多くのゲームで今も昔も使われている

コストの代表格.はやはりお金。

というわけで、

アイテムの値段の付け方について
思う所をつづってみたいと思います。


なんか妙にその話をしたり、人から聞いたりすることが続いたので、
最近関心が高まっているんじゃないですかね。

上位通貨が存在するゲームとかも、最近は珍しくなくなりましたし・・・。




大抵、ゲームというものはアイテムがたくさん登場するわけですが、

無償でプレイヤーに渡していたらゲームになりません。

相応の努力を要求するのが普通です。


その「努力の量」を分かりやすくまとめたものがお金であり、

そのお金を使う場所としてお店があり、

アイテムには値札がついているわけです。



まあ、現実世界のデパートにでも行けばに大量に見本があるので

想像はしやすいです。

自分の財布のマネージメントの経験なら誰でもあるでしょうしね。


なので無難な値を設定するだけなら

それほど難しくないと思います。


が、『良い』値段設定をしようと思ったら、
考える事は恐ろしく大量にあります。

「まさかぁ~?」思う人は、本屋か図書館に行って、
商店に関するビジネス書を適当に覗いて見るといいです。

『アレを注意しろ』『これを狙え』とか
かなり様々な値札のノウハウが

すごく大切な事として書かれています。


※ついでにちょっと偉そうな事を書きますが、
 こういう、ゲーム業界以外のサービス業にも

 企画屋にとっては役立つ情報って多いです。
 お菓子の開発とかキャンペーンの話なんか、かなり面白いですよ。



さて、話を元に戻しまして。
アイテムを道具屋さんに並べる事を考えてみましょう。
良い物は高値、そこそこな物は安値。
これがまず基本。


良い物が逆に安売りされていたりする場合、

ごくたまにであれば「出血大サービスだね!」で済みますが、

それが多いとゲーム内の通貨の価値が崩壊します。

高い値札がついている方が手に入れた時に嬉しかったりもしますし、

そこはおとなしく市場原理に従いましょう。


しかし大事なのはそこからです。
だったらどの程度『高く&安く』するべきなのか?

そのさじ加減こそが勘どころ。

最弱から最強までだんだん高値になるように数字を並べればそれでいい、
なんてーことはありません。



宗の場合の組み立て方は

1から話すと酷く長くてつまらない話になってしまうため

ざっくり言っちゃいますが、


プレイヤーがアイテムの性能と値段を知った時、

『何も考えずに買う』ようであれば安すぎます。
『割に合わないから買わない』と思われたら高すぎます。
『迷ったけど『買う』』これが適切。

・・・大ざっぱにいうとそんな感じです。


思惑によって買うか否かが異なるならば、
お買い物はプレイヤーにとって

駆け引き要素になりますので。

(無条件で買うならそれはただのおつかい、
 誰も買わないならそれは不愉快な置き物です。

 さらにいうなら、買うしかないものが無駄に高いのは苦行ですね。)



ただし、単純に性能と値段を正比例させても
迷うような値段にはまずなりません。


大抵のゲームは先に進むほどお金を稼ぐ手段が増えて、
大金を簡単に稼げるようになります。

闘技場とか、換金アイテムとか。


計算づくでやるならそういう物も計算に入れて、

お金稼ぎに要する苦労の量を考えましょう。
街一つ進んだだけでアイテムの値段が1ケタ上がる、

…という調整が適切な場合だってあるみたいですよ。




さらに言うと、買おうかどうしようか迷わせる手段は、
単純な値段の上下を考えるだけが手じゃありません。


たとえば手の届かない強い武器と、
ちょっとだけ強くなる場つなぎの武器、
この2つを同じ武器屋に用意する。


強い武器を買ってしまったら、
場つなぎの方はいらなくなります。
なのでプレイヤーは場つなぎの武器について、
買った場合とスルーした場合、

どちらの方が効率が良いかと悩むわけです。


単品しか置いてなかったら間違いなく買っていたものだとしても。


あと、炎の剣と氷の剣を用意して、
お値段一緒、威力もいっしょ、
でも属性が真逆、というのも面白いですね。

余裕があるなら2本とも持っていきたいけど、
属性が関係ない敵に対しては2本目なんてまったくの無駄なので、
そこで思い悩むわけです。


(ちなみにこの場合、ほんの100円程度だけ値段に差があった場合、
 8割のプレイヤーは高い方を優先的に買っていきます。
 人間の心理って面白いです。)


ただし、この手の細工はあんまり詰め込み過ぎると
プレイヤーさんにとって面倒くさいというストレスになります。
あくまでもゲーム内での重要度に合わせて、
適度な小細工を心がけたいですね。



値札は最初に言った通り、とても身近なものです。

独自の面白さやセールスポイントをそこに求めるのは難しいでしょう。

「値段の付け方が神がかっている名作!」

なんて聞いた事ないですし。


でも、制作しているゲームにお金の概念があるんだったら、

お金を入手するタイミングって、

たぶんクリアするまでに1000回は軽く越えますよね?


もし値札の付け方が適切でなければ

お金の入手を素直に嬉しいと感じることがなくなります。

高すぎても、安すぎても、

1000回以上のそのタイミングが無価値になってしまうんです。


そんなもったいない事、

自分が作るゲームを大切に思うならしないで欲しいなー

……と、作る側の人間として思ったりする次第です。


それでは、本日は以上で。