埼玉県飯能市 入間川の流れ橋6。 | 水辺の土木遺産

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水辺の土木遺産、冠水橋や流れ橋、石橋やレンガ樋門など、自転車で見て回りながら、ついでに狛犬なんかも追いかけています。

前の流れ橋のあった公衆トイレの辺りから、

県道70号線を少し西に移動すると、すぐに次の流れ橋。

 

場所はこちら。

 

 

目印は広い駐車場で、この流れ橋は川遊び場設置の流れ橋となり、

設置母体は駐車場中央にあるカワラ・デ・BBQさんだと思われます。

 

なお、前の流れ橋は川遊び場と公衆性が入り混じった雰囲気でしたが、

ここの場合には完全に私、利用者以外はアクセスできない可能性が高いと思われますが、

私が訪ねた時点では、4月末のオープンを目指して建物をリフォーム中でした。

今頃は、オープンの最後の大詰めを迎えている頃でしょうか?

 

さて、

県道から向かって駐車場の左手奥にある階段を降りると、

 

 

かなり異質な流れ橋(^^;)。

まずはそう、板は薄いけど、左右を鉄パイプで補強されていて、

見るからにこう……これ、浸水しても、そもそも浮かないよね?

という。

 

 

そして、そこには補助的な橋脚も追加されており、

……流れ橋で良いのか? と、少しばかり分類に困ります。

 

 

ですがほら、ちゃんと鋼線ワイヤーによる係留は行われているわけです。

つまり、通常は橋台や橋脚を残して流れ出してしまうのが流れ橋ですが、

ここの場合、冠水しただけでは浮きも流れもしないけれど、

増水して流れのはやくなった川の水には押し流されてしまうことが予想され、

その際に流されても失われないように、流失防止に係留されている。

そうした状況になるわけですが、

ポイントは鉄パイプの補助橋脚は川床に固定されていない所。

 

あくまでも、流れ橋の一形態という事で良いのではないかと、

個人的には考えています。

 

流れ橋の多くは公的な建設基準とは無関係に、

個人などによって渡されている橋だったりすることもあり、

ルールがないから面白い、というのもあるんですよね。

 

ここの場合、ほかにもかなりイレギュラーな要素が重なり、

最初の地図に戻っていただくとわかる通り、

 

 

川遊び場(バーベキュー場)としての中州にわたる橋なので、川を渡りません。

 

 

対岸にも家が見えますが、あそこまでの間には入間川本流が横たわり、

渡ることができないわけです(長靴で無理矢理渡れないことはないけれど)。

 

さらに、橋板は路面としての構造で、桁としては足場用鉄パイプで持たせる構造、

それでも、バーベキュー客が荷物を持っていても安定して渡ることを考えて、

途中に追加されているたわみ防止の補助橋脚。

 

かなり異質な流れ橋ではありますが、

過去には茨城で常時流れっぱなしの流れ橋にも出会ったことがあります。

(川床には両岸に橋台となるビールケースが沈められており、長靴必須で渡ることができる)

 

また、中州にわたる流れ橋や冠水橋も時折出会うことはあるし、

補助橋脚や橋板左右に足場用鉄パイプという構成も、

岩手の板橋(板橋は岩手県の辺りで使われる流れ橋の呼び方)ではそこそこ見られる構造だったりします。

えぇ、この文章を書きながら、今更のように思い出しました。

 

 

そうした次第で、決して風情はありませんが、

 

 

これはこれで、

 

 

流れ橋としてアリですよね。

 

 

途中の斜面には、補修用の資材も置いてあったりしたりして。

 

流れ橋らしさを、

改めて考えさせてくれる流れ橋でした。