色々な公共事業を民営化していこうとしている流れも、
アメリカを真似てのことだ。
単純化して言ってしまえば、
国際社会での日本の活動は日米同盟によって、
実のところ、それは(同盟とは名ばかりで)アメリカ政府の意向によって、
決められてきた。
そして戦後日本の社会にもたらされた現象は、
心的には豊かなアメリカに憧れその豊かさに追いつきたいという情動によって、
(それはアメリカンドリームと呼ばれる)
形成されてきた。
戦後日本は日米同盟とアメリカンドリームによって、
社会が移り変わってきたと言えるだろう。
そして今回のデトロイト市破綻はアメリカンドリームの終焉を意味する。
アメリカは、栄華を極めたかつてのアメリカではない。
そして政治が経済原理によって翻弄されているアメリカは、
嘗ての明確な国家意識を持ったアメリカでもない。
アメリカとの関係性が強い日本並びに日本人は、
このことを受け入れる必要がある。
受け入れることによって、
TPPが日本をどういう国にして行くのか今よりも冷静に考えられるようになるし、
公共事業の民営化がもたらす終着が
どういうものなのかイメージできるようになる。
そういう理解の糸口を掴んでもらうために、皆さんに二つ質問を出そう。
どうしてアメリカ政府はGM社の破綻回避のために
巨額の政府予算を使って救済したのに、
デトロイト市の破綻には支援をしないのでしょうか?
どうしてGM社は、デトロイト市破綻回避のための活動をしないのでしょうか?
そのヒントや回答は堤未果さんの『(株)貧国大国アメリカ』(2013年6月出版)が答えてくれる。
その著書に書かれている記事を抜き出すことで、回答の代わりにする。
アメリカの見方が変わったその時から、
廃棄できない日米同盟と貧困大国アメリカをパートナー(実のところは主国)として、
極東の安定並びに日本の国益を守り、
日本が貧困国に流されていかないように、
日本は何をしなければならないのか真剣に考える時にあることを、
我々日本人は自覚しなければならない。
「ようこそ、全米一危険な町へ!」
こんなチラシが2012年10月のデトロイトタイガース球場で配られた。
「注意!デトロイトには自己責任でお入り下さい」
・デトロイトは全米一暴力的な町です。
・デトロイトは全米一殺人が件数が多い町です。
・デトロイト市警は人手不足です。
・人手不足のため12時間シフトで働かされ・・・・警察は疲労困憊しています。
・デトロイト市警の賃金は全米最低ですが、市はさらに1割カットしようとしています。
配布していたのは現役のデトロイト市警官たちだ。
「デトロイトは2010年末から、市の職員を大量に解雇し始めていました。
その時のリストラ人数は1000人です。」
「もともと治安が悪い町でしたが、2000年半ばからひどくなり、
GM社の破綻がとどめをさしたんです。
公共サービスなんてないも同然になった。
毎日どこかで強盗が起きるので銃は常に持ち歩いていました。
警察はあてになりません。
強盗にあって緊急電話しても、
警察がくるのは一日二日たってからですから。」
「昔はアメリカでも有数の美しい町だったんですよ。」
ビッグスリー(GM、クライスラー、フォード)と呼ばれた自動車産業の中心地で、
1950年代はアメリカンドリームの象徴だった町。
全盛期に185万人だった人口も、今は71万人に減ってしまった。
そしてなぜか火災が急増している。
「住宅ローンも払えず、仕事もなく家族を抱えてどうしようもなくなった人が、
自宅に放火する事件が後をたたないんです。保険金目当てにね」
2012年5月にデトロイト市は8万8千灯ある街灯を半分に減らす、
通称「ゴーストタウン計画」を実施する。
もともと半数は壊れたまま市が修理代すら出せず放置されていたが、
点灯数を半減させることで住民の生活エリアを縮小させる目的だった。
その結果、犯罪率はさらに上昇、住民の流出が加速した。
失業拡大と産業の流出が市の財政を圧迫し続け、
デトロイト市は借金を重ねついには・・・
デトロイト市は今のアメリカでは氷山の一角だ。
リチャード・リオーダン元ロサンゼルス市長は
「このままでは全米の自治体の9割は5年以内に破綻する」と警告する。
自治体が破綻する要因を積極的にアメリカ政府が後押ししてきた。
例えばブッシュ政権が後押しした「落ちこぼれゼロ法」によって、
教育予算を巡ってテストの点数を競うようになった。
教育に市場原理を持ち込んだ「落ちこぼれゼロ法」では、
生徒たちの点数が上がらなければ国からの予算が出ないだけでなく、
その責任が学校側と教師たちにかかる。
貧困家庭の生徒を多く抱えるデトロイトの公立学校では平均点が上がらず、
教師たちは次々に解雇され、学校は廃校になった。
公立校が潰れると、すぐにチャータースクール(営利学校)が建てられる。
銀行家や企業が経営するチャータースクールは、7年で元がとれるから、
投資家にとって魅力的な商品なのだ。
ただし公的なインフラではなくあくまでも教育ビジネスなので、
生徒にとって入学のハードルは高い。
高い授業料を払えるだけの経済力と一定以上の学力が要求されるため、
デトロイトでは教育難民となった子供たちが路上にあふれ、
失業した教師たちは州を出るか、
食べていけずにSNAP(食費補助制度)を申請することになった。
教師たちは、財源を理由に政府が公教育を解体しようとしていることに、
大きな危機感を抱いている。
解体された教育はウォール街の投資家達に、
新しいビジネスチャンスとして差し出されているからです。
そして今度は自治体破産を理由に、
デトロイトが次の市場に変えられてゆくのを、
投資家たちは熱い期待と共に待っている。
「次々に町が破綻し廃墟が広がるようなミシガンですら、
上位1%の層だけは順調に収益をあげている。
今のアメリカは、貧困人口が過去最大であると同時に、
企業の収益率も過去最大なのです」
「政治家たちは、赤字を抱えた自治体を立て直すには
非効率な公共部門をカットして民間に任せ、
経済を活性化するしかないという。
だがこのやり方の問題は、一度始めてしまったら、
壮絶な価格レースに参加させられて後戻りができなくなることだ。
企業が進出してきても環境は破壊される。
そして使い物にならなくなれば、企業はさっさと別の土地へ移るだろう。
コストと生産性が最優先の物差しである企業には、地元の商店と違って、
この土地に対する愛着心も人間関係もない。
子供たちの育つ環境への思いや、
受け継いでゆく伝統を守りたいという気持ちも持っていない」
わずか1%の富める者とそれ以外の貧者。
なぜ二極化が加速しているのだろう。
株価や雇用は回復したはずなのに貧困は拡大を続け、
医療、教育、年金、食の安全、社会保証など、
かつて国家が提供していた最低限の基本サービスが、
手の届かない贅沢品になってしまった。
かつて善きアメリカを支えていた、
中間層や、
努力すれば報われるというアメリカンドリームは、
消えてしまった。
政府が企業の意図のままに動いている。
今や通商交渉分野のトップ上院議員ですら、
政府のTPP交渉文書を閲覧できない状況にある。
「今のアメリカをかつてのような国家としてのアメリカだと思わない方がいい。
今政府の後ろにいるのは、もっとずっと大きな力を持った、
顔の見えない集団なのです。」
巨大化して法の縛りが邪魔になった多国籍企業は、
やがて効率化と拝金主義を公共に持ち込み、
国民の税金である公的予算を民間企業に移譲する新しい形態へと進化した。
ロビイスト集団が、クライアントである食産複合体、医療複合体、
軍産複合体、形産複合体、教産複合体、石油、メディア、金融などの業界代理として
政府関係者に働きかけ、献金や天下りと引き換えに、
企業よりの法改正で彼らの障害を取り除いて行く。
貧困は結果だ。
根幹にある原因を探っていくと、今のアメリカの実体経済が
世界各地で起きている事象の縮図であることがわかる。
経済界に後押しされたアメリカ政府が自国民にしていることは、
TPPなどの国際条約を通じて、次は日本や世界各国にやってくるだろう。