高知県南国市 大湊小南津波避難タワーと前浜6号掩体壕。 | 水辺の土木遺産

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2020年9月に7泊8日の旅程で自転車で訪ねた高知ツーリング、

前回記事との間に「高知県南国市 掩体壕トンネル(前浜掩体群7号掩体)。」を挟みまして、

南国市立大湊小の津波避難用階段なんかを眺めつつ、前浜6号掩体壕を目指します。

 

と、

大湊小学校が左に亡くなったところで、

 

 

津波避難用と一目でわかるタワーが目について、気になってしまいました。

伊豆半島辺りでは同じような避難施設を見かけたことがありますが、

千葉県ではこういった施設は殆ど見かけません。

 

まぁ、富津以北の東京湾岸はそれほど大きな津波が来る心配はありませんし、

それ以外の地域では、割合と高台非難が可能な場所が多いから、

ということはあるのでしょう。

 

……いや、九十九里沿岸とか、どう考えても危ない気がするけど、

津波避難タワーとか、見かけたことないなぁ。

千葉県、大丈夫か?

 

ともあれ、地元にないものが旅先にあると気になってしまいます。

当初目指していた6号掩体壕を横目に眺めながら、

 

 

うん、どのみちあれは田んぼに周囲を囲まれているから道路からしか眺められないな。

ということで、後回しにすることを決めて、津波避難タワーを目指します。

 

ちなみに掩体壕、最近は台湾関連のニュースでも単語が出てくることがありますが、

殆どは戦闘機の、そうして時折見られる巨大なものは爆撃機の、

防御機能と隠ぺい機能を備えた格納庫兼退避壕です。

 

どこに隠ぺい機能があるかというと、

このコンクリートの上に土を盛って草を生やすと、自然の丘と見分けが付かなくなります。

千葉の館山のものなどは分かり易いのですが、目の前に行っても後ろからだと、

そこにあるつもりで訪ねていてさえ気づくことができないほど。

 

上空から飛来する敵攻撃機からでは、なおのこと無理でしょう。

ただ、無蓋掩体と呼ばれる天井無しもあるので、隠ぺい機能はおまけなのかも?

すみません、ミリタリーには弱いです(^-^;

 

ともあれ、場所はこちら。

 

 

避難タワーに来てみると、

 

 

てっきりゲートとかあるかと思いましたが、そのまま登れてしまいそうです。

まぁ、そんなものがあったら、津波の時にどうすんの? って話ですよね。

管理者が車で登れずに手遅れとか、あり得ませんから。

 

 

さて、せっかくなので、登ってみますか。

 

 

というわけで天辺。

火の見櫓のように、警告を促す鐘があるんですね。

天井が付いていますが、雨天のためというよりも、緊急時のヘリポートを兼ねていそうな気がします。

ただ、天井への階段や梯子はなかったように思うので、ヘリで縄梯子も持ってくるのでしょうか?

 

そもそも、雨水の為にわずかに角度が付いているので、

ヘリポートとしての機能は、本当におまけ程度なのでしょうね……。

 

ここも360度写真は何枚か撮ったはずなのですが、

隠れる場所もないだけに、撮影者を消すことのできるタイムシフトプラグインを利用して撮影。

プラグイン起動中は写真がスマホと共有できず、Theta本体にしか写真が残りませんが、

ツーリング中にThetaを水没させてしまいました。

 

そうして帰宅後、リコーのサービスサポートに持ち込みましたが、

「電源の入らないデジカメは修理も、データの引き上げも、受け付けていません」

とのことで、旅の間に内蔵メモリに記録された写真は全て失われてしまいました(T_T)。

 

そうした次第で360度写真はありません。

そのため、普通のデジカメで撮っていた範囲で。

 


すぐ向こうにも津波避難タワー。

最初の地図を見てもらうと、300mほど東にあるやつですね。

周囲には田んぼが広がっているものの、海岸線には住宅街が広がっていますし、

隣のタワーとの間には新秋田川も挟んでいますから、こうした備えは必要なのかも……。

 

 

そうしてすぐ目の前には先ほどの掩体壕。

それにしても、同じ四国でも、確か徳島を走った時には、

5kmくらい内陸に入っても「ここは海抜2m、津波注意」とか書かれているのも見かけたのに、

津波避難タワーなんて見かけなかった気がします。

 

南国市がそれだけ、住民避難に心を砕いているということでしょうか?

まぁ、私の地元の千葉にもないから、徳島を非難することはできないのですが(^-^;

 

津波と言えば昨日は、ニュースで岸田新総理が岩手と宮城の津波被害地域を見て回り、

「これからも復興に力を入れていく!」と、力強く演説している様子が紹介されていましたね。

非常に冷めた気持ちで見ていました。

 

いや、それはね、岩手や宮城の東日本震災の復興も大事です。

ただ、それらの地域は日常生活が送れる状況への復旧はとうに一段落した地域です。

もちろん、福島は復旧も途上なのですが、今回の岸田さんも春先の菅さんも福島はスキップしてますし。

 

ですが、

ここ数年は日本全国で百年に一度の大水害が毎年のようにどこかしらで起きて、

西日本豪雨災害も、令和元年東日本豪雨災害も、昨年の大雨被害も、今年の大雨被害も、

復旧さえ途上の地域がいくらでもあって、

総理の訪ねた宮城県だって、丸森町は令和元年の豪雨災害からの復旧はまだまだのはずです。

 

それを見ないで、復旧の一段落したとこ行って、何を見るんですか? 何をやっているんですか?

いえ、自民党への批判しかしない野党も同じように冷めた目で見ているわけですが……。

 

現在の復旧過程の災害に目を向けてほしいと思うのは、

現在苦労している人たちをこそ、国が支援してほしいということもありますが、

そうした地域を目にすれば、

「これだけ毎年続くということは、来年・再来年も同じことが起きるだろう」と、

だれでも容易に、より実感を伴って、想像がつくはずだから、ということもあります。

 

これからの災害に備えることと、

これからの災害で発生するはずの復旧・復興の対策費用のことも考えなければいけないのに、

そんなことだから、想定できる災害への対策も、想定外になってしまうのですね……。

 

さて、津波避難タワーを外から見た時にも、隣のものを見た時にも気づいていましたが、

降りるときはこちらを利用してみました。

 

 

外周をぐるりと回る車いす用のスロープ。

南国市、防災対策に力を入れていますね!

政府が全く頼りにならない今、自治体の頑張りは本当に大事だと思います。

 

令和元年東日本豪雨災害からの復旧さえままならない宮城県丸森町も、

こうして備える高知県南国市も、頼りになる自治体、頑張ってほしいです。

 

 

さて、当初目的の掩体壕、

掩体壕トンネル状態だった7号とほぼ同じ構造で完全体。

 

 

かなりしっかりした印象で、

千葉県茂原市の田園風景に紛れ込んだ掩体壕とくらべると、

もう少し国力に余裕のあった時期に造られていそうな印象があります。

 

 

後ろ姿もしっかりしているし。

ところで、掩体壕トンネルは7号で、ここは6号、

そしてこういったナンバリングは、大抵は戦後に管理する都合で付けられたもので、

戦時中はもっと多かった、というケースが殆どです。

 

つまりまだ、1号から5号までの掩体壕が残っているわけでして、

これからそれを訪ねます。