熊本・宮崎ツーリングダイジェスト 七日目 多良木~都城ドライブ。(1/2) | 水辺の土木遺産

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水辺の土木遺産、冠水橋や流れ橋、石橋やレンガ樋門など、自転車で見て回りながら、ついでに狛犬なんかも追いかけています。

タイトルにある通り、

この日だけは都城の知り合いの車でのドライブとなります。

 

その方との付き合いは10年ほどになるでしょうか?

その頃に私、遅ればせながら携帯電話からスマホに買い替えましてね。

ちょっとやってみたソシャゲにはまっていた時期がありまして、

今のソシャゲと比べると、まぁ、ショボいんですが、

それでも1日に3回、20人vs20人で争うような要素がありまして、

ゲームとは別に、戦闘中のやり取りにLobiというSNSツールを併用していました。

 

そこでしりあった宮崎県都城市に住んでいる方と

ゲームでご一緒したのは半年ほどだったでしょうか?

 

お互いに、

共通の話題はそれほどないながらも、

Lobiがサービスを終了した現在も、ゲームのフレさん(フレンドさん)だった彼とは、

何故かそれなりに付き合いが続いておりまして、

共通の話題と言えば、ソロキャンプくらいですかねぇ。

 

ソロキャンプとは言っても、

私のキャンプ(宿を取れずに日が暮れた時、手持ちのテントで日の入り後に野営、日の出前に出発すること)と、

フレさんのキャンプ(日の高いうちにキャンプ場に入って食事や焚火を楽しみ、テントの幕体をスクリーンに映画まで見ちゃう)では、

言葉の意味それ自体に大きな開きがありますが……(^^;)

 

店舗のお仕事でお休みが土日固定ではないフレは、

私が近くにくるこのタイミングに休みを合わせて取得していて、

天気予報で雨だったこの日、自動車でも2時間はかかるような距離だったと思うのですが、

日の出前の多良木まで、車で迎えにきてくれました。

 

軽のワンボックスの後部に自転車と荷物を積み込みまして、

予定通りなら運動不足には厳しい人吉盆地から宮崎県小林市への峠越えまで、

自動車で楽をさせていただいてしまいました(^^;)

ホント、感謝です。

 

車まで出していただいたのに、

「折角の旅行なんだから、行きたいところに案内するよ」と、

お言葉に甘えさせていただいて、土木には興味のない方にはつまらない場所が多くなりますが、

今までと同じような毛色の目的地へ。

 

まず向かったのは県道143号線で峠を越えて、宮崎県に入ってしばらく下った辺りです。

 


 

これです。

これが見たかった!

 

これがなければ、ルートは熊本県人吉市から宮崎県えびの市に越えるルートで、

ループ橋と鉄道のループなんかを眺めるルートになっていたはずで、

そのルートなら、人吉盆地に面白いものがないかを探すこともなく、

幸野溝なんてすばらしい物件を、気づかずにスルーしていたでしょう。

 

って、

写真を見ても、ほとんどの方にはなんだか分からないと思いますが、

宮崎県では多分、私は初めて確認した流れ橋ですね。

まぁ、対岸に流出状態で、渡ることはできませんが(^^;)

 

この橋の近くには、

 

潜水橋。

地図からの想定では、潜水するかどうかは微妙な、

潜水橋形式の可能性もありという想定でしたが、

対岸に最近の洗堀跡がある通り、きちんと潜水する潜水橋です。

 

ちょうど9月辺りにも宮崎では豪雨災害がありましたから、

その時には水没していたかもしれません。

 

 

こちら、洗い越し。

 

 

潜水橋。

対岸は農地にしか見えませんでしたが、

実地でスマホのGoogleMapsを見ると、対岸の農地は小学校跡らしいです。

本当に? と、少し疑う程度には、GoogleMapsにも騙されているんですよねw

 

そして、熊本にはなくて、宮崎にあるものと言えばコレ

 

 

この旅の第一田の神様発見! とまぁ、

きちんとマイマップにメモしてきたんですけど。

 

田の神様は、宮崎では田の神様と書いて「たのかんさぁ」と呼びます。

と、知識としては知っていても、これまた本当かどうか疑っていましたが、

高校卒業後は東京での学生生活から豊川稲荷の辺りでの社会人生活と、

長らく県外で生活して、完全に標準語を普通のイントネーションで話す

宮崎県民のフレさんは、きわめて自然に「たのかんさぁ」と呼んでいます。

あれは本当だったんですね。

 

 

こちらはこの度で2つ目の田の神様ですが、

随分様子が違うと思います。

 

簡単に説明させていただくと、

日本全国で田んぼの神様の信仰それ自体は珍しくありませんが、

水神様などと比べると、意外にも、直接に祀られることは珍しく、

田んぼの神様としての神格を持つ神様を祀ることの方が一般的ですね。

それでも、田の神と祀ることはあります。

 

ですが鹿児島から宮崎県西南部に掛けての旧島津領では、

古いものでは江戸時代からの人型の田の神様を祀るのが一般的で、

1体目のもののように彩色されたものもあれば、2体目のように無彩色も多く、

体感としては宮崎県内では半々ですが、

彩色されたものが多い地域と、無彩色のものが多い地域、

そういった地域差はあるように感じます。

 

以前に私が田の神様巡りをした

旧島津領からは若干外れた宮崎県宮崎市西部で言うと、

ほぼほぼ無彩色が一般的なように見受けられました。

 

形状も大きく違いますが、1体目の座像は神官型、

2体目の方が一般的で農民型、あるいは田の神舞型と呼ばれます。

この他にも地蔵型や、田の神と書かれた石碑型などの種類がありますが、

最も一般的なものは田の神舞型のように思われます。

 

頭には藁で編んだシキを被り、

片手にはメシゲやスリコギ、片手には山盛りのご飯茶碗、

シキを被った頭は後ろから見ると……まぁ、ぶっちゃけ陰陽石になりまして、

田んぼの豊作だけでなく、子宝方面の御利益も期待されております。

 

そして小林市方面に降りていく途中でお願いした寄り道がこちら。

 

 

自転車なら嫌になっていたと思います。

そのくらいに、自動車でもここへのアクセスは大変でした。

この橋満橋は石ではなくコンクリートアーチですが、

なんと、現役の竹筋コンクリートなのです!

 

ですが、9月の豪雨災害の影響で遊歩道は進入禁止。

素掘り隧道もあり、アーチを側面から眺められる遊歩道に降りられないのは残念です。

この辺りから、雨は本降りになってきました。

 

橋に連れまわすのは申し訳ない……ということで、

自転車で峠を越えた場合には諦めるつもりでしたが、

少しルートを西に向かってえびの市の郷土資料館へ。

 

 

こちら、えびの市に入ってすぐの交差点ですが、交通安全も田の神様。

つまり、えびの市の郷土資料館も田の神様には力を入れていて、

 

 

躍動感あふれる田の神様。

 

これのレプリカを以前に宮崎県立博物館で拝見したことがありまして、

機会があれば、ぜひともオリジナルを見てみたいと思っていたんです。

 

祭りとしての田の神舞では、おしろいで顔を真っ白にするらしいのですが、

顔や腕を白くしただけの最低限の彩色もまた好印象です。

 

えびの市郷土資料館、展示スペースは狭いながらも、

 

 

古墳から出土した鉄剣や鉄鎧(肩はレプリカ)などの展示もあり、

え? 古墳時代の鉄剣は見たことあるし、ラメラーアーマーはイラストで見るけど、

こんな中世ヨーロッパ的なプレートアーマーも平安以前に日本にあったの?

と、驚くような展示もありました。

 

 

豊作の続く地域から田の神様を借りる文化もあったなんて説明など、

狭いながらも(しつこいようですが、ほんとに狭い)、

わざわざ来た甲斐のある場所でした。

 

なお、この辺りでは職場からシステムトラブルの電話応対なんかも発生し、

ちょっと鬱にもなりました(^^;)

 

さて、

そういえば、来てから思い出したんですが、

えびの市郷土資料館近くには、橋の方もあるんですよね。

石アーチもまぁ、あるのですが、

 

 

宮崎県西部では珍しい潜水橋が2本。

 

そうして都城に向かう途中で、

 

 

国登録有形文化財の月の木川橋。

これだけ見事だと、橋好きでなくても見ごたえはあるはず

……なのですが、この辺りで雨は最高潮に達して酷い降り方でした。

享保水路太鼓橋はパスしまして、

 

ここまでの車内での会話から、

私の趣味と、フレさんの趣味で割合と近い位置にあるように感じたのが神社です。

 

ということで、霧島岑神社へ

 

 

石段も見事なこの神社、

私的な見どころは、

 

 

毎度おなじみ、石の仁王像です。

調べてみると、この地域にもそれなりに石の仁王像はあるようでして、

どちらかというと、菅原神社系列に多いのですが、

雨の中、神社をお参りしてからお昼ごはん、

 

というところで続きます。